私の子供時分 伊波普猷

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今日は伊波普猷の「私の子供時分」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
1876年(明治9年)に生まれた伊波普猷(いは ふゆう)の描いた、1880年代初頭の沖縄の、ごく普通の家族の思い出が記されています。学者さんが、子ども時代を振り返って書いているので、情感と観察力が両立していておもしろいんですよ。
 
 
ちょっと裕福な家に育ったそうで、めしを食わない子どもで、これを改善するために、おじいさんが近所の貧しい子どもと食事をさせて遊ばせたというのがおもしろいなとおもいました。おじいさんは猫もかわいがっていて、家に帰ってくると猫たちがわーっと寄ってきた。
 
 
廃藩置県のころの沖縄がどういうものだったかも、ちょっと書いています。ちょうど運悪く、この政治変化によって、家の出世の可能性が閉ざされてしまったため、おじいさんはがっくりしていたそうで、こう記されています。
 
 
 祖父さんはこの恐ろしい世の中で、その最愛の孫の行末がどうなるだろうということばかり考えていたらしい、彼は沖縄が今日のように幸福な時代になろうとは、夢にも思わなかったであろう
 
 
叔父が、このころの沖縄としてはきわめて珍しく、東京の学校で学びはじめた。しかし残念なことに十八歳でチフスにかかって亡くなってしまう。そのような家の変化に合わせるように、伊波普猷も東京で学問をするようになった。
 
 
那覇からたった4〜5キロ先の首里の学校の寮に、10代前半の子どもを旅立たせるのを、家族みんなは、現代で言ったらイギリスにでも留学させるように惜しんだという描写があって、読んでておもしろかったです。NHK朝の連続テレビ小説かよと思いました。こんなことが書いてあります。
 
 
 当時はまだ階級制度の余風が遺っていて、貴族の子は平民の子を軽蔑したものだ。こういう所へ私のような他所者が這入ったからたまらない……
 
 
いつの時代もだいたい同じことが起きているんだなあーと思いました。明治21年(1888年)ごろに、沖縄でも軍歌を教えはじめた、ということが記されていてここからの約60年間が沖縄の激動の時代なんだなと思いました。だんだん軍隊式の学校教育がいやになって、自分で自然観察と読書をはじめるようになった。それから沖縄史を教えてくれる、田舎の先生のはなしがとてもおもしろかったのだと、書いています。そうして伊波普猷は民俗学者になってゆきます。生徒の性質を髪の毛ごとまるごと刈り取ろうとする学校教育者に対し、抵抗をする、という物語があって、魅了されました。
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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