三面一体の生活へ 与謝野晶子

今日は与謝野晶子の「三面一体の生活へ」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
あのー、ネルソンマンデラ氏の追悼式で手話通訳を失敗し続けた男というのが新聞記事になっていて、その通訳がいったいどういうものだったのかを研究した人まで居たそうです。それによると追悼式でこのような手話通訳をしたんだそうです。「さー、パーティーを始めようぜ。大きな魚、小さな魚、段ボール箱!」このでたらめな誤訳が、ちょっと現代詩みたいですごいんですよ。全文が読んでみたくてたまらないんですが、なかなか全文は見つけられないのがざんねんです。
 
 
それから自分はネルソンマンデラ氏の追悼番組を見て、マンデラってじつは27年以上も投獄されていたのに、看守たちと交流を深めていって、しかも釈放されたあとに大統領になると、今度は逆に自分たちを虐げた相手に「復讐してはならない」という重大な取り決めをして、融和政策を実現したという、そういうすごい人だったんだとはじめて知って。まだマンデラ氏が牢屋に入れられている時期に創られた「マンデラに自由を!」という音楽とかがyoutubeにアップロードされているので興味のある方は聞いてみてください。
 
 
自分もなにか、人種差別撤廃という本を読んでみたくなって古い本を探してみました。戦前は国が差別問題をむしろ悪化させていて、なかなか差別に反対するという明言をする作家が居なかったようなんですが、その中で、与謝野晶子が平和憲法の基本を先取りして書き記すような随筆を残していて、差別に反対するということがはっきりと描かれていて、与謝野晶子はここまで徹底して考え抜いた人だったんだと知って驚きました。
 
 
与謝野晶子は、社会について説明するときに、三つの面を意識してみてはどうだろうかと提案します。1つは個人生活で、2つめは国民の生活で、3つめは世界の生活です。そういえば夏目漱石がある講演で国家的な道徳よりも、個人的な道徳のほうが重大だということを若い人たちに注意深く述べていて、そこにも呼応する話で興味深かったです。
 
 
与謝野晶子は、まずなによりも自分たちは、幸福を追い求めて生きていますと述べます。それを実現してゆく最中で、壁にぶつかることがあって、それは個人の生活と、国民の生活と、世界の生活のそれぞれの方針が真逆になってしまうことがあるからなんだと説きます。マンデラ氏の時代で言えば、看守たちとマンデラが個人的に打ち解けあっているのに、国家がマンデラ氏や黒人たちをいつまでたっても釈放しないという状況がこれに当てはまります。
 
 
与謝野晶子は、個人・国民・世界という3つの面のどこに片寄ってもいけないし、なによりも「個人と世界の幸福」に反してゆく国家の方針を、どうあっても是正して、3つの価値観が調和してゆかないと危険だというんです。
 
 
これが書かれたのは1918年ごろのことで、そのちょうど30年後の1948年頃の戦後民主主義社会を与謝野晶子がみごとに考察しているという事実に衝撃を受けました。激しい変化が訪れていた時代に30年後のことを、ここまではっきりと見抜けるというのは並大抵のことでは無いと思うんですが。
 
 
また、世界市民としての意識を養うには、たとえば海外の古典芸術や学問に接するときにそれが生じてゆく、と与謝野晶子は述べています。国同士のいがみあいというのが個人の中で霧消してゆく瞬間というのがあって、それは海外の優れた学問・芸術に接しているときだ、と記されています。三つの面が齟齬をきたさずに融和するよう教育界でも働きかけねばならない、ということが記されています。学問と芸術がどのような領域を開拓し、経済が国家をどう導くのか。これが明確に記されているので、興味のある方はぜひ本文を読んでみてください。
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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