ゲーテ詩集(26) 生田春月訳

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今日は生田春月訳のゲーテ詩集(26)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
「厚顔に愉快に」という詩があるんですよ。

一緒に酒飲むものはたくさんあるが
一緒に住めるものはあまりない
その多い少いが反対(あべこべ)ならば
これに越した愉快はない
 
 
こう書いています。このまえテレビで、シェアハウスの紹介がされていて、へー、なんか楽しそうだなと思って、ちょっとツイッターで検索したら、シェアハウスの悲惨な実例が紹介されていて「テレビと現実は違う!」と思いました。ツイッターのほうがどこか現実的なんですね。ネット上の蒼然とした感じがゲーテのこの詩とどこか共鳴しているような気がしました。
 
 
この詩を日本語訳した生田春月の詩に「幸福な詩人に」というものがあるのですが、ここにも現実と作られたものとのギャップのことが記されています。
 
 
幸福な詩人に     生田春月

身はけがらはしい不倫を行ひつつ
歌は美しい言葉でうたふ、——
それが詩人に与へられた特権である!
不倫な恋、恥かしいその行ひは
身をかへりみるに堪えざらしめても、
しかもその歌は何といふ美しさ!

かくて詩人は幸福である、
彼の罪は、彼の琴のしらべをかき乱さねば。
人の妻をばぬすむとも、
友をきずつけ、誣ふるとも、
そは詩とは関係のない散文のこと、
彼の詩の世界には、ただ美しい言葉で十分である!

ああ、詩人でないものは禍(わざわ)ひである!
世俗の道徳の軛にかけられて
地蟲のやうに蠢いてゐる
俗人どもの、何たる悲惨!
されど、その悲惨の中に悩みて
まことの人生の痛み、深みをさぐる
俗人こそは、「生の詩人」か——

そして詩人は、ただの「詩の死人」か、
若し、詩人がその生活の底に徹せず、
水草か、藻の花の美しさもて人をあざむき、
その魂の底の泥土の、澱めるものを、
闇をば見じと眼ふたげば。
 
 
 
 
生田春月の

詩人でないものは禍ひである!
されど
俗人こそは、「生の詩人」か

という言葉にうたれました。



 

 
 
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 ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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