渦巻ける烏の群 黒島伝治

今日は黒島伝治の「渦巻ける烏の群」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
これは農民や労働者を描き続けた黒島伝治が、シベリアでの戦争状態を描いたものです。黒島伝治は、21歳でシベリア出兵に参加させられた現実を元に、戦争文学を記してゆきます。とうぜん反戦が土台となった作品なんですが、とにかく現実をもとにして描いているので、込み入った内容になっています。ほんとうにごく普通にこれまで、農業を続けてこられた人びとが、いきなり戦地に強制連行されて、武器を持たされて、言葉もほとんど通じない相手を前にして、飢えと冷害に苦悶します。
 
 
戦争文学を読むのはむつかしいという方は、「水木しげるのラバウル戦記」が読みやすくおすすめですので、ぜひどうぞ。
 
 
黒島伝治は、漱石や鴎外と比べてしまうとあきらかに小説が上手くないんですけど、しかし実際の体験が見えてくる描写なので、読み応えのある作品だと思います。十五年戦争での死因の最大のものは、従軍中の餓死で、非常に多くの人々が農家から強制的に連れてゆかれて、戦地で餓え死にせざるを得なかった、ということを俳人の金子兜太氏をはじめとしてあらゆる戦争体験をした方々が書き記しています。本文が、伏せ字となっていますが、黒島伝治はこう記します。
 
 
  誰のために彼等はこういうところで雪に埋れていなければならないだろう。それは自分のためでもなければ親のためでもないのだ。懐手をして、彼等を酷使していた者どものためだ。それは、××××なのだ。
 
それから、凍死する寸前の男を描写しながら、こう記します。
 
  何故、シベリアへ来なければならなかったか。それは、だれによこされたのか? そういうことは、勿論、雲の上にかくれて彼等、には分らなかった。
 われわれは、シベリアへ来たくなかったのだ。むりやりに来させられたのだ。――それすら、彼等は、今、殆んど忘れかけていた。
 彼等の思っていることは、死にたくない。どうにかして雪の中から逃がれて、生きていたい。ただそればかりであった。
 



 
 
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 ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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