源氏物語 野分

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今日は源氏物語の野分を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
「野分」というのは「台風」という意味です。野原にはげしい嵐が分け入って、花々がたちまち散ってしまうのをみて、(秋好)中宮は悲しみます。今回の主要登場人物は2人います。生き霊となって亡くなった六条御息所の、娘である秋好中宮(別名・梅壺女御)と、15歳になった源氏の子の中将(別名・夕霧)の2人です。
 
  
源氏たちが住む六条院には、四季の庭というのがあるんです。春の庭や夏の庭など。源氏物語は権力の内部に居る人々の関係性がその物語の中心にあるのですが、今回はかなり、自然描写が美しい帖です。季節を詠んだ万葉集のように念入りな自然描写があります。万葉集には「くさぐさのうた」というのがあるそうで、自然のことを描いたり、寄物陳思(きぶつちんし)といって恋の感情を自然界に投影して歌ったりしたそうです。こんど万葉集も読んでみたいなと思いました。源氏の息子の(夕霧)中将がですね、才女の玉鬘を見て「八重の山吹(やまぶき)の咲き乱れた盛りに露を帯びて夕映にかがやいているかのように美しい」って思うんですよ。八重の山吹ってこんな花です。

八重の山吹
 
はげしい嵐に見舞われた六条院で、女房たちを見て歩く中宮(=梅壺女御)。嵐に散ってしまった花々のように皆がしおれてはいないかと心配をして歩くんですが、嵐の中の静けさとでも言うのか、女たちはただ美しい姿でたたずんでいるんです。それを見る主人公なんですが、ぼくは源氏物語がおもしろいなあー、と思うのはこの「なにもしないで見ている係」みたいなニュートラルな人が居て、これがどうもぼく好きなんですよ。嵐が来た、じゃあどうしようかと言って決壊しそうな堤防に土嚢をこさえに行って泥まみれになる主人公では無いですし、かと言って防音暴風設備が整った堅牢な王宮に住んでいるわけでも無い。
 
 
経験豊かな老人が震えるほどの、危険な嵐が吹き荒れた六条院で、源氏の息子である(夕霧)中将(15歳)は美しい女を見つめることに夢中になっているという。ほとんど猫かなにかの仕事みたいですよ。つつしみ深い女が風のことを心配して姿をあらわす。それを見つめる中将。物語のはじめでは、源氏がじっと見ている役割をしていたのですが、今回は息子である(夕霧)中将が、源氏を取りまく人々を、事情も知らずにただじっと見つめている。
 
 
一瞬だけ姿をあらわした年上の女性を見て、それを長く憶えていて、あのように良い人と結ばれるのなら、自分も長く生きることが出来るだろうなと想像する15歳。しかし、その若き青年はかなりショックなものを見てしまうのです。父源氏と義理の姉・玉鬘との禁じられた恋愛を見てしまうのです。源氏物語ははじめから順番に読んでゆくのがいちばんよく判るのですが、この「野分」だけを読んでも充分に楽しめると思います。嵐の中の六条院を、ちょっとのぞいてみてください。


 
 
前回のあらすじ(wikipediaより)
光源氏36歳の話。近頃、内大臣の姫君である近江の君の悪評が世間の噂になっていた。それを耳にした玉鬘は、光源氏に引き取られた自身の幸福をしみじみと感じ、光源氏に心を開いてゆく。七月初旬、玉鬘のもとを訪れた光源氏は、琴を枕にして彼女と寄り添う。そして己の恋情を庭前に焚かせた篝火にたとえ、歌を詠む。玉鬘は返歌するものの、困惑するばかりであった。ちょうどそのとき東の対では柏木たちが夕霧と合奏していた。光源氏は彼らを招き、演奏させる。玉鬘に密かな恋心をいだく柏木はその手を緊張させるのだった。
  
 




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登場人物表


[genjimonogatarilinkshuu]

 

 






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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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