痴人の愛(13〜14) 谷崎潤一郎

今日は谷崎潤一郎の「痴人の愛」その(13〜14)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
譲治はずっと会社員をしているわけなんですが、そこでは上辺のつきあいしかなく、じつはナオミと結婚したこともちゃんと報告していなかった。若いナオミに翻弄されているという事実も、会社の同僚はまったく知らない。なんでも透明化すれば良いってもんでも無いとはおもうんですが、そこまで重大なことも伝わっていない関係というのは、やばいなと思うんです。
 
 
谷崎は、自由で計画性のある人生をすごしてきたはずなのに、なんでこう、不自由で無計画な男のことが、こんなにもよく判るんだろうかと、読んでて面白かったです。ナオミはもしかして、奔放に浮気をしているかもしれない。譲治はそのことについて悩んでいる。
 
 
谷崎は、やっぱり恋愛の情景を描くのがみごとで、まるで印象派における裸婦の絵画のように美しい文章を記します。ピエールボナールの浴槽の裸婦 (Nu Dans le bain)という作品を想起しました。描かれた年代もほぼ同じなんです。谷崎が本作を1924年に発表して、ボナールは10年後くらいにこの絵画を描いている。ちょうど同時代なんだなあ、と思いました。ナオミと譲治は仲直りをして、10日間ほどの休暇をもらって、二度目のハネムーン……のような旅に出かけるのでした。しかし、そこでも……。次回に続きます。
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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痴人の愛(11〜12) 谷崎潤一郎

今日は谷崎潤一郎の「痴人の愛」その(11〜12)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
漱石以後の近代文学でいちはやくフェティシズムを展開したのは、谷崎が代表的なんじゃないかと思うんです。本文、こう書いています。
 
 
  しかるに綺羅子は、意外なことに、踊って見ると実に軽いものでした。体全体がふわりとして、綿のようで、手の柔かさは、まるで木の葉の新芽のような肌触りです。
 
 
譲治とナオミはダンスに夢中で、さまざまな友人たちと軽やかに付きあいつつ、楽しい日々を送っているんですが、そのきらびやかな集まりのあとに、なぜか恋人をうとましく思ってしまう。すてきなことをしているはずなのに、祭りのあとのような状況で、暗く落ち込んでしまう。たしかに誰もが経験する奇妙な出来事なんですけど、こうやって顕在化させて描かれていると、驚きがありました。
 
 
結婚したころナオミは奥ゆかしかったのに、だんだん派手で贅沢で、小悪魔的ないじめっ子になってゆく……。譲治はその幼い妻に翻弄されているんです。やっぱり文章が流麗なので、読んでるだけで楽しいです。
 
 

 
 
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痴人の愛(9〜10) 谷崎潤一郎

今日は谷崎潤一郎の「痴人の愛」その(9〜10)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
肌が白く、西洋人のようなナオミへの愛情を滔々と語る主人公なんですけど、タイトルの『痴人の愛』という感じがだんだん出てきて、読んでいておもしろいんです。嘆美で蠱惑的な愛が描きだされるんです。ただ譲治はどうも、妻よりも美しい人が現れてしまうと、倫理観や道徳心や世間や状況を忘れて、その人に魅惑されてしまう。
 
 
譲治とナオミは、浮き足だった新婚生活というのか、清い愛なのか、濁りきった愛なのか、さっぱりわからないなと思いながら読みました。譲治は意外とこう、中身が子どもっぽいんです。
 
 
若いナオミが主人公に「よう!」と大声で呼びかけてワガママな頼み事をしてくるんですけど、そのたびに、読んでるほうまでビクッとするんですよ。
 
 
作中でちょっと出てくる「チークダンス」という和製英語の原形はどういうもんなのか調べてみたんですけど、このCheek to Cheekという音楽映像の前半で出てくる、頬を寄せあった静かなダンスのことなんだろうと思います。作中でこのチークダンスは否定的に扱われているんですけど、おそらくナオミたちはこの『Fred Astaire / Cheek to Cheek』という映像に現れる、古き良きハリウッドの世界観に憧れているんだろう……と思います。たぶん。
 
 

 
 
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痴人の愛(7〜8) 谷崎潤一郎

今日は谷崎潤一郎の「痴人の愛」その(7〜8)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
なんだか、奇妙な恋愛が描かれるんです。年齢差があるからなのか、夫婦の恋愛と言うよりも、親子の愛情みたいな内容になっている。親が子と相撲をとって、わざと負けてやるみたいなことが起きている……。ボードゲーム上での遊びなんですが、どうしてそういうことになるかというと、妻であり年下の恋人であるナオミがあまりにも可愛いからなんです。
 
 
ところがどうも、ほんとうに女のほうがゲームに強くなる。本文こうです。
 
 
  が、恐ろしいのはこれから来る結果なのです。始めのうちは私がナオミの機嫌を取ってやっている、少くとも私自身はそのつもりでいる。ところがだんだんそれが習慣になるに従って、ナオミは真に強い自信を持つようになり、今度はいくら私が本気でん張っても、事実彼女に勝てないようになるのです。
 
 
この小説の風俗を読んでいると、1950年から70年代の日本みたいに思えてきます。1924年(大正13年)に発表された小説なんですけど、30年後も日本はこういう感じだったんではなかろうかと思いました。
 
 
谷崎は時代から遊離していて、海外文学との繋がりを作った作家のように思いました。あと、谷崎潤一郎はやはり意図的に、10代の読者を意識してこの読みやすい文体の小説を書いたんじゃないかと思いました。
 
 
ナオミは友人から誘われて、ロシア人がはじめたソシアル・ダンスのレッスンに通うことになり、夫の譲治もこれに付きあうことになった……。次回に続きます。
 
 

 
 
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痴人の愛(5〜6) 谷崎潤一郎

今日は谷崎潤一郎の「痴人の愛」その(5〜6)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
ナオミと譲治は親戚とも念入りに話し合って、結婚を済ませた。ついに谷崎の本から女性への「崇拝」という言葉が記された。谷崎は起承転結というよりも、起承転転転というかんじで、坂を転がり落ちる岩のような物語を書く人だと思うんですけど、その口火が切られたな、と思いました。
 
 
あと、谷崎が若者への個人授業の方法を書いているんですけど、こういう先生たしかに居たぞと思いました。復習を念入りにやっているシーンなんですけど、詰め込み教育ではないし、細かいミスは指摘しないんだけれど、出来ていないところはハッキリ叱りつづけるという、なかなか現代的で厳しい勉強の風景が垣間見られました。
 
 
ナオミは英語をちゃんと勉強して出来るようになると宣言していたのですが、どうしても初歩的なことが判らない。発音と音読は得意なんですが、文法がまったくわからない。それを習得させようと譲治がやっきになるところがなんともリアルでした。
 
 

 
 
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痴人の愛(1〜2) 谷崎潤一郎

今日は谷崎潤一郎の「痴人の愛」その(1〜2) を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
今日から10数回かけて、谷崎潤一郎の代表作『痴人の愛』を読んでゆこうと思います。今回の主人公はナオミなんですけど、その顔はカナダ人のメアリー・ピックフォードに、ちょっと似ている。作中にそう書いています。でもナオミは日本人なんです。なんというか、東北美人でロシア人とのハーフのように見える女性が居ますけれども、そういう雰囲気を漂わせる人なんだろうと思います。
 
 
語り手の「私」は、西洋的なナオミとの奇妙な結婚生活について語りはじめる。彼女は10歳以上年下で、もともとはカフェでウェートレスをやっていたところで知り合いになって、結婚にまで及んだ。私(河合譲治)は実家が裕福で、現代的な技術者の仕事をしている、かなり余裕のあるサラリーマンで、大正時代のはじめごろにしてはずいぶん自由な恋愛結婚をした。因襲から離れた、簡単に済ませられる結婚というのを望んで、若い相手を見つけた。本文にこう書いています。
 
 
  一人の少女を友達にして、朝夕彼女の発育のさまを眺めながら、明るく晴れやかに、云わば遊びのような気分で、一軒の家に住むと云うことは、正式の家庭を作るのとは違った、又格別な興味があるように思えました。つまり私とナオミでたわいのないままごとをする。
 
 
じつはナオミの母は彼女を芸者にするつもりだったのだが、本人がそれを望んでいないようなので、カフェの給仕をすることになった。「私」はそれで、英語と音楽を学んでみたいナオミに、教育を受けるための資金を提供する。家族にも了承してもらって、二人は一緒に暮らすことになった。「私」とナオミは、ほうぼうの貸家を探しまわって、むかしは絵描きとモデルが使っていたという、ごくごく小さな洋館を借り受け、新婚生活のような二人暮らしを始めたのでした。次回に続きます。
 
 

 
 
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卍(まんじ) 谷崎潤一郎(6)

今日は谷崎潤一郎の「卍 まんじ」その6を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
いよいよこれでまんじ、完結なんです。ここから先は、もはや100%のネタバレになるので、まだ読み終えていない方はこちらからどうぞ。
 
 
ついに園子さんのだんなさんまで、綿貫の正体を知ることになってゆく。探偵まで雇って、事情を調べた。園子さんとだんなさんは、お互いにちゃんと話し合った。そのときに、だんなはこう言ってます。本文こうです。
 
 
  僕はお前がどうしても家出するいうのんなら、そら仕方ない思てる。けど、ほんまの僕の気持いうたら、憎いのんあの男だけで、お前も光子さんも可哀そうな目エにうたんや思てるねん。
 
 
ところがどうも、語り手で主人公の園子さんは、普通に見えて、かなり図太い性格みたいで、なんともややこしい修羅場が訪れようとしているのに、まだ光子さんとデートしたい駆け落ちして脱出したい、ということばっかり考えている。本文こうです。
 
 
  テーブルに俯伏うつぶしたなり、やんちゃなオみたいに泣いてましてん。もうこの場合「死ぬ」いうてやるのん一番ええ。それより外に方法ない。……私の頭の中にあるのんは、どないしたらこいから先も今までのように会うて行くこと出来るやろかと、そればっかりですのんで……
 
 
だんなさんは危険を察知していて、妻を軟禁する。園子さんはとにかく光子と駆け落ちがしたいので、水着で海にだけ出かけさせてくれと願い出る。そこから女二人で脱出をするんですが、ここからドラッグで仮想的に仮死状態にいたって、心中未遂を起こしてやろうと考えて、すさまじい展開があるんですが、(本文ではまた違う内容なんですが)恋人同士で二人で睡眠薬つかって心中の真似事をしてみるというのは、現実にありえない話では無い、充分ありえる話だなと思って、なんというかリアリティーとスピード感のある展開なんです。そして園子の夫がやって来て、ついに光子と夫が不倫におちいってしまう。本文こうですよ。
 
  
  私がいつも愛の相手外に求めてたように、夫にしたかて無意識のうちにそれ求めてたのんに違いあれしません。おまけに外の男みたいに芸者遊びするやとかお酒飲むやとかして、物足らなさたすちゅうこと知らん人だけに、なおのこと誘惑に陥りやすい状態にあったのんで、一旦そないなってしもたら、堰せき切った水みたいに、盲目的な情熱が意志や理性の力踏みにじくって燃え上って来て、光子さんより夫の方が十倍も二十倍も夢中になってしもたのんです。

 
恋愛感情とか、不正とかがこう、なぜかみごとにズレて流動してゆくんですよ。園子さんの感性とか企みとか方針とか関係性が、別の人に吸い取られてゆくんです。そこがほんとにこう、文学の魔法とでもいうのか、すごいんです。
 
 
悪いことせずに生きてきたつもりだった夫は、完全に不倫をやってしまった。その言い訳がなんともこう、ムチャなんです。そういうことしてきたことが無いから、こういうことを言うんだろうなと思いました。本文こうです。
 
 
  僕かてあれ夢と思いたい。……悪夢や思て忘れてしまいたい。……けど、僕、忘れること出来んようになってしもた。僕は始めて恋するもんの心を知った。
 
 
不倫は無かったというどころか、情熱のこもった本格の不倫だったとか言い出すんですよ。で、裏切った妻に対して、これ以上悲しませたくないとか言っちゃうんです。真面目な男が暴走すると、これはこれで恐ろしい。夫は園子と綿貫の間で交わされた不平等条約も破棄させたと、安心しきっている。しかし綿貫は綿貫で陰湿なスクープ記事を新聞社に売り払って園子と夫を追いつめたりする。
 
 
光子さんがブドウ酒と睡眠薬(あやしいドラッグ)を持ってきて、園子と夫に飲ませたときは、しびれました。片方を眠らせて、そこでどうも性的な遊びをしている可能性さえある。光子さんの悪女ぶりが凄まじいんですよ。これは漱石にもドストエフスキーにもない特徴で、とても惹きつけられる文学でした。
 
 
心中もののオチなんですけど、そこからぽーんと放り出されて生きのこってしまった、というのが、これはすごいもんを読んでしまったと思いました。
 
 

 
 
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