今日は夏目漱石の「それから」その11を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
それから、はいよいよ中盤です。全部で17章あります。主人公代助は、誠太郎と話をするのが趣味となっている。代助のいうニル・アドミラリってどういうもんだろうかと思っていたんですが、たぶんこれだろうという箇所を発見しました。本文に、こう書いています。
誠太郎はこの春から中学校へ行き出した。すると急に脊丈が延びて来る様に思われた。もう一二年すると声が変る。それから先どんな径路を取って、生長するか分らないが、到底人間として、生存する為には、人間から嫌われると云う運命に到着するに違ない。その時、彼は穏やかに人の目に着かない服装をして、乞食の如く、何物をか求めつつ、人の市をうろついて歩くだろう。
遊び仲間に対して、ずいぶんひどい言いようですが、じっさい代助はそういうように成長した。絶望している人と言うよりも、超然としてしまっているNEETという感じでしょうか。ほかにもこう書いています。
彼の考によると、人間はある目的を以て、生れたものではなかった。これと反対に、生れた人間に、始めてある目的が出来て来るのであった。
……
これを煎じ詰めると、彼は普通に所謂無目的な行為を目的として活動していたのである。そうして、他を偽らざる点に於てそれを尤も道徳的なものと心得ていた。
学生時代初年の夏休みに、「まったく意味ないこと、価値ないことをしたいなあ」とつくづく思ったことがあるんですよ。というのも、何年かのちに会社員になったら、意味がある事しか出来ないと思っていたからなんですけど。しかし代助は、成人しても、この意味ないことというのが倫理的だと思っている。すごい度胸だ、と思いました。
なんだか、犬のディオゲネスみたいでかっこいいですよ。
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ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約10秒)
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