

今日は魯迅の《自序》を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。これはほんの十ページほどの自伝ですから、ぜひ最後まで読んでみてください。魯迅、というととにかく苛烈な挫折を丁寧に描き出す作家ですが、これはその魯迅が小説を書く動機、を記したものです。
僕は中国というととにかく老子を思い浮かべるのですが、魯迅の「厳しい状況へのまなざし」はまさに、老子の言う「上善は水の如し」を想起させるものだと思います。もっとも理想的なものは水のようであり、低いところに住まいをかまえ、僕みたいに「老子だあ」とか「ガンジーだあ」とか言って崇高なものごとをただ言葉だけで論じようとしたりはせず、人の嫌がる低い所へ流れていく水のような心の持ち主が本物である、と老子は述べるのですが、魯迅はそういうことを実際に行おうとしていたんじゃないかと思います。
魯迅は老子のように寛容さがあるわけでは無いわけで、魯迅らしい過酷さがあるんですが、なんだか壁の前で途方に暮れている人と共にとにかく嘆きを分かち合おうとしている。それで頭をガツンとなぐられたような、涙で川があふれてしまうような衝撃を読者に与えるんだと思います。
ところで魯迅というのは夏目 漱石を愛読していたそうです。すごいですね、夏目 漱石。中国の文化人も愛読して、カナダのピアニストも愛読する。そんなすごい作家がいたとは、とあらためて驚きます。
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