神曲 浄火(13) ダンテ

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今日はダンテの「神曲 浄火篇」第十三曲を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
今回、慈愛という言葉が印象的に記されていて、それで神曲の中でダンテは、この言葉をどう使っているだろうかと思って調べ直してみました。神曲地獄篇では二十六曲でたった一回、そして浄化篇(=煉獄篇)でもこの十三曲で一回だけ使っているんです。まだ二回しか出てきてない言葉です。ダンテは小説家と言うよりも詩人で、まったく詩のように、言葉を印象的に使い、くりかえし積み重ねることの多い作家だと思うんですがもっとも印象的なのはやはり、舟への描写です。地獄篇では、かつてだれもその大海へ出て帰ってきた者の居なかった世界の果てそのものである大西洋のかなたへ向かわんとしている船長が、子への慈愛を想起しながらも、世界の終わりを目指して舟に乗りこんでしまう。その心情をうたった描写に、この言葉が使われています。山川訳はこうです。
 
 
子の慈愛、老いたる父の敬ひ、またはペネローペを喜ばしうべかりし夫婦の愛すら
世の状態人の善惡を味はひしらんとのわがつよきねがひにかちがたく
我はただ一艘の船をえて我を棄てざりし僅かの侶と深き濶き海に浮びぬ
 
 
それから浄化篇十三曲においてはこんなふうに使われています。まずこの十三章における煉獄では、嫉妬羨望の罪を清めることが中心になっています。それゆえに、彼らは、見える眼を天使たちによってふさがれてしまっている。はりがねでまぶたを塞がれています。彼らは生前に、嫉妬に狂い罪をなした人々なんであります。彼らは天使たちからさまざまな歌声を聞く。それは奇妙な不和についてなんです。
 
 
人々を愛の食卓に招きよせては「あなたにおいしいぶどう酒はありませんのよ」と天使は、今めしいているものたちにささやきかける。それから「あなたのこころを傷つける人を愛しなさい」と耳もとで告げる。
 
 
これはいったいどうしたことかと、ダンテは師ウェルギリウスに問います。師はこう答えます。「ここで彼らは、ねたみの罪を、愛の鞭で打たれている」その鞭は、慈愛によって編みこまれている、と言うんです。地獄篇とは異なり、浄化篇では罪と罰の中心に、愛が込められていて、それゆえに苦悩が深まるという描写です。目をふさがれていて、ただ光をもとめてあえぐしかない、という過酷な状況が続きます。
 
 
ダンテはこの現実に震え、あなたたちは必ずいつか光をみる、と言わずにはおれませんでした。一人の女が、現世での罪を告白します。他人の不幸が蜜の味に思えたというのです。ダンテは自分の死後、きっとこの罰を受けるに違いないと確信します。ダンテにも、他人の成功をねたむ嫉妬心というものがあるようです。彼女は、現世の人々に彼女の未来について祈ってくれることを待ちわびているのでした。
 
 

 
 
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