ランボオ詩集5

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今日は中原中也が翻訳した『ランボオ詩集』のその5を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
1〜4まで紹介したんですが、残りの5〜11までをこれから紹介してゆこうと思います。
 
 
イギリス出身の詩人ウィスタン・ヒュー・オーデンによれば、「あらゆる詩は、その実際の内容がなんであり、みた目の関心事がなんであろうと、想像的畏怖に根ざしているもの」であり、また詩はあらゆる感情を喚起できる特別なものであるがゆえに、「その存在と生起をほめたたえることのできるすべてのものを、詩はほめたたえねばならない」義務があるのだというのです。すごいことを言いますね。


ちょっと正確に引用してみます。ドイツがポーランドに侵攻した時に「1939年9月1日」という詩を書いたオーデンが、戦後の1956年6月11日、オックスフォード大学の詩学教授に就任した時の講演の一部抜粋です。引用元はこちらです。
 
 

 詩人に詩を書こうという衝動が起こるのは、想像力と聖なるものとの出会いからです。ことばのお蔭で、彼はみずから望まぬ限り、直接、この出会いに名前をつける必要はありません。彼は、その出会いを他の出会いの言い方で記述し、私的、非理性的あるいは社会的に受け入れられない言い方を、理性と社会に受け入れられるようなものに直すことができます。聖なる存在——そのために詩が書かれた聖なる存在——について直接的に書かれた詩もあれば、そうでない詩もあります。後者の場合は、その詩を書く衝動を与えた、もとの出会いがなんであったかは、読者にはわかりません。おそらく、詩人自身にもわからぬでしょう。詩人の書く詩はすべて、彼の過去全体を包含しております。たとえば、あらゆる恋愛詩は、去った愛人という戦利品で飾られています。戦利品のうちには、実に奇妙な品物が含まれているかもしれません。現在の美しい女性は、その先輩のなかに、上掛け水車を数え入れるかもしれません。しかし、新しい出会いにせよ、過去を思い出して新しくされた出会いにせよ、詩人が出会いを経験しなければ、本物の詩は書けないのであります。あらゆる詩は、その実際の内容がなんであり、みた目の関心事がなんであろうと、想像的畏怖に根ざしているものです。詩には、多くのことができます-喜ばせ、悲しませ、心をかき乱し、ひまをまぎらせ、教えることができます。詩は、情緒の考えられるあらゆる度合いを表現できるでしょう、考えられるあらゆる種頼のできごとを描けるでしょう。しかし、あらゆる詩がなさねばならぬことが、ただひとつあります。その存在と生起をほめたたえることのできるすべてのものを、詩はほめたたえねばならないのです。

 
 
オーデンは戦争の最中、音楽を止めるわけにはいかないんだ、と述べ、このような詩を書き記しています。
 
 
  宵闇の中で無防備に
  世界は昏睡して横たわっている
  だが正義がメッセージを交し合うところ
  そういうところではいたるところ
  点々と光が交差して
  まぶしい耀きを放っている
  俺もエロスと泥から作られており
  同じく否定と絶望に
  付きまとわれている限りは
  この光の交差のような
  肯定の炎を放ってみたいものだ
  
 
このランボオの詩には、《わしらはお前の祖先だ/絵をごらん/花をごらん/そうすると墓の中からわしらはかえってくるのだよ》という詩があります。死者は生者の思い出の中を住み家にして、今生きている人々を見つめているのだ、とランボオは語りかけます。ランボオは古人ですけれど、中原中也の中で生きつづけたし、今これを読むぼくたちの心の中にも、ほんの少しだけ顔を覗かせてくれる瞬間があるように思います。
 
 


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 ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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