レ・ミゼラブル(13) ユーゴー

 
今日はビクトル・ユーゴーの『レ・ミゼラブル 第二部 コゼット』
『第五編 暗がりの追跡に無言の一組』を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
前回、ゴルボー屋敷というのが登場しました。ゴルボーという名の由来は、ラ・フォンティーヌという詩人が書いた童話の「カラスのゴルボー」からとった名前だそうです。そこにジャン・バルジャンと幼子コゼットが立ち入り、暮らしはじめます。
 
 
亡命生活の気配が濃厚な物語になってゆきますが、これがなぜかというと、作者のユーゴー自身が政府を厳しく批判して国外追放の刑に処され、長いあいだ亡命生活を余儀なくされていたからなんです。ユーゴーは民主主義と人権尊重を強く主張した作家ですから、ナポレオン3世による帝政復活に激しく対立したんです。それで
1851年12月2日のクーデター以降のフランス第二帝政の時代には、ナポレオン3世のもとで言論や出版の自由などが規制されたりしていて、ずっとパリから亡命していた。投獄されるよりも遙かにマシですが、時の権力者から追放を命じられての亡命生活というのはそうとうしんどいことだと思います。ユーゴーはもともとパリに住み「ノートルダム・ド・パリ」などを描いた作家ですが、そこから19年間もの長き間追放されてしまう。イギリス海峡にほど近いガーンジー島に暮らし、そこで本格的な作家生活をするようになる。日本で言ったら、原発と政府に激しく反発し、沖縄に移住する感じでしょうか。
 
 
ジャンバルジャンにはややロリータコンプレックスの気配があります。ジャンの幼い頃の貧しい記憶と、コゼットの母親についての記憶が混じりあって、幼子を正しく育てたいという情熱へ結びついています。
 

ユーゴーはこのように書きます。

 

     そして彼は前夜のようにコゼットの顔をながめはじめた。その目つきには喜びの情があふれて、親切と情愛との表われは今にもはち切れそうであった。小娘の方は極端な強さか極端な弱さかにのみ属する心許した静安さをもって、だれといっしょにいるのかも知らないで熟睡し、どこにいるのかも知らないで眠り続けていた。ジャン・ヴァルジャンは身をかがめて、子供の手に脣をあてた。九カ月前には、永の眠りについたその母親の手に彼は脣を当てたのであった。その時と同じような悲しい痛切な敬虔な感情が、今彼の心にいっぱいになった。彼はコゼットの寝台のそばにひざまずいた。


ジャンバルジャンは、子どもはまず自由であることが大切であると考えているようです。ジャンはかつて25年間誰をも愛したことが無く、そうして孤立していました。かつての家族との記憶も、その家族が探し出せないことが判ると、あるべき青春の思い出とともに、深遠のうちに消滅してしまったのでした。
 
 
かつてジャンは、ミリエル司教という人から、生まれてはじめて誠実さというものを学びました。そうして今度はコゼットという幼子から、愛の必然性を学ぶのです。ジャンは幼子に、ものを読むその方法と、そうして遊ぶことの大切さを教えるのでした。
 
 
第一部では、身元を隠しマドレーヌと名乗って、商売と治世に夢中だったジャンバルジャンだったのですが、今回は多くの資産を手元に置き、ひっそりと暮らすことを生活の基本としており、町では貧しい身なりで歩くためにときおり女たちから小銭のほどこしを受け、そうして不幸な者に出会うとジャンは銀貨を密かに与えることが多かったので「施しをする乞食」と呼ばれているのでした。
 
 



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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  
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