道草 夏目漱石

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今日は夏目漱石の「道草」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
これは漱石の自伝としても読めるいわゆる私小説の分野の物語です。かなり実話に近いものとして書かれているようです。もちろん物語として楽しめるように、現実では無いことも多数描かれているとは思うんですが、作家本人の日常が確かに描かれています。夏目漱石は、どういう人だったのか、ということに興味のある方はぜひお読みください。
 
 
1章から102章までありますが、けっこう読みやすく書かれていると思います。なんと言っても実話が元になっているので、とても興味深いですよ。また明治から大正へかけての世間というのがどういうものかが見えてきてそういう点でも興味深いです。漱石は朝日新聞や学校から雇われ、それなりにお金持ちだったはずなのですが、さまざまな必要経費が現にあって、お金の管理にそうとう苦労していたようです。インテリ層に職業が無い、という時代のお話しです。貯蓄に不安があるためなにかと不自由である、というぼくたちの世代の読者が読んでもそこで共感できる気がしました。また持病と生活ということも詳細に描かれていて、それが人格描写に繋がっているのが秀逸だなあと思いました。
 
 
漱石は幼い頃に、養子として育てられ、また自分の父親が封建制度の崩壊時期と重なっていて、環境がとても変わりやすかった。それで仲むつまじい親子関係というものからほど遠かったようです。漱石(本名・金之助)を育てたのは、実の父では無く、その父の部下というか奉公人であるところの塩原昌之助であったのです。その一時的な育ての親が、この小説では金を無心してくる「島田」という男として描かれています。
 
 
漱石は幼い頃に自分の肉親がいったい誰なのか知らされていなかった。そうしてよく違和感を感じていた。その違和感が小説家としての漱石を磨きあげたように感じられます。どうも良く判らない生い立ちと、どうもよく判らないまま終焉を迎える封建制度。時代の変化と家の変化が呼応していたというのも、漱石の出生の偉大な秘密なのではないかと思いますです。普通に生きていればそれで充分というわけにはいかない環境があったようです。秀才の苦悩というやつが覗き見られる小説です。インテリはインテリでいろいろ悩んでいると。漱石と言えば、男性優位社会の世界観が色濃い作家だと思うんですが、その漱石が病に臥し、細君と二人でいるシーンが印象に残ります。漱石が自らを客観視し批判的に描写しています。その客観的自己考察は、過去の出生についてまで遡ります。
 
 
また冷えているような夫婦間で時折交わされるちょっとしたやりとりが、丁寧に描き出されています。漱石は論理的に妻への配慮を説くのですが、妻はそのような論理ということを考えたりしない。主人公のことを「手前味噌」だとか「大風呂敷」だとか「近ごろよっぽど変ね」とか言う。
 
 

 
 
こちらのリンクから全文読めます。(縦書きブラウザの使い方はこちら
http://akarinohon.com/center/michikusa01.html
(約500頁 / ロード時間約30秒)
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