晶子詩篇全集1 與謝野晶子

 
今日は與謝野晶子の「晶子詩篇全集」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
今回から10回くらいに分けて、「晶子詩篇全集」を一つ一つ掲載してゆこうと思います。僕は今回、この詩篇全集をはじめて読むのですが、素晴らしい詩集ですねこれは。家の天井裏に鼠が住んでいると。それがどうも福の神のように思われていると。日本のむかしばなしみたいですね。「感情的になるな」と言われがちな現代社会において、こういう素のままの気持ちに触れられる詩集は良いもんだ、と思うんですが、いかがでしょうか。
 
 
秋、露霜(つゆしも)にうたれてコスモスや雑草が哀れであると。自然な気持ちでコスモスに心を重ねている。気持ちが開いている、というのが感じられる詩集です。ぼくは文学を専門的に学ぶ機会が無かったので、今こうして生まれてはじめて晶子詩篇全集を読めるので、これは嬉しいなあと思うんですが。おそらくかつて読んだことがあってひさしぶりに読んでみても、やはり良いものは良いのではないかと思います。言葉づかいが美しい音楽のようにはずんでいるように思えます。与謝野晶子はこう記します。
 
 

    唯だ一事の知りたさに
    彼れを読み、其れを読み、
    われ知らず夜を更かし、
    取り散らす数数の書の
    座を繞(めぐ)る古き巻巻(まきまき)。
 
  
音として捉えても、すでに美しい詩篇です。
これは現代人でも「判る!」と思うんじゃ無いでしょうか。知りたいことがあってそれを知ろうとしていろいろしているんだけれども、それを探している時にすでに心おどっていると。すてきな詩篇です。





以下の「シンプル表示の縦書きテキスト」をご利用ください。(縦書きブラウザの使い方はこちら
https://akarinohon.com/migration/akiko_shihen_zenshu01.html
(約8頁 / ロード時間約30秒)
モバイル対応テキスト版はこちら
 
[yosanoakiko]







明かりの本は新サイトに移行しました!

URLの登録変更をよろしくお願いいたします。



明かりの本 新サイトURL

https://akarinohon.com

(Windowsでも、なめらかな縦書き表示になるように改善しました!)

appleのmacやタブレットやスマートフォンなど、これまで縦書き表示がむずかしかった端末でも、ほぼ99%縦書き表示に対応し、よみやすいページ構成を実現しました。ぜひ新しいサイトで読書をお楽しみください。











 ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  
縦書き文庫の装画
装画をクリックするか、ここから全文を読んでください。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約10秒)
 
『ゲーテ詩集』全文を読むにはこちらをクリックしてください













top page ・本屋map ・図書館link ★おすすめ本 ★書籍&グッズ購入 





 


青猫(1) 萩原朔太郎

 
今日は萩原朔太郎の「青猫」その1を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
萩原朔太郎は、大正時代の有名な詩人です。「月に吠える」がとても有名です。いろんな芸術家がこの詩集を愛読したのであります。今回は詩集「青猫」を全6回に分けて公開してゆきます。萩原朔太郎は不安や孤独について幻想的に描き出しました。ふだん詩を全く読まない、と言う人はぜひいちど、このもっとも有名な詩人に親しんでみてください。
 
 
萩原朔太郎は陰鬱な心情を詩情豊かに描き出した詩人で、寒気がするほど真に迫った詩、という特徴があると思います。この詩人にはどこか監獄の中で詩を書いている人、というイメージがあるんですが。
 
 
みよ すべての美しい寝台の中で 娘たちの胸は互にやさしく抱きあふ
心と心と
手と手と
足と足と
からだとからだとを紐にてむすびつけよ
心と心と
手と手と
足と足と
からだとからだとを撫でることによりて慰めあへよ
このまつ白の寝台の中では
なんといふ美しい娘たちの皮膚のよろこびだ
なんといふいぢらしい感情のためいきだ。
 
 


以下の「シンプル表示の縦書きテキスト」をご利用ください。(縦書きブラウザの使い方はこちら
https://akarinohon.com/migration/aoneko1.html
(約28頁 / ロード時間約30秒)
モバイル対応テキスト版はこちら






明かりの本は新サイトに移行しました!

URLの登録変更をよろしくお願いいたします。



明かりの本 新サイトURL

https://akarinohon.com

(Windowsでも、なめらかな縦書き表示になるように改善しました!)

appleのmacやタブレットやスマートフォンなど、これまで縦書き表示がむずかしかった端末でも、ほぼ99%縦書き表示に対応し、よみやすいページ構成を実現しました。ぜひ新しいサイトで読書をお楽しみください。











 ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

縦書き文庫の装画
装画をクリックするか、ここから全文を読んでください。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約10秒)
 
『ゲーテ詩集』全文を読むにはこちらをクリックしてください













top page ・本屋map ・図書館link ★おすすめ本 ★書籍&グッズ購入 





 


秋の瞳 八木重吉

 
今日は八木重吉の「秋の瞳」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
詩が読める時間は、限られているように思います。
ちょうど詩を読みたいのだという時でなければ八木重吉の詩集は読めないように思うんです。
今読みたい、と言う時にこの詩集を読んでもらえればなあと思います。
 
  
 
心 よ

こころよ
では いつておいで
しかし
また もどつておいでね
やつぱり
ここが いいのだに
こころよ
では 行つておいで 
 
 


以下の「シンプル表示の縦書きテキスト」をご利用ください。(縦書きブラウザの使い方はこちら
https://akarinohon.com/migration/akino_hitomi.html
(約60頁 / ロード時間約30秒)
 
モバイル対応テキスト版はこちら






明かりの本は新サイトに移行しました!

URLの登録変更をよろしくお願いいたします。



明かりの本 新サイトURL

https://akarinohon.com

(Windowsでも、なめらかな縦書き表示になるように改善しました!)

appleのmacやタブレットやスマートフォンなど、これまで縦書き表示がむずかしかった端末でも、ほぼ99%縦書き表示に対応し、よみやすいページ構成を実現しました。ぜひ新しいサイトで読書をお楽しみください。











 ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

縦書き文庫の装画
装画をクリックするか、ここから全文を読んでください。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約10秒)
 
『ゲーテ詩集』全文を読むにはこちらをクリックしてください













top page ・本屋map ・図書館link ★おすすめ本 ★書籍&グッズ購入 





 


貧しき信徒 八木重吉

 
今日は貧しき信徒 八木重吉を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
この詩集が欲しいなあ、と思います。明かりの本ではデジタル詩集を公開しているのですが、これは紙の本で手元に置いておきたいなあと思うんです。じっくり読んでみたい詩集です。時折読んでみたい。手にとって読んでみたい。誰かに読んでもらいたい。
 
 



以下の「シンプル表示の縦書きテキスト」をご利用ください。(縦書きブラウザの使い方はこちら
https://akarinohon.com/migration/mazushiki_shinto.html
(約40頁 / ロード時間約30秒)
 







明かりの本は新サイトに移行しました!

URLの登録変更をよろしくお願いいたします。



明かりの本 新サイトURL

https://akarinohon.com

(Windowsでも、なめらかな縦書き表示になるように改善しました!)

appleのmacやタブレットやスマートフォンなど、これまで縦書き表示がむずかしかった端末でも、ほぼ99%縦書き表示に対応し、よみやすいページ構成を実現しました。ぜひ新しいサイトで読書をお楽しみください。











 ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

縦書き文庫の装画
装画をクリックするか、ここから全文を読んでください。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約10秒)
 
『ゲーテ詩集』全文を読むにはこちらをクリックしてください













top page ・本屋map ・図書館link ★おすすめ本 ★書籍&グッズ購入 





 


若菜集 島崎藤村

 
今日は島崎藤村の若菜集を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
これは声に出して読みたい詩集だと思います。


まだあげ初めし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思ひけり
島崎藤村


読みやすくて奥深い詩なので、何度も読んで暗誦してみたくなる。
これは処女詩集なんですが、なんともいえないみずみずしさがあると思うんです。


 
 
 



以下の「シンプル表示の縦書きテキスト」をご利用ください。(縦書きブラウザの使い方はこちら
https://akarinohon.com/migration/wakanashu.html
(約120頁 / ロード時間約30秒)
 







明かりの本は新サイトに移行しました!

URLの登録変更をよろしくお願いいたします。



明かりの本 新サイトURL

https://akarinohon.com

(Windowsでも、なめらかな縦書き表示になるように改善しました!)

appleのmacやタブレットやスマートフォンなど、これまで縦書き表示がむずかしかった端末でも、ほぼ99%縦書き表示に対応し、よみやすいページ構成を実現しました。ぜひ新しいサイトで読書をお楽しみください。











 ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

縦書き文庫の装画
装画をクリックするか、ここから全文を読んでください。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約10秒)
 
『ゲーテ詩集』全文を読むにはこちらをクリックしてください













top page ・本屋map ・図書館link ★おすすめ本 ★書籍&グッズ購入 





 


月に吠える 萩原朔太郎

今日は萩原朔太郎の詩集「月に吠える」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。萩原朔太郎は、日本でいちばん有名な詩人かもしれません。その代表作がこの「月に吠える」です。
 

萩原朔太郎の詩集を通して、詩作に目覚める人がいたりすると良いな、と思います。萩原朔太郎は近代詩の父と呼ばれる詩人で、「詩はただ病める魂の所有者と孤独者との寂しい慰めである」と述べています。普段、詩を全く読まない人にも萩原朔太郎の詩がおすすめだと思います。代表的な詩に《月に吠える》《恋を恋する人》《竹》などがあります。

この詩集は、与謝野 晶子や岩野 泡鳴から絶賛され、宮沢 賢治や堀 辰雄が愛読しました。

55編の詩を収録しています。ぜひ、読んでみてください。






以下の「シンプル表示の縦書きテキスト」をご利用ください。(縦書きブラウザの使い方はこちら

https://akarinohon.com/migration/tsukini_hoeru.html
 (約40頁 / ロード時間約30秒)








明かりの本は新サイトに移行しました!

URLの登録変更をよろしくお願いいたします。



明かりの本 新サイトURL

https://akarinohon.com

(Windowsでも、なめらかな縦書き表示になるように改善しました!)

appleのmacやタブレットやスマートフォンなど、これまで縦書き表示がむずかしかった端末でも、ほぼ99%縦書き表示に対応し、よみやすいページ構成を実現しました。ぜひ新しいサイトで読書をお楽しみください。











 ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  
縦書き文庫の装画
装画をクリックするか、ここから全文を読んでください。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約10秒)
 
『ゲーテ詩集』全文を読むにはこちらをクリックしてください













top page ・本屋map ・図書館link ★おすすめ本 ★書籍&グッズ購入 





 


ルバイヤート オマル・ハイヤーム

今日はオマル・ハイヤームという詩人の『ルバイヤート』という詩集を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
オマル・ハイヤームというのはイラン=イスラーム文化の代表者で、天文学や数学に長けた学者さんでもあった人物です。イスラーム文化といえばまず思い浮かぶのはイスラム教の開祖であるマホメット(ムハンマド)です。




僕はイスラム過激派が起こした大きな事件以来、本来のイスラム文化というのがどういうものだったのかというのがとても気になっていて、それで井筒俊彦の『マホメット』を読んで、ほんとうに目からウロコが落ちたというか、「学問って、こんなに面白いのか!」というショックを受けました。マホメットという歴史的人物に魅力があるのは当たり前かもしれませんが、それ以上に井筒俊彦という学者の情熱的な表現に魅入られたんです。




井筒俊彦の『マホメット』は、イスラームの起源を史実通りに正確に解説している書物ではあるのですが、その表現はほとんど映画や物語絵巻のようなダイナミズムがあります。なによりも情感を中心にしてイスラーム文化の勃興を伝えようとしていて、激しい文学に突き当たったような衝撃を受けますよ。イスラム教の起源を知りたいという人は、ぜひこの本を手にとってみてください。イスラム教はどのような理由で発生して、マホメットは人びとのどこを改めんと欲し、なにを警告していたのかがよく判ると思います。




子どもの頃に感動した本というのはどんな人にでもあると思いますが、大人になってから「びっくりした!」と思う本はめったにないかと思います。僕にとって井筒俊彦の本は、それにあたります。




井筒俊彦の『マホメット』について、ほんの少しだけ紹介してみます。
マホメットは、イスラーム教の開祖であり、のちに他文化の人びとからむごたらしいほどに否定されたこともある人物ですが、マホメットが本来求めているものは「他文化に対する攻撃や破壊」というものとはまったくかけ離れたものです。マホメットはもともと商人であり、自分たちの問題を解決しようということを中心にして宗教を興した人物です。マホメットは【長く持続できる商売】の障害となるものを変えてゆこうとした、商売を壊す者の心情を改めさせ仲間に招きいれてゆこうとした、というのがイスラーム教誕生の重要なポイントです。ですから人びとの生活を壊すイスラム過激派と、本来のイスラム文化とはかなり考え方が違います。




マホメットが警告した相手は、無道時代のベドウィンです。マホメットや井筒俊彦は、この血族や闘争を好むベドウィンを否定する立場で描いているのですが、僕はその本を読んでいて、批判されているベドウィンという砂漠の民にどうにもいわく言いがたい魅力を感じてしまいました。




無道時代のベドウィンは砂漠の騎士道を信じていた。ベドウィンはその生活態度において驚くばかり保守的で、血族の命令を信じ、祭りを祝い、掠奪を繰り返し、血で血を洗う闘争をいつまでも繰り返している。それはベドウィンたちが過去に対する激しい執心を持ち、自分たちの過去を痛愛し、自分達の過去に執着しているからである、と井筒俊彦は指摘します。現代の私たちがおりおりするように遠い懐かしい憶い出の世界に赴くのではなく、砂漠の民ベドウィンにとって過去は現実の一部である。




マホメットは、彼らに対して絶叫します。「汝らは、祖先の歩んできた途が明かに蒙昧頑愚の途であることを知りながら、しかもなお過去に執着することをやめないのか」

なぜベドウィンが掠奪と闘争を終えないのかというと、それはその部族が血の繋がりを神聖なものとして絶対視し、血族と共に迷い、正邪善悪の区別なく、いついかなる場合でも血族と行動をともにしているということが、ベドウィンの唯一の在り方だからである、とマホメットは警告します。現代日本でこれを言い換えてみれば、原子力発電所が自然災害に弱いと判ったあとにも、まだ地震大国で原子力発電を推進しようとする態度に似ています。血族の命令に異議を述べられないから悔い改めることが出来ない。




このように激しく否定された砂漠の民ベドウィンであるのですが、このベドウィンというのが詩作や芸能という分野に於いて、ものすごく魅力的なんですね。井筒俊彦は、イスラームがあれほど華やかに成功をおさめたのは、この無道時代に大きな素地が出来上がっていたと分析します。イスラーム繁栄の素地は「無道時代の最後を華やかに彩る青年層の、すでに限界に達した精神状況の裡に求めることができる」(P.44)と井筒俊彦は指摘しています。




彼らは詩作や音楽を愛してやまなかったのですが、その特徴を、井筒はこう表現します。
アラビア砂漠の只中では「眼光射るごとく耳はシマウより敏き」男が理想的人間であった。(p.49)こういう極度の感覚性には長所もあれば短所もある。彼らがその比類なき感覚を以て現実から受けとる個々の形象や映像は実に新鮮で強烈ではあるが、しかしそれを通して彼らが観る世界はそれらの個々の印象の雑然たる集塊であってそこにはなんの論理性もない。


現代エジプト大学の教授としてその学風を敬慕されているアフマド・アミーンは「イスラムの黎明」という興味ある書物の中で、これについて書いている。

「ベドウィンは物のまわりをぐるっと廻って見る。そしてそこに色彩燦然たる真珠の玉を幾つも幾つも見つけ出す。けれどもこの美しい真珠の玉には、それらをつなぐ糸が通っていないのだ」(p.50)





僕は、この指摘がすごく秀逸だなと思うんです。これはなにも、ベドウィンにかぎったことではない。短期的な快適さを手に入れるのは上手でも、長期的に向上してゆく戦略が無い、という事態はほんとうに良くあることだと思います。




「感覚の世界を論理的に統一して把握する」ことが出来ないベドウィンは色彩燦然たる世界を幾つも見つけ出すが感覚的世界を超越することが出来ず、自身らの儚さを痛感して、彼らは「徹底した現実主義者となる」(p.50)と、井筒俊彦は述べます。




マホメットは、この脈絡のない不和が生滅する世界に一本筋を通して、全体を見渡せる状態にして、長々とつづく商人文化を栄えさせました。現実が儚い。自分が儚い。と、ベドウィンが意識しはじめた頃に、イスラム教が興ったのです。

恐ろしい自暴自棄に陥って、ただ官能的快楽の追求のみに日夜を送っていた彼らを、マホメットは一体どんな方法で救済へ導こうとしたのか。詳しくは井筒俊彦の「マホメット」を読んでみてください。







井筒俊彦はマホメットの無常観や、むなしさや、人生の儚さ、哀愁(あいしゅう)を読み解いてゆきます。
そして、マホメット以前とマホメット以後の大きな違いをこのように指摘しています。

  • ベドウィンの人生観においては、哀愁と享楽主義が表裏一体である。
  • マホメットにおいては、哀愁は、悔い改めに通じている。
「なにくそ」と思うことがあった時、その怒りを学問や仕事にぶつけるのか、その怒りを愉楽で自己慰安するのか。この「ベドウィンとマホメット以後」の対比というのは、誰にでもよく当てはまる違いだと思います。そういえば昨日の私はベドウィンのようであった、今日はすこし悔い改めに通じている気がする、と思う人は多いんじゃないでしょうか。




オマル・ハイヤームという詩人は、マホメットがイスラム教を興した400年後に、全く新しい視点でベドウィンのような人生観を肯定しようとし、享楽主義をむしろすすめ、過去への悪しき執着から生じる不和を解消しようとした詩人です。オマル・ハイヤームが「酒を飲もう」と述べているのは、それはイスラム法で飲酒を明確に禁止しており、それに抵抗するという意図があってしきりに酒を飲むことを推奨しているようです。酒にひたることだけは止めたほうが良いとは思いますが、悲嘆からの解放を目指して何らかの享楽を用いることに、異を唱える現代人は居ないはずです。






https://akarinohon.com/migration/rubaiyat.html (約80頁)


 
 
amazon 井筒俊彦「マホメット」
https://www.amazon.co.jp/マホメット-講談社学術文庫-井筒-俊彦/dp/406158877X


calil 井筒俊彦「マホメット」
https://calil.jp/book/406158877X






明かりの本は新サイトに移行しました!

URLの登録変更をよろしくお願いいたします。



明かりの本 新サイトURL

https://akarinohon.com

(Windowsでも、なめらかな縦書き表示になるように改善しました!)

appleのmacやタブレットやスマートフォンなど、これまで縦書き表示がむずかしかった端末でも、ほぼ99%縦書き表示に対応し、よみやすいページ構成を実現しました。ぜひ新しいサイトで読書をお楽しみください。











 ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  
縦書き文庫の装画
装画をクリックするか、ここから全文を読んでください。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約10秒)
 
『ゲーテ詩集』全文を読むにはこちらをクリックしてください













top page ・本屋map ・図書館link ★おすすめ本 ★書籍&グッズ購入