Kの昇天 或はKの溺死 梶井基次郎

 
 今日は梶井基次郎の「Kの昇天 或はKの溺死」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
『Kの昇天』は1926年(大正15年)に発表されたものです。この時代に書かれた書物を読んでゆくと、どうも戦争へ向かうという危機だけでは無く、むしろ飢餓や病ということが非常に大きな問題になっていることが判ります。昭和東北大飢饉というのがまず、日本の軍国主義化のきっかけとなったと言われています。第二次世界大戦中においても、行軍中の飢餓ということがとても大きいのだと言うことが、文献を読むと判ります。
 
 
 飢餓や死への恐怖があるからこそ、戦争や暴力が激化する、というのがやはりあるのではないかと素人考えですが感じます。戦前と戦中においては飢えと死への恐怖がすべての混乱の原点になっていたのではないかと思える資料もたくさんあります。飢餓地獄と呼ばれた戦地での出来事の記録などが幾つも残されています。宮沢 賢治の「飢餓陣営」という演劇も、この戦争の中にある飢餓を熱心に描いています。死へ向かうことよりも食べて生きることのほうが大切だという賢治の訴えが込められていて、賢治は世界全体のことを自身の目で見ることは出来なかったはずなのに、未来に聳える問題の本質をとらえていたように思います。
 
 
 梶井基次郎は31歳という若さで肺結核で亡くなられた作家なんですが、関東大震災から戦争へと向かう時代に、病と向かい合った作家で、ぼくは子どもの頃4年くらい続いたぜんそくが治ったという体験をして、それで幼い頃は、病からの恢復を目指している作家の本ばかりを好んでいたのですが、梶井基次郎は、妹の死や自身にのしかかる病をめぐる心象風景を静かな筆致で描き出しています。梶井基次郎はなによりも、個人の幻想というのを大切としたのだろうなあと思います。
 
 


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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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