生活の美しさについて 岸田國士

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今日は岸田國士の「生活の美しさについて」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
今、谷崎潤一郎の『陰翳礼賛』を読んでいるので、他の作家がどのように美を捉えているのかちょっと気になって読んでいるんですけど、岸田國士の随筆でこういうのを見つけました。 
 
 
これは、視覚上の美では無くって、こころもちの美しさとか人間らしい暮らしのことを、随筆に記しているものです。
 
 
ちょっとむつかしい文字を調べてみました。

恬淡てんたん
 
 
衣食住に対して恬淡であることをよしとする風習、というのが、当時あった。なので特別に衣食住に関心を持つと、それはすぐに贅沢とかマニアの世界に直結してしまう。
 
 
われわれの生活のどこが優れていて、どこが弱点になっているのか。生存にマイナスになるものはなにか。危機感を持ってこの生を見つめなければ、問題の中心は見えてこないと。
 
 
岸田國士は、生活方法に根本的な欠陥があって、とにかく不必要に疲労するのである、と言うんです。それがあるために、みんな野蛮になるんだと。「無秩序、猿真似、不潔、卑俗」におちいってしまう。
 
 
「生活の実体とその従属的部分との均衡がとれてゐず、しかも常にバラバラにそれが営まれてゐる」から、さらには「やれ教養をつけるの、やれ趣味を解するのと、いろいろな負担に精力を費し」ていて「さういふ生活全体の表情はまさに奇怪そのもので、民族としての品位を」「傷け」てしまうのだというんです。
 
 
いっぺん疲れきるまでとにかく手足を動かして、汗水たらしてやり続けてみなさい、と言っていた百歳の映画監督の話をなんだか思いだしました。疲れると言っても、良い疲れかたと無益な疲弊とがあるなあ、と思いました。
 
 
岸田國士は、生活と趣味の問題については、不要なものを排して、引き算で改善を試みるんです。あまり足し算や装飾や、凝った暮らし、というのをしないで、シンプルな生活を目指している。そうして生活に必要なものをけっして捨て去らない。敗戦から4年の1949年の随筆です。wikipediaの岸田國士の頁と同時に読むと感慨深かったです。岸田國士はこう記します。
 
 
  「生活の美しさ」とは、人間の宿命をはらんで、ひたむきに幸福を追求する努力と苦しみとの表現であらう。それは、時として可憐であり、時として、厳粛なものでもある。おなじ造形と色彩の世界も、実生活の領域にあつては、現代の悩みと無関係な「美」がほんたうにわれわれを魅する道理はないのである。
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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