痴人の愛(21〜22) 谷崎潤一郎

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今日は谷崎潤一郎の「痴人の愛」その(21〜22)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
夫婦で喧嘩別れしたあとに、ナオミは一時的に行方不明になってしまった。実家にも帰ってきていない。不倫を常習している妻を探しまわって泣きそうになっている譲治なんですけど、近代と言えばまだ男尊女卑が色濃かった時代に、漱石のすぐあと、こういう物語を描くってほんとにすごいなと思いました。
 
 
ナオミはどうもまだ、不倫相手と一緒に居るのかもしれない。悪友の中では唯一信用できる浜田くんに頼み込んで、ナオミを探している譲治。この場面に於ける譲治の描写に迫力がありました。
 
 
「それじゃあ、君はもう知っているんですか?」
「僕は昨夜いましたよ」
「えッ、ナオミに?………ナオミに昨夜遇ったんですか?」
今度は、私は前とは違った胴顫いで、体中がガクガクしました。あまり激しく顫えたので前歯をカチリと送話器の口にッつけました。
「昨夜僕はエルドラドオのダンスに行ったら、ナオミさんが来ていましたよ。別に事情を聞いた訳ではないんですけれど、どうも様子が変でしたから、大方そんな事なんだろうと思ったんです」
「誰と一緒に来ていましたか? 熊谷と一緒じゃないんですか?」
「熊谷ばかりじゃありません、いろんな男が五六人も一緒で、中には西洋人もいました」
 
 
どうもナオミはそこいら中の男の家に転がりこんで、泊まり歩いている。ジョン・バリモアという映画俳優にそっくりな白人と遊び歩いているらしい。
 
 
あきらかに不貞で、しかし限りなく美しくなってゆくナオミの噂話だけで譲治は悶々とするんです。「一生懸命ナオミを恋い慕っている」譲治は、奔放すぎるナオミの所行に喉を詰まらせる。「涙さえ止まってしまいました」という一文に、驚きました。
 
 

 
 
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 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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