ユネスコと科學 仁科芳雄

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今日は仁科芳雄の「ユネスコと科學」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
さいきん暗い題材ばかりで申し訳ないんですが、今回は未来の科学技術の恐ろしさについてなんですけど、原発が日本に入った時期は1950年代で、その当時に原発が悪い業態だということを理解していた方は非常に少数で、その少数の人こそが正しかったわけなんですが、おおむね平和利用だから問題ないだろうと思われていました。それで、福島第一原発崩壊後の日本では知識人が九割以上、一般の方も共同通信の世論調査によれば七割以上が原発は減らしてゆくべきだという判断をして居るんですが、原発が始まった頃には、まさかそういう未来になるとは、ほとんどの人が思っていなかったんです。
 
 
仁科芳雄は、原子力や科学は使う人の心によって善悪の結果が別れると言うんですが、自分はそれは違うと思いました。そもそも2011年初頭の福井と福島の原発には、使う人の心のちがいはそんなにありません。
 
 
技術に関する判断力のことを考えているときに、いつも「むかしの天気予報」のことが思い浮かぶんですよ。かなり昔には、どのように博学な人も「明日の天気が判らない」というのがほんとに当たり前でした。どんなに賢い人でも朝に「傘持ってくかなあ、持ってかないかなあ」というのが判らなかったんですよ。いまだったら、天気予報を見る機会さえあれば、「なんだ夕方から大雨か」ってほぼ確実に判るんですよ。
 
 
昔はどんなに賢い人も判らなかったのに、いまではどんだけ間抜けでも天気予報を見るクセさえあればかなりの確率で明日の天気が判るんですよ。いやあさってとかしあさっての天気も簡単に判る。昔はぜんぜん判らなかったのに。
 
 
これ10代の人にはそういう経験無いからピンと来ないんだろうなあと思うと、かなりショックです。半世紀くらい前には天気予報に莫大な予算を注ぎ込んで、でも正解率がぜんぜん駄目で、ところが天気の研究が五十年以上熱心になされてきて、もうかなりの正解率になってきた。エライ研究者がそういう技術をつくりあげて、アホな自分でも明日の天気がかなり判るようになった。
 
 
それで、震災後にいろんな原発に関する評論を読んできて、自分は「判った!」と思ったことがあるのをひとつ書いておきます。新しい科学というのは、長い歴史の技術とは比べものにならないほど多分なマチガイをしている、ということを説明した哲学者の方が居て、要約すると「哲学というのは、いつまでたっても明らかにならないものを考える技術。科学は明らかになっていないものを重視しない仮説群」という話だったんです。
 
 
それを読んだ時に、なるほどそういうことだったのかと思ったんですが、それによると長く続いてきた科学は頑強で、新興科学というのはほんとにマチガイだらけで当然だ、と納得できたんですよ。しかしそれにしても原発が良いか悪いか判らない1900年代に、未来人である自分たちがなにか言うとしたら、いったいどんなことを伝えたらよかったんでしょうか……。原発技術が始まった頃に、哲学者のハイデッガーがその危険性をいち早く思索し、こう記しているので引用しておきます。
 
 
  根本的な問いは、我々は必要に足りるだけの燃料や動力源をどこから獲得してくるか、ではなく、決定的な問いは、この考える(表象する)ことができないほど大きな原子力をいったいいかなる仕方で制御し、操縦し、かくして、この途方もないエネルギーが突如としてどこかある箇所で檻を破って脱出し、いわば《出奔》し、一切を壊滅に陥れるという危険に対して、人類を安全にしておくことができるか、という問いであります。
(ハイデッガー『放下』ハイデッガー選集15巻 より)
 
 
どの箇所に誤謬があって、どこが頷けるのか、というのが仁科芳雄の主張を読むと腑分けしやすいと思いました。
 
 

 
 
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 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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