草枕(10)夏目漱石

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今日は夏目漱石の「草枕」その10を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
漱石の初期の活動を、時間軸でまとめてみました。図にすると、こうなりました
 
 
zunisuruto_souseki  
 
「吾輩は猫である」脱稿の、ほんの10日後に「草枕」を書き始めた、と聞いたことがあったので、思わず2作目の作品だと勘違いしてしまっていたんですが、そうではなくて、その前にあの痛快な「坊っちゃん」を書いたり、難読の短編「倫敦塔」を書いているのでした。
 
 
こうして図にしてみると、執筆速度がすさまじい人だったんだなあと、改めて思いました。ぼくが20歳の頃には、学校にたった50ページの論文を提出するだけでも、だいたい半年くらいかかったのに、漱石は小説を書き始めた頃から、あんな難しい文章をいきなり何百ページも、大量に書いていたというのを改めて知って、びっくりしました。
 
 
今回の「草枕」の第10章では、漱石の洒脱さを楽しめました。漱石は、都会をくさすときにこんな書き方をするんであります。
 
  都会は太平のたみ乞食こじきと間違えて、掏摸すりの親分たる探偵たんていに高い月俸を払う所である。
 
 
主人公が3丁未満(約300メートル)の、鏡が池を見にゆくんですが、どうも自然のことがいまだによく判らないんですけど、なぜか山の中腹あたりに、ため池があったりするのを何度か見たことがあるんですけど、あれはいったいどうやって水がたまったのか、なぜあんなに標高の高いところで、水が涸れないのか僕にはよく判らないんですけど、主人公はそういうところを見てまわっています。
 
 
ところで、深山椿というのは、深山に生える椿のことで、こういう花です。漱石の草枕は熊本の金峰山を舞台にしているんですけれど、ぼくは中国地方にある山間の池のほとりで、椿をみて、この不気味さを感じたんですが、ほんとに、漱石が書いているとおり、そこはかとない毒々しさを感じるんです。木々の生命力が強すぎて、藪から蛇や獣が出てきそうに思えて、怖ろしくなって立ち去ったんですけど、昔はもっと自然界の猛威がきつかったはずで、この漱石の描写はすこぶる迫力がありました。
 
 
この風景を見つめながら、画家は、あの宿の女の表情には、何か一つだけ欠落しているものがあるということを考えます。なにかといって、あわれ、というものがあの那美という女には欠けている。それさえあの女に宿れば、それはオフィーリアに匹敵するような、美しい顔になる……。
 
 
よほど古い昔に、鏡が池では悲恋によって不幸な事態におちいった、志保田の女がいるそうだ、という話を主人公は聞きます。主人公は、山の中であの、かつてとうとつに裸であらわれた那美のすがたを、ほんの一瞬見るのでした。妖しいはなしになってきました。
 
 

 
 
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