神曲 浄火(29) ダンテ

今日はダンテの「神曲 浄火篇」第29曲を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
天堂にほど近い煉獄のいただきで、マテルダ夫人はこう歌います。「罪をおおわれた者はさいわいである」
 
 
罪が霧消するわけじゃないんだな、と思いました。そもそもキリスト教ではすべての人々が生まれながらにして原罪があるわけなので、罪が消えない。罪が赦されるとか、覆われるというのがふさわしいんだと思いました。
 
 
いったい、地獄から煉獄と来て、天堂に向かうときに、どういうように書きあらわすのかというと、苦しい現実から180度回転して、詩の世界へ入っていくんだなと言うのがちょっと予感されました。天使たちのパレードのような、うるわしい歌声とあざやかな光が訪れて、主人公ダンテは感動します。そうして、師ウェルギリウスを見つめると、彼もおどろいている。ここから導き手は、ウェルギリウスでは無く、夫人にうつっています。夫人は主人公をこう叱るのです。
 
 
「あなたは輝きの外見だけに目を奪われて、そのあとに続いている人々を見ていないではないですか」
 
 
白い衣装に身を包んだ人々が七色の光とともに歩んでいる。百合の花を冠にかざした二十四名の長老たちがやってくる。そうして、こういう歌声がしている「アダムの女(エバ)のうちにいて、あなたがたはさいわいです。あなたの美しさは、永遠に幸いです」
 
 
地獄が雄雄しさと男臭さに塗れていたのに対して、天堂は、女たちの世界なんだと判って、この宗教や思想の歴史上きわめて先進的な描写にショックを受けました。師と仰ぎ続けたウェルギリウスのさらに先に、あまたの女たちがいて、さらに最愛のベアトリーチェが存在している。
 
 
三人の天女が、グリフィンのひく車とともに舞い降りて来ます。
 
 
燃えるように赤い女。エメラルドのように耀く女。雪のように白い女。
それぞれ、愛と、希望と、信仰の天女なのでありました。山川訳はこうです。
 
 
舞ひめぐりつゝ進み來れるみたりの淑女あり、そのひとりは、火の中にては見分け難しと思はるゝばかりに赤く 
次なるは、肉も骨も縁の玉にて造られしごとく、第三なるは、新たに降れる雪に似たり 
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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