今日は夏目漱石の「坊っちゃん」その(4)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
漱石が、上司に対する不満をこう、この章でぶちまけております。漱石はあまりこう、会社員が上司に苦しめられるような人生じゃ無かったので、どうもカラッとした表現で、そこがおもしろいように思います。
先輩たちは、宿直をしないで良いという特権がありながら、主人公は宿直をせねばならず、夜中も学校の中に居るはめになった。夕方にすることがないので、勝手に温泉に行ってしまった。主人公としては晩に学校に泊まればよかろう、くらいに考えている。
校長や先輩教師たちから「宿直が無暗に出てあるくなんて、不都合じゃないか」といわれて「ちっとも不都合なもんか、出てあるかない方が不都合だ」と言い返す。この切り返し、かっこいいなあ、漱石のケンカってかっこ良かっただろうなあ、と思いました。
江戸っ子だ、と思うところが多い小説で、宿直の部屋で寝るときの所作でさえ、変に特徴があるんです。原文はこうです。
なるべく勢いよく倒れないと寝たような心持ちがしない。ああ愉快だと足をうんと延ばすと………
そうすると、ふとんの中にバッタが何匹も居た。誰のいたずらだと言うんで、さわぎが起きる。バッタだバッタだと騒いでいると、学校の寮で寝ている生徒の一人から「そりゃイナゴぞなもし」と言われてしまう。
いたずらがあったら、とうぜん罰がなければハナシにならない。罰があるから、いたずらが楽しくできるのだ、ということを男が言いはじめます。
言葉が普通よりももう一段積みかさなって、新しい感覚になっていておもしろかったです。考え方の石段をぽんぽんと駈けあがっていって、さいご、清というおばあさんへの思いに通じてゆくのが、じつに気持ちの良い構図でした。本文はこうです。
考えてみると厄介な所へ来たもんだ。一体中学の先生なんて、どこへ行っても、こんなものを相手にするなら気の毒なものだ。よく先生が品切れにならない。よっぽど辛防強い朴念仁がなるんだろう。おれには到底やり切れない。それを思うと清なんてのは見上げたものだ。教育もない身分もない婆さんだが、人間としてはすこぶる尊とい。今まではあんなに世話になって別段難有いとも思わなかったが、こうして、一人で遠国へ来てみると、始めてあの親切がわかる。
ここから先の、男と子どもらとの対決の描写は、勢いがあって圧巻でした。
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ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。
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