死のなかの風景 原民喜

今日は原民喜の「死のなかの風景」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
これは「原爆小景」という詩集の作者原民喜が、戦後の1951年に発表した短編小説です。
 
 
原民喜の初期作品と後期の翻訳を見ていて、いちばん印象に残ったのは、氏はそもそも童話作家からスタートして、最後まで童話について考え続けていた、ということを知ったことです。原民喜はスウィフトの『ガリバー旅行記』のように優れた童話を、いつかみずから描きだして、子どもたちに読ませたかったのだ、と思いました。
 
 
「死のなかの風景」の作中に「彼は」という記述がいくつも出てきます。それから「映画会社」という言葉も。戦争中の人々の生を描きだしているんですが、童話作家として長年培ってきた三人称の物語描写と、日記や随筆とも通底している平易な文章とが入り混じった文体で、物語に引き込まれました。

 
この物語には、「彼」「妻」「母」「友」という記述がほとんどで、固有人名が書かれていないんです。誰からも語られなくなった、誰も思いだすことが出来ない死者について、原民喜が描こうとしたから……なのかもしれない、と思いました。
 
 
作中に描かれるブリューゲルの『死の勝利』という絵画については、野間宏が戦後すぐにこれを描きだしていました。終章も『暗い絵』と通底している物語構成でした。
 
 

 
 
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早春 芥川龍之介

今日は芥川龍之介の「早春」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
これは芥川龍之介のごく短い掌編小説です。早春といえば、二月から三月初めの頃を言うんですが、まだ桜も咲かない季節の、男女のすれ違いを、芥川龍之介が描きだしています。待ち合わせすることの、むずかしさの描写は、携帯電話が普及して一挙に無くなったので、現代ではこの物語は通用しないのかなと思ったんですけど、たとえば携帯の電池が切れたり、電波の届かない山奥だったり、病院や拘置所に入ってしまったり、回線が繋がらなくなったときに、芥川龍之介の描く、待ち合わせで困る、という事態が起きるように思いました。
 
 
『十年はいつか流れ去った。』という記述から先の描写がすてきでした。こういう起承転結もあるんだなあー、と思いました。
 
 
……ほかに芥川龍之介の代表作は、『トロッコ』『鼻』などがあります。
 
 

 
 
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旧師の家 若杉鳥子

今日は若杉鳥子の「旧師の家」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
この私小説は、作家の若杉鳥子が、栃木の鬼怒川を通って、詩人の横瀬夜雨よこせやうに逢いにゆく、実話を淡々と描いた物語なんですけど、文体も内容もごく普通のはずなんですけど、とても印象深かったです。ちょっと気になったので、どういうルートを旅したのか、その一部をGoogleマップで調べてみました。100年ほど前にこのあたりを、大宝駅から列車に乗って、東京まで帰っていったようです。
 
 
どこにこの短編小説の美しさの秘密があるんだろうか、と何回か読んでみたんですが……やはり私淑している詩人に逢いに行った思い出についての、嘘のない心情が平熱の文体で描かれているのが良いのであって、マネの出来るような何かじゃないんだろうと、思いました。
 
 
横瀬夜雨は身体が不自由な詩人で、恋愛詩を描いた。こういう詩があります。
 

花なる人の
    恋しとて

月に泣いたは
     夢なるもの

破れ大鼓は
    叩けどならぬ

落る涙を
   知るや君   (横瀬夜雨)
 
 

 
 
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鬱屈禍 太宰治

今日は太宰治の「鬱屈禍」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
太宰治は、アンドレ・ジッドの芸術論がお気に入りなんです。本文こうです。
 
 
  こういう言葉がある。「私は、私の仇敵きゅうてきを、ひしと抱擁いたします。息の根を止めて殺してやろう下心。」これは、有名の詩句なんだそうだが、誰の詩句やら、浅学の私には、わからぬ。どうせ不埒ふらちな、悪文学者の創った詩句にちがいない。ジイドがそれを引用している。
 
 
太宰は「貧しい悪作家であるが、けれども、やはり第一等の道を歩きたい。つねに大芸術家の心構えを、真似でもいいから、持っていたい。」と書き、またジッドは「芸術は常に一の拘束の結果で」あると書いてから、こう記しています。
 
 
  「芸術は拘束より生れ、闘争に生き、自由に死ぬのであります。」
 
 
ちょっと抜粋では太宰治の書こうとしていることがちっとも引用出来ないので本文を読んでもらうしか無いんですが。太宰も坂口安吾も愛読している、ジッドの評論を読んでみたいなあと思いました。 
 
 

 
 
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白椿 夢野久作

今日は夢野久作の「白椿」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
秋のはじめに怪談を読むという季節外れなことになっているんですけど、今回は夢野久作の短編です。夢野は童話作家のていで、童話っぽい怖い話を書きます。
 
 
ほんとはおどろおどろしい悪夢を描きだす大長編作家なのに、なんでこんな化けかたをするんだろうかとか、こんな居心地の悪い、居たたまれない童話は読んだことないとか、いったいだれがこの短編小説のメインのターゲット読者なのかさっぱり判らない、とか思いながら読みました。反文学、という言葉を想起しました。文学が必ず避けようとする俗なところをなぜか追及している、掌編小説なんです。
 
 
印象深い童話は毒があるのが特徴だと思うし、これは現代でも絵本として人気になったりしても、ひとつもおかしくないような気もするんです。不思議な読後感でした。
 
 

 
 
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闇 小川未明

今日は小川未明の「闇」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
これはとても短い童話なんです。おそらく、小川未明のファンであってもこの作品を記憶している人はごく稀だと思います。小川未明の代表作と言えば「赤い蝋燭と人魚」や「月夜とめがね」など、美しい作品があるのですが、これは……。
 
 
10秒で読み終えられるもので、ほとんどだれも知らない作品だと思うんですが、全体で8行あるので16ページの絵本にすることは出来る、絵があれば24ページくらいになるかもしれない童話です。真夜中になぜか親子で移動しなければならなくなっている。理由は判らない。
 
 
意識して読んでみると、どうも海沿いの山道のように思えてならない。月明かりさえ無い竹藪の中かもしれない。松林か、険しい岩場か、砂浜近くの道か、とにかく暗闇の中を歩いているんです。
 
 

 
 
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好奇心 織田作之助

今日は織田作之助の「好奇心」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
これは1分で読める掌編小説です。詩よりも短いショートショートなんですけど、ちょっとおもしろかったです。オチがすてきでした。「好奇心の病気!」というのがなんか忘れがたいセリフでした。1946(昭和21)年10月というのが、こういうふうに活写されるのかと。ぶつ切れというか細切れになった言葉が逆にリアルだなと思いました。
 
 

 
 
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