ハイネ詩集(37)

今日は生田春月訳の「ハインリヒ・ハイネ詩集」その37を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
ハイネはあまり美食については描かない詩人かと思うんですが、今回はみごとな、食べものの詩でした。ファンタジックに食と欲について描いています。牡蠣殻と敷石のイメージをオーバーラップさせているんです。
 
 
縁語とか段駄羅というわけでもないんですが、ダブルイメージにしているようです。本文こうです。
 
 

…………
街路とほりの敷石といふ敷石は
今にすつかり割れてしまひ
その一かけ毎にうまさうな
生きてゐる牡蠣がついてゐよう

檸檬レモン水は雨か露のやうに
頭の上から降つて来るし
街路まちの溝には極上等の
ライン酒を一杯流させよう
 
 
それから「わたしたちは二人きり郵便馬車で旅をした」という詩の言葉がすてきなもう一つの詩なんですけど、これも現実の中に一瞬のファンタジーを挿入していて美しかったです。
 
 

 
 
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コーヒー哲学序説 寺田寅彦

今日は寺田寅彦の「コーヒー哲学序説」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
近代に於いては、ミルクが薬として使われていた……という事実が書かれてるんです。体調悪いときに、タマゴとか温かいミルクとか、すごく効きますし、昔の話しも参考になるなあ、とか思いました。今年の冬に風邪をひかなかったのは、ミルク野菜スープをしょっちゅう食っていたからかもしんないとか、本文とまったく関係無いんですけど思いました。近代随筆の魅力のひとつは、現代社会のなり立ちの起源みたいなのがちょっと見えてきて、今の時代に見なれたものが新鮮に思えてくるところがある……んじゃないかとおもいました。
 
 
寺田寅彦は、西洋の食がだんだん日本に入ってきて、食糧事情も少しずつ向上していった時代の変化を、実体験を元に描きだしています。幼い頃はコーヒー牛乳が薬のように扱われていた時代で、大人になると寺田はベルリンのカフェでコーヒーを飲むようになった。だんだん世界が広くなる描写がすてきなんです。近くにあった出来事を書きつつ、時代の流れを鋭く捉えるのが、とくべつに上手いんだなあと思いました。
 
 
寺田の書いていることは、自分たちの実体験とも通じるように書いていて、そこが随筆として秀麗なんではないかと思いました。ジャスミンティーや緑茶や珈琲を飲み過ぎると、眠れなくなってさらに知覚過敏になって身体の不調なところが痛んできたりすることがあるんですけど、寺田の指摘はこういうものなんです。本文こうです。
 
 

  コーヒーが興奮剤であるとは知ってはいたがほんとうにその意味を体験したことはただ一度ある。病気のために一年以上全くコーヒーを口にしないでいて、そうしてある秋の日の午後久しぶりで銀座ぎんざへ行ってそのただ一杯を味わった。そうしてぶらぶら歩いて日比谷ひびやへんまで来るとなんだかそのへんの様子が平時とはちがうような気がした。公園の木立ちも行きかう電車もすべての常住的なものがひどく美しく明るく愉快なもののように思われ、歩いている人間がみんな頼もしく見え、要するにこの世の中全体がすべて祝福と希望に満ち輝いているように思われた。気がついてみると両方の手のひらにあぶら汗のようなものがいっぱいににじんでいた。なるほどこれは恐ろしい毒薬であると感心もし、また人間というものが実にわずかな薬物によって勝手に支配されるあわれな存在であるとも思ったことである。
 
 
こういう体験したことがある人、多いと思うんですけど、そのことをすぐに忘れちゃって、原因と結果を上手く結びつけられなかったりする。寺田は誰もが経験しそうなことを、論理的なものに整理してくれるんだなあ、と思いました。
 
 
寺田寅彦のエッセーを読んでいたら『コーヒー&シガレッツ』っていうジム・ジャームッシュ監督の、映画のことを思いだしました。 
 
 

 
 
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痴人の愛(27〜28) 谷崎潤一郎

今日は谷崎潤一郎の「痴人の愛」その(27〜28)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
「痴人の愛」は今回で完結です。こちらから全文読めますので、未読の方はリンク先へどうぞ。
 
 
いよいよ最終話で、妻のナオミに翻弄されている譲治の、マゾヒスティックな愛が描きだされるんですけど、その描写がすごいんです。妻に跨がられ、ナオミから「これから何でも云うことを聴くか」とおどされて「うん、聴く」と犬のように答える譲治が、ナオミの姿を見てそれをこう描写しているんです。本文こうです。
 
 

  私は今や、睫毛まつげの先で刺されるくらい彼女の顔に接近しました。窓の外には乾燥し切った空気の中に、朝の光が朗かに照り、一つ一つの毛孔けあなが数えられるほど明るい。私はこんな明るい所で、こんなにいつまでも、そしてこんなにも精細に、自分の愛する女の目鼻を凝視したことはありません。こうして見るとその美しさは巨人のような偉大さを持ち、容積を持って迫って来ます。
 
 
とどまることなく物語がゴロゴロと転がっていって、起承転結ではなくって起承転転転転転転転……という感じで譲治の人生が破綻し続けていったわけなんですけど、さいごになんというか、良い二人組になる。夫婦と言うよりも、女王様と痴人みたいな関係性に落ちついていった。まさに題名どおりに『痴人の愛』になってゆくんです。
 
 

 
 
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ハイネ詩集(36)

今日は生田春月訳の「ハインリヒ・ハイネ詩集」その36を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
あのー、幼い子どもにとって大人が冗談をやっているのか、なにか危険なことをしているのかは、なかなか判断がつかないんだと思うんですけど、どうも文学でもそういうことがあるようで、時代や場所がちがうので、微妙なところが素人のぼくたちにはよく判らないことがある。アメリカンジョークよりももっとぜんぜん判らないことがある。
 
 
ハイネ詩集を読んできて、なんだやっぱりハイネは、壮大な冗談を言っていたんじゃないかと、今回はっきりそう思いました。本文こうです。
 
 
 立派な人! 彼はわたしを食はせてくれた
 わたしはその恩を決して忘れはしない
 だが彼に接吻きすしてやれないのは残念だ!
 なぜと言ふのに、その立派な人は…………
 …………
 
 
ここからのオチの一行で笑いました。つづきは本文をご覧ください。
 
 

 
 
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鬱屈禍 太宰治

今日は太宰治の「鬱屈禍」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
太宰治は、アンドレ・ジッドの芸術論がお気に入りなんです。本文こうです。
 
 
  こういう言葉がある。「私は、私の仇敵きゅうてきを、ひしと抱擁いたします。息の根を止めて殺してやろう下心。」これは、有名の詩句なんだそうだが、誰の詩句やら、浅学の私には、わからぬ。どうせ不埒ふらちな、悪文学者の創った詩句にちがいない。ジイドがそれを引用している。
 
 
太宰は「貧しい悪作家であるが、けれども、やはり第一等の道を歩きたい。つねに大芸術家の心構えを、真似でもいいから、持っていたい。」と書き、またジッドは「芸術は常に一の拘束の結果で」あると書いてから、こう記しています。
 
 
  「芸術は拘束より生れ、闘争に生き、自由に死ぬのであります。」
 
 
ちょっと抜粋では太宰治の書こうとしていることがちっとも引用出来ないので本文を読んでもらうしか無いんですが。太宰も坂口安吾も愛読している、ジッドの評論を読んでみたいなあと思いました。 
 
 

 
 
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痴人の愛(25〜26) 谷崎潤一郎

今日は谷崎潤一郎の「痴人の愛」その(25〜26)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
まるで西洋映画の女優のような姿に生まれかわってしまったナオミに、譲治はおどろいている。ナオミの美しさを描写するその筆致が鮮やかなんです。
 
 
予想外に美しくなって、自由に不倫をつづける妻に、いわく言いがたく魅了されてゆく譲治の煩悶のさまを読んでいたら、こう、現実の恋愛体験じゃないのに、読んでいるだけでドキドキするんですよ。悪女ぶりというか奔放なナオミがすごいんです。……近代文学にこんな生々しい小説があったのか……と衝撃を受けました。別れたはずの妻が毎晩家にやってきて誘惑をする。夫婦生活を営んでいた頃は風呂でも一緒だったのに、今は指一本触れることができない。そこでナオミは甘い吐息を吹きかけるだけで、夫を誘惑するんです。夫はそれに悶絶する。ほんの一文でも迫力があります。本文こうです。
 
 
  彼女の息は湿り気を帯びて生温かく、人間の肺から出たとは思えない、甘い花のようなかおりがします。
 
 
 
 
 

 
 
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ハイネ詩集(35)

今日は生田春月訳の「ハインリヒ・ハイネ詩集」その35を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
「今わたしはおまへのかはいゝ眼の / 輝くところに踏み止まる——」という詩の言葉がすてきな今回の作品なんですけど、これがいつ描かれたのかぼくには調べられなかったんですけど、どうも前後の詩から見ても、学校時代のことを大人になってから思いだしつつ描いているように思える。ハイネの描きだす、みずみずしい恋愛描写を、楽しんで読みました。
 
 

 
 
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