今日は谷崎潤一郎の「痴人の愛」その(11〜12)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
漱石以後の近代文学でいちはやくフェティシズムを展開したのは、谷崎が代表的なんじゃないかと思うんです。本文、こう書いています。
然るに綺羅子は、意外なことに、踊って見ると実に軽いものでした。体全体がふわりとして、綿のようで、手の柔かさは、まるで木の葉の新芽のような肌触りです。
譲治とナオミはダンスに夢中で、さまざまな友人たちと軽やかに付きあいつつ、楽しい日々を送っているんですが、そのきらびやかな集まりのあとに、なぜか恋人をうとましく思ってしまう。すてきなことをしているはずなのに、祭りのあとのような状況で、暗く落ち込んでしまう。たしかに誰もが経験する奇妙な出来事なんですけど、こうやって顕在化させて描かれていると、驚きがありました。
結婚したころナオミは奥ゆかしかったのに、だんだん派手で贅沢で、小悪魔的ないじめっ子になってゆく……。譲治はその幼い妻に翻弄されているんです。やっぱり文章が流麗なので、読んでるだけで楽しいです。
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ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約10秒)
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