智恵子抄(49) 高村光太郎

今日は高村光太郎の『智恵子抄』その49を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 

  光太郎智恵子はたぐひなき夢をきづきてむかし此所ここに住みにき


という詩で、すべて終わった智恵子抄なんですが、この詩集には、随筆があと3つあるんです。
 
 
随筆になった途端に、高村光太郎は、本業の彫刻のことや智恵子の絵画のことを明確に語りはじめるんですよ。それが詩としては直接には記されなかったのが、興味深かったです。とくに彫刻や絵画のことを9割以上の詩でまったく語っていないのに、随筆ではとうとうと書きしるしているのが、なんだか不思議な展開だと思いました。
 
 
そればっかり考えているときに、そのことは直接は詩にならないもんだなあと思いました。自分の作った彫刻を智恵子に手渡して、智恵子はそれを愛撫し……という情景は、いかにも詩になりそうなのに、そこはなぜだか書かなかった。そして随筆には詳細に書けてしまう。
 
 
この無意識の区分けがどうにも興味深かったです。随筆をまったく書かない小説家とか、随筆と小説での明るさ暗さの差異が激しい作家とかほんとにいるから、なにかこう、ジャンルによって意味がまったく違うんだろうなあーと思いました。
 
 
太宰治は小説なのか随筆なのか判らない作品を書いていますし、あと漱石には論説なのか小説なのかその境界が不明な作品もあるし、そういう混じりあったものも魅力があるんですけど、高村光太郎は、その差異がはっきりしているんです。本文の、この言葉がすてきでした……。
 
 
  ……だが今は書かう。出来るだけ簡単に此の一人の女性の運命を書きとめて置かう。大正昭和の年代に人知れずういふ事に悩み、かういふ事に生き、かういふ事に倒れた女性のあつた事を書き記して、それをあはれな彼女へのはなむけとする事を許させてもらはう。一人に極まれば万人に通ずるといふことを信じて…………
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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