今日はフョードル・ドストエフスキーの「白痴」その10を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
悪人と悪人の闘争、というのが始まりそうな予感がする。ガーニャの怖さと、ロゴージンの迫力はだいぶ差があるようで、毒ガエルとヘビの闘いを見ているような感じなんです。ロゴージンは大金持ちだし派手なんです。手下を何人も連れてガーニャのところへやって来る。
ドストエフスキーは凶悪犯と同じところで暮らしたこともあるし、賭博場に入りびたっていたこともあるし、とにかくヘイトフルな現場での悪漢との付きあいというのが経験として色濃いわけで、そういう作家の経験に近いところを描きだす描写がやっぱり、リアリティーがあって面白いように思うんです。「もはや失うべき何物も持たない死刑囚の大胆さがこもっていた」という文章なんて、そういう経験が無かったら出てこないように思うんです。
ロゴージンの迫力に気圧されて、卑怯者と罵られたガーニャはすくみ上がってしまうんですけれども、ふしぎなことにそこにヒロインのナスターシャが現れると、こんどはロゴージンが真っ青になってしまう。
他人の家に何人も押しかけて入りこむのはダメだと思うんですけど……ロゴージンの言い分はこうです。
あとこういう暴言を、直接いいます。
ロゴージンは、おそろしい大金持ちなんです。
このセリフが不吉なんですよ。ナスターシャもここに居るわけで、彼女は「嘲弄するような、高慢なまなざしで、彼の顔色をうかが」っている。ロゴージンは大金をやるからオレの所に来いと言って札束を投げるんです。この無茶苦茶な申し出に、ナスターシャは激しく笑い始める。
さらに、ナスターシャによって家を汚されたと思い込んでいる女性までこの現場に居て、さかんに叫びはじめる。そこいら中が壊れた人間関係なんです。
ここにまったく無関係なムイシュキン公爵が間に割って入って、全員の身代わりになって、仲裁を試みる。けっかガーニャに殴られてしまう。その場に居たそこら中の人が、公爵に「抱きついて接吻し」て「公爵の周囲に詰めかけ」る。ロゴージンもナスターシャも、ムイシュキン公爵の態度と考え方が、好きになるんです。
いろんな悪態と醜態があって、そうしてみんな、嵐のようにガーニャの家から去って行った。……次回に続きます。
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ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。
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