草枕(3)夏目漱石

今日は夏目漱石の「草枕」その3を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
夜の闇に沈む、宿の描写が美しいです。主人公は、山の中のごく小さな宿で、若冲の絵を見ます。
 
 
夢の中。川に流されてゆくオフィーリアがあらわれて、ただ美しい声で歌っている。助けようと思って、さおを持って男は走っている。
 
 
草枕を読んだのは、ぼくは三年くらい前なんですが、つい最近、漱石の書いた夢のはなしが、じっさいに自分の夢の中に出てきて驚きました。印象に残る物語なんだなあと、改めて思いました。というか、オフィーリアの絵が好きになりすぎて、好きになるとたいてい夢に出てくるもんだと思います。
 
 
眼を覚ました主人公は、深夜の庭に、見知らぬ女が佇んでいる、そんな気配を感じた。いったいなんだったのだろう、と思う。漱石の「夢十夜」に共通する神秘性が描かれていました。
 
 
作中で、ときおり芸術論が記されていて、それが読んでて面白いんですよ。

 怖(こわ)いものもただ怖いものそのままの姿と見れば詩になる。

えっ、そうなんだと思いました。怖い原因を考えたり調査したりして、詩人は詩を書いているのかと思ったら、そうではなしに、感情を写しとるところでもう、詩になりうると、漱石は指摘しています。
 
 
あと、漱石がその後、恋愛の三角関係を、文学の中心に置くようになる、その布石も記されていました。こんなのです。
 
 失恋の苦しみそのものの溢(あふ)るるところやらを、単に客観的に眼前(がんぜん)に思い浮べるから文学美術の材料になる。

  
この箇所おもしろいんですよ。苦についても、その記憶を書いていると苦がすっと消えていって愉快で楽しい記憶を呼び覚ましてゆくんだと、漱石は記しています。よっぽど書くのが上手い人だったんだなあーと、感心しました。あと、主人公は、ターナーの汽車の絵を絶賛しています。原画で見てみたい絵画のナンバーワンだと思います。
 
 
風呂上がりに、宿の女にはたと出会う。そのシーンもすばらしかったです。
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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