破戒(4) 島崎藤村

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今日は島崎藤村の『破戒』その(4)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
第4章では、刈り入れ時の厳しい労働について描いています。そこで主人公丑松は、省吾という少年とぐうぜん出会います。老教師の風間の子どもで、丑松の教え子なんです。
 
 
丑松は、省吾とお志保さんのお母さんがもう居ないことを知る。省吾はもう高等小学校4年生(現代で言うと中学3年生くらい)で、そうして継母と一緒に農家で働いている。昔は、ほんとうに農業機械が無かったわけですから、刈り入れ時が、ほとんど戦場のように過酷な状況だと、藤村はそういうことを丁寧に描いています。
 
 
省吾は継母にいじめられている。それも貧しさと労働とがひどいためだというのを、丑松は知る。丑松は、この家族に同情を寄せつつ、自分の幼い頃を思いだす。それがどうしてだか、美しくて楽しいことばかりだ。この描写がすこぶる良かったです。今、丑松は、出自のことでこんなにも果てしなく悩んでいるのに、記憶に残っているのは、まさにその古里での楽しい思い出なのです。どうも差別はその現地には無くて、権力の奥の方や、遽しい世間の中でそれが生じている。この章の心象描写は、特に秀逸なんです。
 
 
いったい日本文学の誰が、ほんとうに農業を描いたんだろうかと、ずっと判らずにいたんですが、島崎藤村がまさに書いたんだなとはじめて知りました。農業を専門的にやっていたのは他に宮沢賢治、そして長塚節が居るわけなんですが。
 
 
零落した藩士がこう妻に先立たれ子を養えず、農家の女と結婚をした。そうしてもはや働かず、子を放棄して飲み屋で酒浸りとなった。それが省吾の父の敬之進なのでありました。敬之進は己の人生を語りながら笑い泣く。省吾がかわいそうでならない、と言いながら酒に酔いしれる。そうして丑松は彼を家にまで送りとどけると、家族総出で、夜遅くまで農の仕事をずっとやっていた。
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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