神曲 地獄(11) ダンテ

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今日はダンテの「神曲 地獄篇」第十一曲を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
ダンテと師は異常な臭気をはっする地獄の底へと降りてゆきます。今回、具体的に人々がどういう罪をおかして地獄で裁かれているのかが明記されています。人をあざむいたとか、横着をして不正に加担したとか、世間に入っていれば必ずやってしまうようなことを明確に罪として描いていて、殺人者や強奪者とともに、地獄で永遠に苦しむというような描写になっているんです。やっぱりダンテは聖書をかなり土台にしていて、読者に、自分の罪を意識させるという描き方をしているなと思いました。
 
 
それから、震災以降ずっと考えていて判らなかったことについて、ダンテが記していて、古典でもこのような問いがあったのだということに感銘を受けました。
 
 
ダンテは作中で、師の言葉を借りてこう記します。人間のなりわいと技術は、およそ可能なかぎり自然界の恩恵を受けて成り立っている。自然界と技術という二つの力の協働によって人々は生きながらえてきた。いわば人類に不可欠な食文化などがこの中心です。農業や漁業や畜産こそが人類の最大の技術です。のまず食わずで生きている人間なんて1人もいない。ところが自然界に逆らう技術というのがあって、高利を貪る資本至上主義や、現代で言うと原発技術は、自然そのものや自然界の技術を壊し、人々の生活を立ちゆかないものにしてしまう。ダンテは本作でそういう具体的な悪についての問いを発しているんです。
 
 
資本家が、永続的な資本の流れを作ってゆくことが現代の畜産の危機を現実に救ってもいるわけですから、高利貸しが悪というのは現代には全く当てはまらない場合もあると思うんですが、ダンテは当時の国家の危機について具体的に考え、どこに悪があるのかと言うことを問い続けています。山川訳はこうです。
 
 
我曰ふ、あゝ一切のみだるゝ視力を癒す太陽よ、汝解くにしたがひて我心をたらはすが故に、疑ひの我を喜ばすこと知るにおとらじ
請ふなほ少しく溯りて、高利を貪るは神恩にさからふものなりとの汝の言に及び、その纈(むすび)を解け
彼我に曰ふ、哲理はこれを究むる者に自然が神の智とその技よりいづるを處々に示せり
汝また善く汝の理學を閲(けみ)せば、いまだ幾葉ならざるに汝等の技のつとめて
自然に從ふこと弟子のその師における如く、汝等の技は神の孫なりともいひうべきを見ん
人みな生の道をこの二のものに求め、しかして進むべきなり、汝『創世記』の始めにこの事あるを思ひ出づべし
しかるに高利を貪るものは、これと異なる道を踏みて望みを他に置き、自然とその從者をかろんず
されどいざ我に從へ、われ行くをねがへばなり、雙魚天涯に煌めき、北斗全くコーロの上にあり
しかもくだるべき斷崖(きりぎし)なほこゝより遠し
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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