今日は大杉栄の「獄中記」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
これは、1923年の関東大震災のあとに起きた天粕事件で亡くなられた大杉栄という作家の本です。大杉栄は非常に多岐にわたる活動を繰り広げていて、もともとは軍人の家出身なんですが、帝国主義とは異なる思想家になっていった作家です。その他にも世界中を飛び回ったり、社会主義運動やダーウィンなどの科学書の翻訳や、ファーブル昆虫記の翻訳を日本ではじめてやったり、ほんとにいろいろな事をしています。ファーブル昆虫記ぼく大好きなので、ぜひ再読してみたいです。大杉栄というと、生物多様性、という言葉が思い浮かぶんですが。直接にはなんの関係も無い言葉ですが。一辺倒な方向性だけではなく、あらゆる方針のいろんな生き物がいた方が、全体的には安定的で良いんだという。
大杉栄は若い頃から深い縁のあった幸徳秋水のことを「逆徒」なんてふざけて書いていますが、大杉栄の事件の前に、幸徳秋水が亡くなられた大逆事件という歴史的な事件があって、20世紀の戦争を知るにはまず、この犠牲になった幸徳秋水という人をよく調べないといけない、という話を聞いたことがあるんですよ。幸徳秋水という思想家が現代日本の「平和、平等、民主」というものを創る礎となった、そうなんです。詳しくはまだ読んでいないので判りません。こんど調べて読んでみたいと思っています。
この本は、獄中での生活のことをリアルに書いています。実話にかぎりなく近いものです。大杉栄の文章は、読んでいてスリリングというか、好奇心がすごく刺激されます。監獄の中で、殺人犯の死刑囚と交流があるんですが、みごとな筆致ですよ。こんな人が現実に居るのか、と思って驚きますよ。お金を偽造して女をだまくらかす男に、殺人犯の男が怒るんですよ。「女をだますなんて、ひどいことをしたとは思わないのか!」って。すごい剣幕で。ところが偽造紙幣君はまったく悪いことをしたとは思っていない。人物描写が派手で、それぞれが短い話なのに引き込まれます。
幸徳秋水が大逆事件の容疑で捕まって大杉栄がギリギリのところで釈放されたときに、突然の唖に、声は出るはずなのになにも話せない状態になってしまったということを記しています。よほどショックだったのだろうと思います。大杉栄が幸徳秋水に宛てた手紙にこのようなことが記されています。住処から見えるちょっとした風景を見て、その自然界にあるものがそれぞれに上手く共生を成している。
「考えれば考えるほどどうしてもこの自然は論理だ。論理は自然の中に完全に実現されている。そしてこの論理は、自然の発展たる人生社会の中にも、同じくまた完全に実現せられねばならぬ」
「僕はまた、この自然に対する研究心とともに、人類学や人間史に強く僕の心を引かれて来た。こんな風に、一方にはそれからそれへと泉のように学究心が湧いて来る」
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ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約10秒)
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