レ・ミゼラブル(14) ユーゴー

今日はビクトル・ユーゴーの『レ・ミゼラブル 第二部 コゼット』
『第六編 プティー・ピクプュス』を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
前回、ナポレオン3世の王政復古に反対したがため追放され、都市パリからさようならをした作者ビクトル・ユーゴーは、数年前に去ったパリを懐かしみながら物語を書き記しています。母の面影のようにパリを思い出す作者は、物語の主人公ジャンパルジャンと少女コゼットの逃亡劇を描くのであります。ジャンはいったい自分がどこを歩いているのか、判らなかった。ジャンヴァルジャンの追っ手が現れます。ジャヴェルとその手下の四人です。ジャンヴァルジャンには、聖者の考えと囚人としての技術のこの2つが備わっていて、追っ手の追跡をかわすのです。ジャンは刑務所から逃げると言うことを若い頃に何度も試みていて、この技術が生きてくるのであります。ジャンは7階ほどの高さの壁を手と足のみでよじのぼる、そういう技術を持っているのであります。壁にぶつかって文字通りそれを乗り越えてしまう男、ジャンヴァルジャン。
 
 
このあたりの描写はまさに、作者ユーゴーが民主化に逆行するナポレオン三世を厳しく批判し、それが原因でパリを追われ、文学にて復活を目指すという姿と響き合っている部分があると思います。親鸞もお上に逆らって追放をされたことがありますし、こういう「いったん退く」ということと「正直である」というのはなんだか良い組み合わせなのかもしれません。幼いころから両親と離ればなれであったコゼットは、彼女の身を守るジャンのことを「お父さん」と呼ぶのです。ジャンが壁を越えて立ち入った建物は、偶然にもかつての知人フォーシェルヴァン老人の住んでいるプティーピクプュスの修道院でした。
 
 
ところで、追っ手のジャヴェルは、てっきりジャンヴァルジャンがもう死んでしまっていると思っていたのです。ジャンヴァルジャンがほどこしをする乞食と言われていた頃、ジャヴェルは暗闇の中で彼と遭遇しているのですが、はっきりとは確信が持てず、すぐには手を出せなかった。ジャヴェルがジャンのかつての隠れ家に立ち入った時には、もうすでにジャンはその隠れ家をあとにしていたのです。
 
 


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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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透明人間 ハーバート・ジョージ・ウエルズ

今日はハーバート・ジョージ・ウエルズの「透明人間」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
これは海野十三翻訳の、純粋な娯楽小説です。子どもの頃かんがえたデタラメな空想の第一位というのがこの透明人間になるということでは無かったでしょうか。他にはタイムマシーンだとか、空を飛ぶという空想ばかりしていた気がします。僕は今でもよく、空を飛ぶ夢を見るのです。鳥のようにうつぶせの姿で飛ぶのでは無く、ラッコのように波間にたゆたう感じの夢を何度も見ます。たぶん、20歳頃に海で浮かんでいた記憶が脳髄に焼き付いているのだと思います。
 
 
透明なんだけど人がその手とか体に触れるんですよねえ、この小説。どうせなら幽霊みたいに壁も空も人体もすべてすり抜ければ良いのにと思うんですが。しかし、そうなってくると単にグーグルのストリートビューみたいになってきますね。それじゃあ面白くないのか。しかしこのストリートビューに映し出された看板は、「てく」という文字が何者かによって削られていますよ。空間ごと、ガボッと。これはいったい……。
 
 
最新のハリウッド映画とかマンガとかに馴染んでいる人には、こういう設定で興奮したりできないのかなあと思うんですが、でも今でも落語とか古典とかが好きな、若い人は居るわけだから、HGウェルズを読みたい人もいるはず、と思います。アンティークを鑑賞するようなそういう面白さがあると思います。海野十三は現代的な日本語で書いているのでけっこう読みやすいです。楽しい小説が読みたい人に、おすすめの一冊だと思います。
 
 


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Kの昇天 或はKの溺死 梶井基次郎

 
 今日は梶井基次郎の「Kの昇天 或はKの溺死」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
『Kの昇天』は1926年(大正15年)に発表されたものです。この時代に書かれた書物を読んでゆくと、どうも戦争へ向かうという危機だけでは無く、むしろ飢餓や病ということが非常に大きな問題になっていることが判ります。昭和東北大飢饉というのがまず、日本の軍国主義化のきっかけとなったと言われています。第二次世界大戦中においても、行軍中の飢餓ということがとても大きいのだと言うことが、文献を読むと判ります。
 
 
 飢餓や死への恐怖があるからこそ、戦争や暴力が激化する、というのがやはりあるのではないかと素人考えですが感じます。戦前と戦中においては飢えと死への恐怖がすべての混乱の原点になっていたのではないかと思える資料もたくさんあります。飢餓地獄と呼ばれた戦地での出来事の記録などが幾つも残されています。宮沢 賢治の「飢餓陣営」という演劇も、この戦争の中にある飢餓を熱心に描いています。死へ向かうことよりも食べて生きることのほうが大切だという賢治の訴えが込められていて、賢治は世界全体のことを自身の目で見ることは出来なかったはずなのに、未来に聳える問題の本質をとらえていたように思います。
 
 
 梶井基次郎は31歳という若さで肺結核で亡くなられた作家なんですが、関東大震災から戦争へと向かう時代に、病と向かい合った作家で、ぼくは子どもの頃4年くらい続いたぜんそくが治ったという体験をして、それで幼い頃は、病からの恢復を目指している作家の本ばかりを好んでいたのですが、梶井基次郎は、妹の死や自身にのしかかる病をめぐる心象風景を静かな筆致で描き出しています。梶井基次郎はなによりも、個人の幻想というのを大切としたのだろうなあと思います。
 
 


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 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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十年の思い出 宮本百合子

 
 今日は宮本百合子の「十年の思い出」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
 これはごく短い随筆です。1926年に書かれたものです。戦前から戦中、戦後というものがどういうものだったのか、ぼくはいちおう年表でそれがどう展開したかは調べることが出来るのですが、実際にその時代に暮らした人の手記は、ほとんど知りません。何冊かは読みましたが、それが一般にはどういう世相だったのかはやはり判らないのです。
 
 
 この時代の文学と歴史の年表をいくつか紹介してみます。

1923年9月1日 関東大震災
1923年9月16日 甘粕事件で、伊藤野枝大杉栄が亡くなられる
1923年12月27日 虎ノ門事件
1924年4月20日 宮沢 賢治が『春と 修羅』を出版
1925年3月12日 孫文が亡くなられる
1925年4月22日 治安維持法公布
1926年12月25日 大正天皇崩御
 
 
 関東大震災から戦争そして敗戦という中、変化の激しい時代に、文学者はどのように活動していたのかを少しだけメモしておこうと思います。かなり限定的な内容なので、ネット上に書く意義は無いのかも知れませんが、自分で忘れないためにメモをしておこうと思います。
 
 
 中野重治氏(1902~1979)は、震災の3年後である1926年、宮本百合子が「十年の思い出」という随筆を書いたちょうどその頃に、当時24歳で「夜明け前のさよなら」という詩を書き記し、そして74歳になって当時のことを振り返ってこう書いておられます。
 
 
 (戦後)三年議員に当選して西も東もわからぬ仕事にたずさわったりしたが、そのあいだに少しずつわかってきたことは、自分たちの過去が弱点に充ちたものだったらしいということだった。ひとことでそれをいえば実際上の私の無知ということだったろう。実際上の無知というのは言葉どおりのことでもある。世間のことを知らぬこと、労働者、農民などと言ったり書いたりしていてもその実情を知らぬことがそこにあった。
 
(略)

 またいったい、一九二六年、七年のころ、党と言えば普通に労働農民党を指していたこと、「三.一五」のあとやっと日本共産党が知られてきたが、その現れ方には下ごしらえの不十分な点があったのではなかったかと思われるところがあった。そうして、それを自分でしらべる便宜、むしろ気力が私自身に欠けていた。
 (人間的無知のこと/わが生涯と文学/中野重治
 
 
 中野重治氏は自身の挫折と言うことについて「そこでもここでも何かにぶつかって私のほうが引っこんでしまってきた」と述べ、そういった本人の行き詰まりがなぜ起きたかというとそれは自分で歴史の中身が判っていなかったからだ、と判断しておられ「歴史的無知といってもいい。しかし歴史は明らかにされていなかったのだから、この無知は私たち自身わが手でしらべなかったという事実だったろう」と考えていて、そういう社会の状態が実際にどうだったのか、ということを知ろうという態度において「歴史のいわば肉体が求められてくるものと私は思う」と述べてこの話しを締めくくっています。
 
 
 つまり、歴史年表だとか数字だとかではなくて、その時代に生きる人びとの心情と全体像と、それから一人の人のその労苦とは実際どうなっているのか、を理解せねば、と中野さんは述べておられます。それで、実際に当時の中野重治氏がどのような言論活動をしていたのかを調べてみたのですが、24歳とか26歳頃に中野重治氏が書いたものを読んでみると、二十代中盤でもう詩と現代史と政治批判と言うことを完全に体得して居るなあ、というのが判るんですよ。読むだけですごく難解なことをしている、と思うのだから、実際にこういうオリジナルの創作物を書くとなるともう、想像の何十倍も難しいはずだ、と思うような創作をやっておられます。
 
 
 時代が過ぎて高度経済成長期になってゆくと「中野重治氏と言えば共産主義者だから読んでもしょうがない」というような変なレッテルを張られてしまって世間一般ではあまり読まれなくなった作家らしいのですが、詩人としての活動を追うだけでも、ずいぶん充実した気持ちになれます。中野重治の「雨の降る品川駅」を紹介してみます。
 
 
雨の降る品川駅   中野重治
 
 
辛よ さようなら
金よ さようなら
君らは雨の降る品川駅から乗車する
李よ さようなら
もひとりの李よ さようなら
君らは君らの父母の国に帰る
君らの国の河は 寒い冬に凍る
君らの叛逆する心は 別れの一瞬に凍る

海は 夕暮れの中に海鳴りの声を高める
鳩は 海に濡れて車庫の屋根から舞い降りる
君らは 雨に濡れて 君らを逐う日本天皇を思い出す
君らは 雨に濡れて 髭、眼鏡、猫背の彼 を思い出す

降りしぶく雨のなかに 緑のシグナルは上がる
降りしぶく雨のなかに 君らの瞳は尖る
雨は 敷石にそそぎ 暗い海面に落ちかかる
雨は 君らのあつい頬に消える

君らの黒い影は改札口 をよぎる
君らの白いもすそは歩廊の闇にひるがえる
シグナルは色を変える
君らは乗り込む
君は出発する
君らは去る

さようなら 金
さようなら 辛
さようなら 李
さようなら 女の李

全文はこちら
 
 
 詩を読み飛ばしてしまうと、いったいそこに何が書いてあるのか見えてこないのですが、注意深く読むと、そこに天皇陛下の背後に潜んでいたファシズムへの批判が書き記されています。詩の11行目をもう一度読んでみてください。これへの決別ということが、実際の中野重治氏の未来とぴったりと一致しており、こののち、執筆禁止の処分を受けたり、戦争が激化すると特高に逮捕されて「転向」させられます。最後には新藤兼人監督のように戦地へ送られる一歩手前の状態となり、命からがら敗戦を迎えられています。中野重治氏にとって、この危機を生きる時代に、詩の言葉としてもっとも重んじたのが「さようなら」という言葉です。
 
 
 1926年に発表された中野重治氏の「夜明け前のさよなら」を紹介します。
 
 
僕らは仕事をせねばならぬ
そのために相談をせねばならぬ
しかるに僕らが相談をすると
おまわりが来て眼や鼻をたたく
そこで僕らは二階をかえた
路地や抜け裏を考慮して
ここに六人の青年が眠つている
下にはひと組の夫婦と一人の赤ん坊とが眠つている
僕は六人の青年の経歴を知らぬ
彼らが僕と仲間であることだけを知つている
僕は下の夫婦の名まえを知らぬ
ただ彼らが二階を喜んで貸してくれたことだけを知つている
夜明けは間もない
僕らはまた引つ越すだろう
かばんをかかえて
僕らは綿密な打合せをするだろう
着々と仕事を運ぶだろう
あすの夜僕らは別の貸ぶとんに眠るだろう
夜明けは間もない
この四畳半よ
コードに吊るされたおしめよ
すすけた裸の電球よ
セルロイドのおもちやよ
貸ぶとんよ
蚤よ
僕は君らにさよならをいう
花を咲かせるために
僕らの花
下の夫婦の花
下の赤ん坊の花
それらの花を一時にはげしく咲かせるために
 
詩集はこちら
 
 
 
これが書かれたちょうど同じ年に、宮本百合子は「文芸のような無限の仕事をするものにとって、十年という月日は決して長いものではありません、考えように依ってはほんの僅かな一瞬間に過ぎない」と記しながら、読書の思い出とともによみがえる、十年間の記憶をたどっています。なんだか穏やかな随筆です。
 
 


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さるかに合戦と桃太郎 寺田寅彦

 
今日は寺田寅彦の「さるかに合戦と桃太郎」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
これは童話の使われ方について書いている評論文です。
日本の童話で一番有名なのは、やっぱり「さるかに合戦」と「桃太郎」だと思います。古い作家でこれを書き直したのは、楠山正雄と、芥川龍之介と、そしてやや新しい人では、木下順二さんという方がおられます。芥川龍之介の日本童話は、どうも暗黒童話とでも言うのか、こわすぎて誰を読者にしているのか判らない、という内容になっています。どうも芥川龍之介は日本の童話よりも、中国や西洋の物語のほうが好きだったようです。
 
 
木下順二さんの「さるかに」という絵本を、これを大人になってから読み返すと、その言葉遣いの完全さに舌を巻くと言いますか、どの登場人物に感情移入して読んでも、満足のゆく内容なんですよ。さるかに合戦はいじわるなサルを懲らしめるという話しなんですが、この懲らしめる描写が丁寧で生き生きとしています。
 
 
木下順二さんの童話を読んだことが無かったら、ぜひ一度なにかの機会に手にとってみてください。こういう本があるから、本好きの児童が現れるんだな、と感じました。まったく同じものを扱うのでも、創作者の技術や倫理観によって、出来上がってくるものはまるで違うものになるようです。木下順二さんの「さるかに」のように、古いものを新しく作り直す人が居ると、物語好きな子どもは増えるだろうなあと思います。
 
 
ところで、寺田寅彦は共産主義者を「赤」と呼んで、けっこう否定的です。ぼくは共産主義者ではないつもりなんですが、どうも最近、莫大な金を今すぐに手に入れることしか考えていない大資本家というものに対して否定の気持ちしか持っていないので、外から見るとぼくは「赤」に見えるだろうなあと思っているのですが。寺田寅彦は、思想や解釈を押しつけるよりも、親しみやすいものにしてゆくことの重要性を説いています。
 
 


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明日の言葉 宮本百合子

 
 今日は宮本百合子の「明日の言葉 ――ルポルタージュの問題――」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
これまで、明かりの本では子どものための本と、一般によく読まれている本を紹介してきたのですが、これから少し、やや難解なものも紹介してゆこうかと思います。主に戦中戦後の激動期の言論ということを紹介してゆきます。
 
 
 それで、なるべく安定的な紹介が出来るように、戦中に大きな危機に直面しながら作家活動を継続し、戦後に長く文学創作を続けられた中野重治氏(1902年 – 1979年)の文学論を参照しながら、戦中戦後の出来事を紹介してゆければと思います。中野重治氏は、世界的作家の講演にて「私たちの父親の世代と、私たちの世代でもっとも大きい作家で、もっとも優れた人間が誰だと言えばそれが中野重治さんです」と述べられるほど、評価の高い作家なんです。中野重治さんは20代で詩人となり、それから児童文学・小説・評論と幅広く活躍なさった方です。
 
 
 この宮本百合子の「明日の言葉 ――ルポルタージュの問題――」が書かれたのは1937年の出来事なんです。戦争が終わる8年前です。この頃に治安維持法や保護観察法という、恐怖政治を象徴するような酷い法律が成立します。当然、過去においても現代においても、負ける側は民意を反映しない国家なのですが、自由意志を持つ人びとは大変な規制を受けていた時代で、小林多喜二や戸坂潤が戦後を迎えられる前に亡くなられています。この時代に、宮本百合子と中野重治氏は相談をしあって、これからどのように文学活動と政府批判をやって行くかと言うことを考えていた。正確に引用してみます。


わが生涯と文学/中野重治 より (P13-14)

     これは私個人のことについて言うので一般に言うのではない。一つには、戦争との関係で小説の類が書きにくくなったという事情があった。(略)治安維持法の上に重ねて保護観察法というのが出来て私自身その「観察に付せられ」る一人ということになり、また私のところでは、亭主とは別に女房が別くちの保護観察に付せられることになり、生計そのことで万端きわめて不自由なことになった。書きたいちょうどそのことが書けない。書きたいちょうどその調子が書けない。そのうえ、1937年末には例の「執筆禁止の措置」というのが出てきた。肝心の書きたいものがでなくて書くこと——書いて発表することそのことができなくなったのだから私は困った。一年ばかりそれが続く。こうなると、気持ちが腐ってくるだけでなくて縮んでくる。萎縮してやくざな状態におちる危険に見舞われかねなくなる。この「措置」を食った何人かの名が伝えられたが、それが公然の禁止令で来なかったから私たちはいっそう腹立てた。話の出てきた最初のとき、宮本百合子と二人で警保局へ抗議に行ったが甲斐は無かった。ある晩岡邦雄と戸坂潤とが私を訪ねてきて——彼らも同じ「措置」を食っていた。——ある種の反対声明を出そうという話を持ちだしたが私はただちには賛成しなかった。まもなくまた宮本百合子がたずねてきて、このさい用心してかかる必要があるという。彼女の意見に私は賛成して、そのことを呑みこんでくれそうな人を2人で考えた。
 
 
 そして、中島健蔵という作家と3人でこの「悪気流」ともいうべき時代についてざっくばらんに語らいあった。冷静に、むやみに国家を糾弾しないように、慎重に活動を続けておられるなと感じます。この執筆禁止措置は1年で解かれ「革新」という雑誌から小説執筆の依頼が来る。中野重治氏は、自身の文学体験を「自然発生風」だったと回想し、幼少から青年期にかけての文学への接触は、なによりもまず自分から近づいてゆくことが肝心であるというように説かれています。それと同時に、いよいよということになればその自然な接触では追いつかず、教養や知識や知的訓練無しには文学創造は望めない、と中野さんは説いています。この青年期の文学体験について、自然発生する情熱と厳格な知的訓練という2つの必要性を実感し、また芸術的なものと理性的なものとの2つのあいだを中腰で絶えずふらふらしていた自分があった、と回想しておられます。
 
 
 宮本百合子はこの随筆で、ルポルタージュとしての文学を創造することの難解さを検討しています。
 
 


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ランボオ詩集7

今日は中原中也が翻訳した『ランボオ詩集』のその7を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
えー、なにか密度の濃い時間を過ごしたあと、気を抜いた瞬間にぼくはよく情けない失敗をしてしまうことが多いのです。そういう奇妙な時間帯に、元々の自分へ帰るための方法として、有名な詩集を手にとって読むというのが良いのではないかと、最近思いました。
 
 
詩集を読んでいると、いったん別の人の気持ちを受けいれて、自分以外の人が捉えた感情を体感する状態になる、と思います。いったん自分が空っぽになる。そうするとたぶん、自分のもともと居た場所が見えやすくなるのだと思います。
 
 

    酷(きび)しい冬の北風は、戸口や窓に泣いてゐて、
    陰気な息吹を此の部屋の中までどんどん吹き込みます。
    彼等は感じてゐるのです、何かゞ不足してゐると……
    それは母親なのではないか、此のいたいけな子達にとつて、
    それは得意な眼眸(まなざし)ににこにこ微笑を湛へてる母親なのではないでせうか?
 
 
 


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