ファウスト(32) ゲーテ

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今日はゲーテの「ファウスト」その(32)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
前回、かなり不思議な場面が続きました。ファウストが「母達」という存在を呼ぶのですが、その言葉が謎めいています。森鴎外訳はこうです。
 
 
無辺際に座を構えて、永遠に寂しく住んでいて、
しかも集れいる母達よ。御身等の名を以て己は行う。
生きてはいずに、動いている性命の象が、
おん身等の頭を繞って漂っている。かつて一度
光明と仮現との中に存在したものは、悉く
ここに動いている。永遠を期しているからである。
 
 
美しい文でありすぎて、むずかしすぎるので現代語訳でも読んでみました。「いのちなきいのちの影が、母たちの頭上をとりまいている」ということが書いていました。自分の解釈では、かつて生きていたものたちの魂のあつまりが、耀きながら母たちの周囲を美しく舞っているんだと思いました。これ舞台劇の脚本でもあるわけですから、いったい演出家はここをどう表現するんですかねえ?! まったく別の映画で見た、あの幻想的なシーンは、ファウストのこの「母たちとの邂逅」のシーンをイメージして作られたんじゃ無いかなあ、とか思いました。
 
 
そうしてヘレネが登場します。ヘレネというのはギリシャ神話に登場する、歴史上でもっとも美しいとされる女のことです。ここは官能的な描写もあって、作者のゲーテがいかに異性を愛してきていて、女をこうごうしいものとして描きたがっているのかというのが如実に感じられるシーンで、読んでいてうなりました。ヘレネは、ただ登場して、そこに居るだけなんです。それでもう完全に魅了されてしまう。ゲーテの体験してきた恋というのは、ここまですごいものだったんだろうなあと思いました。おそろしいまでに美しいという女なんですよ。全文を読まなくても、この部分の詩だけを読むんでも、本を一冊買う価値があると思います。森鴎外の翻訳がやっぱり一番すごいかもしれません。
 
 
また第二幕では、一寸法師のようなごく小さな「小人」というのが瓶の中で誕生します。ワグネルという学者によって生みだされたこの小人は、じつに不可思議なことを次々と告げてゆくのでした。まるで美しいサーカスの一場面を見ているようなめくるめく描写でした。
 
 
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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