放浪記 第三部 林芙美子

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今日は林芙美子の「放浪記第三部」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
これは放浪記の最終巻で、作家になった林芙美子の自伝が描かれているんですが、林芙美子が19歳の頃に関東大震災があって、この小説でもそのことが何度か描かれています。東京からときおり離れていって流浪しているというのは、震災があったためです。林芙美子は震災後の流浪の生活や、都会暮らしがどういうものだったのかを詳細に書いてゆくんですよ。
 
 
林芙美子は、貧しいこととか悲しいことについての、お互いの共通点を通して人との繋がりを見出す人のようで、生田長江のらい病についてであるとか、大杉栄の虐げられた事実などに共感しているようです。林芙美子はユーゴーのレミゼラブルを読んでいて、しかしもうあんまりにも貧しくてそれも売り払ってしのいでゆくしかないという窮状が記されています。アンパンマンじゃないですけど、ジャムパンが空を飛んできてくれたら良いのに、って書いてるんですよ。それくらいものが食べられないんです。
 
 
食うものが買えないし、時間的な余裕が無いという貧しさの中で、林芙美子はこう誓うんですよ。「千頁の詩集を出してやる!」と心の中で叫ぶんです。奇想天外な詩集を出したい、と書きつけています。林芙美子は泣いている自分というのをよく描くんですが、それが心地よいんだとこの自伝に記しています。それから自分がどうも蛆のようだということを美しく書くんです。生粋の詩人なんだなと思いました。林芙美子はチェーホフとかトルストイという作家に憧れを持っていて、それについてもこの第三部で書いています。
 
 
思い人に手紙を書いてみるんですが、その相手はもう結婚をしていてどうにもならない。ヨシツネさんという男からとつぜん「これはプラトニックラブなんだ」と言われて笑ってしまう。食うや食わずやというところでもやっぱり恋愛というのがある。
 
 
この小説の最後に「私はうとうと二十年もさきの事を空想する」という文章があります。そこから先の巻末までが美しかったです。震災できびしい暮らしにおちいって、そうして一段落ついて未来のことを考えるようになった。
 
  

 
 
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 ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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