レ・ミゼラブル(18) ユーゴー

今日はビクトル・ユーゴーの『レ・ミゼラブル 第三部 マリユス』
『第二編 大市民』を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
前回、第三部第一編にて、パリの浮浪少年が登場しました。第三部の主人公はマリユスという青年なのですが、これがじつは作家ユーゴーをモデルとしたものなんだそうです。つまり第三部から自伝っぽく読めるようです。ユーゴーは自身の幼いころを「小さな人間」として描き始めます。フランスはパリーと言う坩堝に生きる、快活なこども。窃盗と酒と暴言が蔓延する都市で少年は泥の中の真珠のように潔白である、とユーゴーは述べます。
 
 
この坩堝としてのパリーを生きる幼きユーゴー少年「マリユス」の登場する、第三部の始まり方というのがなんともいえない勢いを感じるのであります。ユーゴーはパリを追放されながら、パリを愛してそれを物語に描いている。パリから離れるほどにそれへの愛がつのるようです。ユーゴーの少し後の時代に生きた哲学者ニーチェは、優れた人の人生についてを、まずはどんな重荷をも背負うラクダに例え、次にどのような束縛からも自由である獅子に生まれ変わる必然性を説き、そして最後にはその勇猛な獅子から無垢のものである赤ん坊へと生まれ変わるという、ラクダから獅子そして赤子という道程を説いたのでありますが、ユーゴーの物語にも、このあらゆる重荷を背負うラクダと、何からも自由な獅子と、そうして無垢な子どもらが描かれているのであります。
 
 
19世紀パリの浮浪少年にとって、芝居小屋がなによりもの蠱惑的な世界なんです。ラブレーのごとき詩人である浮浪少年。少年はなにごとにも笑いだそうとしている。この少年はやがて哲人となるのか、あるいはバカとなるのか、とヴィクトル・ユゴーは記します。孤立した少年は必ず世の不徳に捲き込まるるままに投げだされて打ち捨てられる。しかしパリーの浮浪少年だけは、いかにも摩滅され痛められてはいるが、内部においてはほとんど純然たるままである、とユーゴーは述べるのです。混沌としたその都市だけは、無垢なるものを無垢なるままに遊ばせ続けるのです。都市が無垢なる魂を保存する。ユーゴーはパリーの浮浪少年に、文学や美術を与えよと述べています。
 



以下の「シンプル表示の縦書きテキスト」をご利用ください。(縦書きブラウザの使い方はこちら
https://akarinohon.com/migration/hugo302_mariyusu3.html
(約30頁 / ロード時間約30秒)
[hugolinkshuu]
 
 
ちょっとこれまでのあらすじを全部、wikipediaの解説文から引用しておきます。
 

    1815年10月のある日、75歳になったディーニュのミリエル司教の司教館を、ひとりの男が訪れる。男の名はジャン・ヴァルジャン。貧困に耐え切れず、たった1本のパンを盗んだ罪でトゥーロンの徒刑場で19年も服役していた。行く先々で冷遇された彼を、司教は暖かく迎え入れる。しかし、その夜、大切にしていた銀の食器をヴァルジャンに盗まれてしまう。翌朝、彼を捕らえた憲兵に対して司教は「食器は私が与えたもの」だと告げて彼を放免させたうえに、二本の銀の燭台をも彼に差し出す。それまで人間不信と憎悪の塊であったヴァルジャンの魂は司教の信念に打ち砕かれる。迷いあぐねているうちに、サヴォワの少年の持っていた銀貨40スーを結果的に奪ってしまったことを司教に懺悔し、正直な人間として生きていくことを誓う。

    1819年、ヴァルジャンはモントルイユ=シュル=メールで『マドレーヌ』と名乗り、黒いガラス玉および模造宝石の産業を興して成功をおさめていた。さらに、その善良な人柄と言動が人々に高く評価され、この街の市長になっていた。彼の営む工場では、1年ほど前からひとりの女性が働いていた。彼女の名前はファンティーヌ。パリから故郷のこの街に戻った彼女は、3歳になる娘をモンフェルメイユのテナルディエ夫妻に預け、女工として働いていた。

    しかし、それから4年後の1823年1月、売春婦に身を落としたファンティーヌは、あるいざこざがきっかけでヴァルジャンに救われる。病に倒れた彼女の窮状を調べた彼は、彼女の娘コゼットを連れて帰ることを約束する。実は、テナルディエは「コゼットの養育費」と称し、様々な理由をつけてはファンティーヌから金を請求していた。それが今では100フランの借金となって、彼女の肩に重くのしかかっていた。

    だが、モンフェルメイユへ行こうとした矢先、ヴァルジャンは、自分と間違えられて逮捕された男シャンマティユーのことを私服警官ジャヴェールから聞かされる。葛藤の末、シャンマティユーを救うことを優先し、自身の正体を世間に公表する。結果、プティ・ジェルヴェから金40スーを盗んだ罪でジャヴェールに逮捕される。終身徒刑(=終身刑)の判決を受けて監獄へ向かう途中、軍艦オリオン号から落ちそうになった水兵を助け、海に転落。通算5度目となる脱獄を図る。

    そして、1823年のクリスマス・イヴの夜。今は亡きファンティーヌとの約束を果たすためモンフェルメイユにやって来たヴァルジャンは、村はずれの泉でコゼットに出会う。当時、コゼットは8歳であったにも関わらず、テナルディエ夫妻の営む宿屋で女中としてただ働きさせられている上に夫妻から虐待され、娘たちからも軽蔑されていた。ヴァルジャンは静かな怒りをおぼえ、テナルディエの要求どおり1500フランを払い、クリスマスの日にコゼットを奪還する。

    道中、後を追ってきたテナルディエを牽制したヴァルジャンは、コゼットを連れてそのままパリへ逃亡する。パリに赴任していたジャヴェールら警察の追っ手をかいくぐり、フォーシュルヴァン爺さんの協力を得たふたりは、ル・プティ・ピクピュス修道院で暮らし始める。母のことをあまり覚えていないコゼットは、ヴァルジャンを父として、また友達として心の底から慕い、愛し続ける。ヴァルジャン自身もコゼットを娘として、あらゆるたぐいの愛情を捧げる絶対的な存在として、彼女にまごころからの愛を注ぎ続ける。
 
 
以上が第一部と第二部のあらすじであります。






明かりの本は新サイトに移行しました!

URLの登録変更をよろしくお願いいたします。



明かりの本 新サイトURL

https://akarinohon.com

(Windowsでも、なめらかな縦書き表示になるように改善しました!)

appleのmacやタブレットやスマートフォンなど、これまで縦書き表示がむずかしかった端末でも、ほぼ99%縦書き表示に対応し、よみやすいページ構成を実現しました。ぜひ新しいサイトで読書をお楽しみください。











 ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  
縦書き文庫の装画
装画をクリックするか、ここから全文を読んでください。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約10秒)
 
『ゲーテ詩集』全文を読むにはこちらをクリックしてください













top page ・本屋map ・図書館link ★おすすめ本 ★書籍&グッズ購入