詩(1) 石川啄木

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今日は石川啄木の「詩」その1を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
今回から5回ほどに分けて、石川啄木の「詩」を順番に公開してゆこうと思います。石川啄木は岩手出身の歌人で、歌集「一握の砂」が代表作です。
 
 
これは、文語調の詩と言うんでしょうか。
「聞け、今、巷に喘げる塵の疾風」というように
一文を抜き出しても、格調高いというか、すごく迫力がある言葉になっています。この詩集の一番はじめに記された「啄木鳥」という詩なんですが、これがすごいんです。啄木の名前の由来である「啄木鳥」も登場しますし、この詩が啄木にとってもっとも重要な詩であるようです。こんな詩です。
 
 
啄木鳥

いにしへ聖者が雅典(アデン)の森に撞きし、
光ぞ絶えせぬみ空の『愛の火』もて
鋳にたる巨鐘、無窮のその声をぞ
染めなす『緑』よ、げにこそ霊の住家。
聞け、今、巷に喘げる塵の疾風
よせ来て、若やぐ生命の森の精の
聖きを攻むやと、終日、啄木鳥(きつつきどり)
巡りて警告夏樹の髄にきざむ。
 
 
一文目から何のことを書いているのか判らなかったので調べてみたんですが、これは「ギリシャはアテネの森」のことを「雅典(アテネ)の森」と書いているんです。ギリシャ神話のことを書いているようです。
「愛の火」というのがまた謎です。
ちょっと調べてみたんですが、どうもギリシャ神話の「プロメテウス」が鍛冶の神の窯のなかに灯心草を入れて点火して人々に分け与えた「火」を、詩に描いたようです。ギリシャ神話によれば、ゼウスが大洪水を起こして人類を窮地に追いやり、人々から火をうばったんですよ。それでプロメテウスが「火」を再び人々に与えた。これがどうも、この詩で描かれている「愛の火」だったのかもしれないなあと空想しています。つまり、救済のための暖かい火のことです。この詩には続きがあります。こう記されています。
 
 
往きしは三千年、永劫猶(えいごうなほ)すすみて
つきざる『時』の箭(や)、無象の白羽の跡
追ひ行く不滅の教よ。――プラトオ、汝が
浄きを高きを天路の栄と云ひし
霊をぞ守りて、この森不断の糧(かて)
(くし)かるつとめを小さき鳥のすなる。
 
 
プラトオ、というのはプラトンのことです。文学研究者の方がそう記しているのでこれは間違いありません。『愛の火』というのは哲学者プラトンの説いた「イデアの愛」のことなのだそうです。プロメテウスの火では無いようです。
 
 
石川啄木の記した「不滅の教」と「不断の糧」という言葉がたいへんに印象深いです。
 
 
プラトンは、不滅の愛(エロース)について考えた哲学者です。プラトンは師ソクラテスやディオティマの話を通して、愛(エロス)についておおよそこのように語っています。 
 
 
  愛(エロース)とは、美と欠乏との2者から生まれた。ゆえにエロースはつねに美を求めるが、美そのものでは無い。愛があれば不死となるわけではないが、愛があれば、必ず永遠を求むる。愛とは自分自身に「永久」を見いだすものであり、過去にならい学び、再び生まれくるものたちへと脈々と受け継がれてゆく智そのものである。愛(エロース)とは真に「善きもの」へと向かうものであり、それを求めることこそが最も崇高な愛(エロース)である。私はあえて主張するのである。人はみな愛(エロース)を尊重せねばならぬ、と。
 



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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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