倫理学講話 ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン

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今日はルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインの「倫理学講話」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
これは、哲学者ウィトゲンシュタインが行った倫理学に関する講演録です。ミックさんというかたが日本語に翻訳されています。
 
 
哲学者ウィトゲンシュタインの専門は、言語の機能や意味について検討した《論理学》なんですが、トルストイの「要約福音書」に出会って以来、聖書に傾倒した学者でもあって、機械的な論理学の世界に倫理や思想というものを持ち込んだ、たいへんに独特な哲学者です。小学校の先生をして居たこともあり、ウィトゲンシュタインは啓蒙の精神も多く持ち備えていました。ぼくはこのウィトゲンシュタインという人がいちばんかっこいい哲学者だと、そういうように思っていて、ウィトゲンシュタイン関連の本があるとすぐ読みたくなるんです。
 
 
ウィトゲンシュタインには挫折を恐れずにとことんまで探究するという精神があるようで、戦争について考えるのでも実際に志願してその最前線へゆくし、哲学についてもその思考の限界というのがどこにあるのかを探究すると言うことを目的とし、ひとたびキリスト教に熱中すると彼は子どもたちと聖書を読みたいのだと考え哲学者という経歴を捨てて小学校の先生をやる。とにかくそれまでの自分の殻を脱ぎ捨てて、とことんまでやってみるという哲学者です。そうした一種無謀でクレイジーな性格の男が、どうして後世に語り継がれるような文化的遺産を残せたのか? それが不思議だし、すごいなあと思ってウィトゲンシュタインの日記や本を読んでゆくのが楽しいんですよ。ウィトゲンシュタインは保身と言うことをどうもしないんです。しかしながら伝統的なものをとても重視している。イギリスはケンブリッジ大学で研究した論理学を大変に深く掘り下げ、最新の哲学を推し進めながらも、キリスト教を信仰する。どうしてこの哲学者に魅了されるのか考えていて、どうもこのウィトゲンシュタインがよりどころとしている、異なる2つの文化を、その2つとも大切にするということから、魅力が生じているんじゃないだろうかと思いました。
 
 
ウィトゲンシュタインの日記を読んでいたのですが、「熱狂」ということをたびたび書き記していて、学問や古典への熱狂が、虚無的な思いを打ち壊し無害化するのだ、と述べています。ところでウィトゲンシュタインは、恋愛と結婚だけは成就させることが出来なかったんですが、その恋愛のことも日記に書き記していて、こういう人間味のある日記と硬質な哲学書と両方読めるというのがやはりウィトゲンシュタインの魅力だなあと思います。
 
 
ウィトゲンシュタイン哲学宗教日記(講談社/鬼界彰夫訳)に記された、日記の一部を引用します。
 
 
 私はあまりにも簡単に多弁になりすぎる。人は一つの質問、一つの異議で、私を、流水のごとく話すようにそそのかすことができる。話している途中に、自分が下品な水路へと向かっていると分かることが時としてある。意図している以上に話したり、人を喜ばせるために話したり、印象付けるために余計なことまで引っ張り込んだりするのが分かるのだ。そうした時、私は会話を修正し、もう一度もっと上品な軌道へと戻そうとする。しかし恐れのため(勇気がないため)軌道を少し変えるだけで、十分に変えようとはしない。そして悪い後味が残る。
 特に英国でこのことはよく起こる。意思疎通が初めから(言葉ではなく性格のせいで)とてつもなく難しいからである。その結果しっかりとした大地の上ではなく、揺れ動く筏の上で意思疎通の訓練をしなければならないことになる。というのも他人が自分を完全に理解しているかどうか決して分からないからである。そして他人が自分を完全に理解することは決してないのである。
 
 
ウィトゲンシュタインは、真実や倫理や絶対善というものは言語で明記することが不可能であるということを考え続けた哲学者で、真理はただ指し示されるのみである、という哲学を展開しています。
 
 
この講演の終盤で、ウィトゲンシュタインは倫理学の明らかな限界を開示します。しかしながら、それは心の中の傾向について記されたものであり、個人的に敬意を払わないわけにはゆかないし、生涯にわたって倫理を軽蔑することは無いでしょう、と述べています。
 
 

 
 
こちらのリンクから全文読めます。(縦書きブラウザの使い方はこちら
http://akarinohon.com/center/rinrigakukouwa.html
(約30頁 / ロード時間約30秒)
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