審判 フランツ・カフカ

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今日はフランツ・カフカの「審判」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
何もしていないのに逮捕されたKが主人公で、最終的にはかなり厳しい事態が描かれてゆく、不条理小説の金字塔とも言われる小説です。カフカを愛読する方にはすごい大御所がたくさんいるんですよ。新進の文学者や、歴史的作家や、あるいはSF作家や、海外でいちばん売れている日本人作家が、カフカをとくに推薦しているんです。文学と言えばまずカフカだという感じだと思います。
 
 
主人公Kは逮捕された理由がまったくわからない。Kは逮捕しに来た役人にこう問います。「ところで、いったいどうしてなんです?」役人たちは、なぜKを逮捕したのかいっこうに答えない。逮捕から裁判そして結末へ向けて、しかし一辺倒に話が進行せず、つねに二重の可能性を秘めて物語が進行します。ここがカフカのすごいところのように思います。罪があるのか無いのか、正統な裁判組織なのかでたらめなのか、判らないんです。1か0かという世界の、対極の物語です。両義的と言いますか、猶予があると言うんでしょうか、ぼくは表現力が無いのでどうも上手く説明できないんですが、まったくありえないようで、じつにありえそうな話なんですよ。
 
 
じっさい現代の日本でも、無害なデモをしている方が警察からまったく不当に逮捕されるという事件がつい先日起きたばかりです。現代の日本でさえこのようなことが起きる。カフカの世界観の普遍性というのを感じます。カフカは不安な現実を描いているのですが、その文章やまなざしが落ち着いていて、幻想的でさえあるんですよ。
 
 
現代の日本では、民主的な法律の最大の要点は「疑わしきは罰せず」ということなんだ、と聞いたことがあります。「Aは悪いことをしているかもしれない、疑わしい」という相手に「罰を与えない」というのが、裁判のもっとも基本なのだそうです。「あいつはいつか悪いことをする」という相手をけっして罰しない、というのが刑法の最大の原則なんだそうです。そうして犯罪を現在進行形でくり返している人々を放置しない。まったくその通りだと思います。
 
 
ところでカフカは、考えられないようなムチャクチャな事態を、ちゃんと考えられるようにするために、不条理を丁寧に解体し、それを物語にしていった作家だと思います。今、読むべきは、カフカではないか? と思って読んでゆきました。1章からはじまり、10章で終わる物語です。完全な終章と、それにつづく断章の配置に、編集のすばらしさを感じました。ある知識人が述べていたのですが、数世紀前の海外文学者の多くは、聖書の物語をその基礎として文学を紡いでいると記していたのですが、10章で記されている過酷な事態は、聖書と個々人性の対比のうちに描かれていると思いました。
 
 

 
 
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 ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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