海潮音(19) 上田敏

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今日は上田敏の海潮音その(19)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
今回のジャン・モレアスの「かぞへうた」は、とくに難読で、迷宮のような詩でした。難しい詩は、3回くりかえして読んでみたら、だいたいの意味が判るんですけど、今回のはなんど読んでみても、言葉の意味がなかなか入ってきませんでした。しかたが無いので、一字一字意味を現代語で読み直してみて、メモしてゆくと何となく読めました。
 
 
花は散り、川は凍り、ああ歓楽よ、悲哀よ……。と、はっきりと判る部分から、判らないところを補完しつつジャン・モレアスの詩を読んでゆきました。
 
 
ごく普通の情景や感情を描いているはずなのに、どうしてこう、明らかにピンとこないところがあるのか、じつに謎だと思って調べていたら、ジャンモレアスというのは、象徴主義(サンボリスム)という概念をいちばんはじめに提唱した詩人で、どうも判りにくくて当然のようなのでした。
 
 
サンボリスムというのはどういうものかというと、artscapeによればこうです。
 
 
  サンボリスムには19世紀末の科学や機械万能主義に対する反発が色濃く反映されている。(略)ルドンらサンボリスムの画家たちに共通しているのは、人間の内面的な苦悩や夢想を絵画によって象徴的に表現しようとした点にある。様式的に見れば、それはレアリスム(写実主義/自然主義)に対する反発であったと言えるが、その背後には同時代の実利的な価値観の下での芸術の卑俗化に対する懸念があったと言えよう。
 
 
象徴主義は、現代芸術や現代映画にだって応用されていて、芸術の方法のその核となった部分で興味深いものですが、ジャン・モレアスはその開祖なわけで、開祖はじつにややこしい詩の描き方をしている、のだ……ややこしくって当然だ……と理解しました。ジャン・モレアスの、以下の詩のことばが印象的でした。
 
 
この一切の無益むやくなる世の煩累わづらひを振りすてゝ、
もの恐ろしく汚れたる都の憂あとにして、
つひに分け入る森蔭のすずしき宿やどり求めえなば、
光も澄める湖の静けき岸にわれは悟らむ。
 
あらずむしろわれはおほわだの波うちぎはに夢みむ。
幼年の日を養ひし大揺籃だいようらんのわだつみよ、
ほだしも波の鴎鳥かもめどり、呼びかふ声を耳にして、
磯根に近き岩枕いはまくら汚れしまなこ、洗はばや。
 
 
興味のある方は、wikipediaに記された、象徴主義の解説も読んでみてください。
 
 
むずかしい言葉を調べてみました。

なじか
 
烏滸をこ
 
わだつみ(わたつみ)

ネアイラ グラウコス プロオティウス(プロメーテウス)
 
和ぎ
 
 
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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