ハイネ詩集(57)

今日は「ハインリヒ・ハイネ詩集」その57を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
2018年6月18日に大阪の地震があって、その災害支援のボランティア募集の案内が、こちらのYahoo!ページから始まりました。ぼくはYahoo!募金に少額なんですけど、これにちょっとだけ参加しました。
 
 
今回のハイネの古い詩は、季節の移り変わりを描いた詩なんですけど、日本の俳句にも、季語を入れて、季節について表現をする。これは文学のすごい発明だなと、改めて思いました。
 
 
ハイネはドイツからフランス革命の時代のパリに移住して、やがて祖国ドイツから著作の発表を禁じられ亡命者のごとき人生になってゆき、心みだれる時期があっただろうと思うわけで、そこで詩をしたためた。いつ穏やかに書いたのか、いつ苦しみと共に書いたのか、不明なんですけれども……。
 

あゝ!わたしは知つてゐる、このすべての
やさしい夢がどんなに変るかを
どんなに冷たい雪の外套に
心も樹立も包まれてしまふかを
 
ほかにもこういう詩があります。恋の不安と未来への思いを描きだした詩なんです。
 
暗闇くらやみの中で盗む接吻きす
暗闇くらやみの中でかへす接吻きす
さうした接吻きすはどんなに楽しからう
まことの愛に心が燃えてゐるならば!
 
 

 
 
こちらのリンクから全文読めます。(縦書きブラウザの使い方はこちら
http://akarinohon.com/letters/heine57.html
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こども風土記 柳田國男(20)

今日は柳田國男の「こども風土記」その20を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
柳田國男が言っている「ゆの木の下」っていったいなんなのか、というのをネットで調べてみたのですが、どうにも判らないんですよ。こんなに情報がネットに載っている時代に、正月に行われていた風習が、すっかり語られなくなっているっていうのは、珍しいように思えました。当時は由緒正しいものごとだったはずなんです。
 
 
自分なりに調べてみて、おそらくこれだろうと思うのは、「ゆの木」というのはたぶん「ゆずの木」なんだろうなと。ところが柳田はこう書いてますよ。「ゆの木を私たちは柚子ゆずのことかと思った」けれど、どうもそうじゃないらしいんです。ゆの木はなぜか、柚子の木じゃ無い可能性が高いと。じゃあなんやねん、というと答えが書いていない。ネットでも全日本人が、誰一人こう正月の「ゆの木」について何も言ってないし、みんな知らない。
 
 
たぶんいわいに用いられる木のことなんだと思います。
 
 

 
 
こちらのリンクから全文読めます。(縦書きブラウザの使い方はこちら
http://akarinohon.com/letters/kodomo_fudoki20.html
(約5頁 / ロード時間約30秒)
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料理の第一歩 北大路魯山人

今日は北大路魯山人の「料理の第一歩」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
これ1回掲載したことがあるんですけど、もっかい読んでみました。近代のエリートは、現代と比較したら農業や自然界と地続きなところに立っていて、それで読んでいてこう、迫力があるんじゃないかと思うんです。
 
 
米びつの米を生のまま囓っちゃうことについて考えているエリートって、今の世の中ではほとんどありえないような気がします。この貧しさから豊かさへの振り幅のおおきさが、近代随筆の魅力の1つで、百年後にも読める、息の長い作品が多い主因はこのあたりにあるのではないか、と思いました。
 
 
魯山人は幼いころ家が貧しく、のちに希代の美食家になるとは思えないような厳しい経歴の人生だったらしく、それで読んでいて引き込まれるんだと思います。
 
 
映画や楽器、絵画やオブジェ……と良いものが世の中にはいっぱいあるんですけど、そのように良いものを作って売ってずっと暮らせるような人生に、なってみたいんだがなあー、と思いました。美味いものをまずは自分で作って食えるところから、そういう人生の第一歩がはじまるのかもしれないです。
 
 

 
 
こちらのリンクから全文読めます。(縦書きブラウザの使い方はこちら
http://akarinohon.com/letters/ryorino_daiippo.html
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ハイネ詩集(56)

今日は「ハインリヒ・ハイネ詩集」その56を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
ハイネは、恋愛に纏わる現象を、さまざまにしたためます。
 

あゝ、ただつぼみの薔薇だけは
おまへの胸を飾つてゐる
ふたりの仲間の薔薇だけは
おしつぶされてしまつた気の毒に
 
ハイネの詩は、当たり外れの振り幅がはげしいように思うんですけれど、とくに生田春月の翻訳が悪いときがあって、こんな詩は無いなあー、これ詩になってないなーと、詩が書けないのに思うことがあるんです。
 
 
とくに「のような」を連発する直喩の文章がひどい……。詩なんだからたぶん隠喩でやるべきだったと思うんです。でも説明的に直喩で翻訳しちゃったんじゃないでしょうか。原文を読んでないので判らないんですけど、この詩集だけで「〜ような」とか「〜ように」って文字が210回も使われちゃってる。
 
 
あと「しっかり」って文字を使いすぎている。詩集の中に15回も「しっかり」って書いてる。詩というよりも、恋人からいわれた愚痴をそのまま文字にしちゃったみたいな文章になっている。原文はいったいどうなっているんでしょうか。原作者か翻訳者か、どちらかがミスったはずなんです。生田春月はあとから、じぶんの翻訳の、ヘタなところに気がついてしまって、落胆してしまったことが、あったんじゃないかなと思いました。はい。
 
 

 
 
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http://akarinohon.com/letters/heine56.html
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こども風土記 柳田國男(19)

今日は柳田國男の「こども風土記」その19を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
今回、ちょっと興味深いことが書いてあって、ふつうはいわないような悪口を、正月のめでたい時期に、子どもにいわせるという、奇妙な祝い方があった。
 
 
悪戯の意味もあったし、(柳田はそう述べていないわけですが)きっとハレとケガレの差異をつける意図もあっただろうし、免疫として機能することもあっただろうし、なんだか不思議だけどおもしろい習わしだなと思いました。
 
 
ヨンドリ棒を持った子どもが、このトリックスター役を担っていた。
 
 
柳田國男の民俗学を、現代の学問で解き明かすという活動をめったに見たことが無いんですけど、いっぽうで柳田國男の民俗学からヒントを得て現代の物語が編み出されるのはこれは、今もすごくよく行われていると思うんです。そうなる理由みたいなのが、どうも読んでいて明らかになってくるんですけど、柳田は、学問で扱えないような、曖昧模糊とした領域に突っ込んでゆくんですよ。真偽のほどが定かにしようがない、これは事実だと決定づけられない、どうにも判断がつけられないところを、柳田國男が切ってゆくんです。読んでいてとっても楽しいんですけど、これは事実を追及した学問というよりも、民話と空想の入り混じった物語のように思えてきます。
 
 
昔話として読むと、すこぶるおもしろいです。事実なのかどうかは、ぼくにはまったく判断つかないです。
 

ゆの木の下のおん事は
さればその事めでとうそうろう
 
1月1日の年始めに、子どもたちがこういうことを言った村々があったと言うんですよ。現代では誰も言わないし、その意味もほとんど誰も知らない。ことばが消えてしまったのだ、と思いました。
 
 

 
 
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愛撫 梶井基次郎

今日は梶井基次郎の「愛撫」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
これ1回紹介したと思うんですけど、もっかい掲載してみます。梶井基次郎は、現代にも地続きになっているような、ごく普通の日常の中から、神秘的なものを取りだす天才だと思うんです。
 
 
猫は、動いているものにウワッと反応して叩くクセがあって、泣いている女の子の涙がつたう頬をみて、その涙の落下の動きに反応して、バシッとほっぺを猫パンチする、らしいんです。というかそういう動画をこのまえSNSで見ました。
 
 
そういう猫の、獣なんだか、可愛さだけで出来ているのかよくわからない性質を、梶井基次郎が直感的に捉えていてみごとな短編です。猫の耳について、ギョッとすることを書いています。こういう小説、好きだなあと思いました。
 
 

 
 
こちらのリンクから全文読めます。(縦書きブラウザの使い方はこちら
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ハイネ詩集(55)

今日は「ハインリヒ・ハイネ詩集」その55を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
ハイネは恋愛の詩を書くんですけど、ただ美しい恋を書くだけじゃなくって、上手くゆかない悩みについて詩にしるしてゆく。今回のモチーフはヒツジ草なんです。wikiにこの植物のことが、くわしく載っています。印象派絵画のモネもその美にほれ込んだ睡蓮を、ハイネが詩に描いています。
 

ほつそりとした睡蓮ひつじぐさ
うみの中から夢みるやうに目を上げると
月は空から挨拶する
愛の悩みに燃えながら

……
……
 
漢字とふりがなが、微妙にずれているところが、翻訳家生田春月の上手いところで、旧仮名づかいとあいまって、美しい詩になっています。ほかにもこういうヴァースがあります。
 
愛にとらはれた春の夢想家よ
おまへは森を迷つて行くであらう
 
今回の詩篇いいんですよ、好きな詩です。
 
 

 
 
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