破戒(12) 島崎藤村

今日は島崎藤村の『破戒』その(12)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
この章で、ちょうど中間地点を越えたあたりになります。冒頭、叔父の一家と別れるときに、このようなシーンがありました。
 
 
 叔母が汲んで出す別離の茶――其色も濃く香も好いのを飲下した時は、どんなにか丑松も暖い血縁のなさけを感じたらう。
 
 
今回、元の暮らしへ戻るその旅路が描かれていて、あ、ここを書くのか、すごいなと思いました。ふつう、テレビのドキュメンタリー番組でも、取材を終えたあとの、その帰りの旅路は書かないですし、映画でもここはかなり省略すると思うんです。しかし、どうも藤村は、この移行するところを、かなり意識的に物語の中心に据えています。物語前半の引っ越しの時も、家財や荷物が町なかを移動しているところを印象深く描いています。
 
 
丑松が、暗い過去を隠して結婚した男女の、その隠蔽をはかっているところを目撃するところは、なんとも淋しい描写でした。
 
 
この古い物語が、なぜだか現代にも、強く共鳴してくるというのが、たいへんに不思議なんですよ。竹の皮に巻いたおむすびを持って、わらじをはいて旅をしている時代なんですよ。それなのに、ですね……。えー、この一文が印象に残りました。
 
 
  丑松は隅の方に両足を投出して、独り寂しさうに巻煙草を燻し乍ら、深い深い思に沈んで居た。
 
 
このあとの旅路に於ける自然界の描写がすこぶる良いんですよ。丑松は、仕事場のある飯山の村に帰りついたのでした。
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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