吾輩は猫である(7) 夏目漱石

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今日は夏目漱石の「吾輩は猫である」その(7)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
猫はカラスを威嚇いかくしたり、温泉を見物したり、ダイエットというかジョギングというか健康についてちょっと考えている。海水浴をして体中、塩漬けになれば健康まちがいなしだ、とかいかにも猫っぽいデタラメなことばっかり書いているんですけど、文章が読んでて面白いんですよ。文体がすごいんです。
 
 
漱石は、近現代文学の主要な文体を、一番はじめに完全なものにした作家で、やっぱり文章自体が魅力的なんだと思いました。作中に、こういう文章があるんです。
 
 
  あの渺々びょうびょうたる、あの漫々まんまんたる、大海たいかいを日となく夜となく続けざまに石炭をいてがしてあるいても古往今来こんらい一匹も…………
 
 
漱石は小説を書く前には、漢詩とイギリス文学を愛読していた作家なんです。漱石の文体について、ハッとするようなことが書いている論文があったので引用してみます。
 
  漱石がまだ十代の頃に書かれた日本とイギリスを比較した英文レポートには、日本は「詩的な空、詩的な国土に囲まれ」た「詩的な国民」で、「詩心のある島国の領界に閉じ込められていた」のにくらべ、イギリス人は「実際的な国民」で「日本人は散文的なものを詩に転するのに対し、イギリス人は詩を散文に転ずる」と書かれている(「Japan and England in the Sixteenth Century」)。

【日本近代文学とナショナル・アイデンティティ/2003年/朴裕河氏・著】より引用。
 
 
 
漱石は、十代の頃に書いた文学論どおりのことを、30代後半の処女作でまさに実践しているような気がしました。
 
 
漱石は、イギリス人のように、詩を散文に転じていて、それから詩心にのみ閉じ込められて実際的な世界について思考できない、という日本特有の思考回路から脱するような小説を書いてゆこうとしたんじゃないかと思いました。はい。
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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