鳥 横光利一

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今日は横光利一 の「鳥」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
これは横光利一にしてはくだけた文体で、自分のことをバカだとおもっている主人公が書いたようにしるしてあって、リカ子とQと「私」との三角関係のことが描かれています。星新一の小説でも読んでいる気分で読みました。
 
 
妻だったリカ子をQに奪われた「私」は、それを「彼にリカ子を与えたのだ」などと考え出す始末で、どうも頭のネジがいっぽん抜けている。科学の研究をしながら美女との恋愛がからんでゆくという話なんです。「私」はリカ子と結婚したばかりだったのに、なぜかQとの友人関係のほうがクローズアップされる。とにかくどうも目の付けどころが変なんです。Qっていったいなんなんだ、と思えてきます。この小説のタイトルもなぜ「鳥」なのか。いったいいつになったらバードが出てくるのかも、ちっとも判らない。本文にはこう記されています。3つほど抜粋してみます。
 
 
  一言の争いにも彼女はしまいにQの名を出し、独りいる時は絶えず紙の上へQの名を書き、睡眠の時の囈言にもQの名を呼び始めた。

  実はリカ子もQを愛しており、Qもリカ子を愛していたのだと分ってみると、私の狼狽の仕方はもう穴ばかり捜して隠れることよりなくなり出した。かつてのQの美徳のためになされた私達の結婚が、これほども私に不幸を与えたことを私は歎き続けた。
 
  私はリカ子の顔を見せられる度毎に、私とQとの美徳を押し合う悪徳について考えずにはいられなかった。しかもリカ子は私を愛していないにも拘らず、私を憐れむ姿に愛情の大きさをさえ含めなければならぬのだ。
 
  AとQとは、この二人の闘いならどこまでいってもAが勝ち続けるに定っているのだ。その度にリカ子がQを軽蔑するなら、――私はリカ子をQに返したことは彼と彼女とのためには最大の悪徳でさえあったことに気がついた。
 
 
なにがなにやらわからない、マグリットの絵を見ているようなめくるめく短編小説です。
 
 

 
 
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 ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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