今日は谷崎潤一郎の「痴人の愛」その(11〜12)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
漱石以後の近代文学でいちはやくフェティシズムを展開したのは、谷崎が代表的なんじゃないかと思うんです。本文、こう書いています。
然るに綺羅子は、意外なことに、踊って見ると実に軽いものでした。体全体がふわりとして、綿のようで、手の柔かさは、まるで木の葉の新芽のような肌触りです。
譲治とナオミはダンスに夢中で、さまざまな友人たちと軽やかに付きあいつつ、楽しい日々を送っているんですが、そのきらびやかな集まりのあとに、なぜか恋人をうとましく思ってしまう。すてきなことをしているはずなのに、祭りのあとのような状況で、暗く落ち込んでしまう。たしかに誰もが経験する奇妙な出来事なんですけど、こうやって顕在化させて描かれていると、驚きがありました。
結婚したころナオミは奥ゆかしかったのに、だんだん派手で贅沢で、小悪魔的ないじめっ子になってゆく……。譲治はその幼い妻に翻弄されているんです。やっぱり文章が流麗なので、読んでるだけで楽しいです。
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月別アーカイブ: 2017年12月
交尾 梶井基次郎
今日は梶井基次郎の「交尾」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
梶井基次郎が好きなんですけど、この「交尾」というのがほんと良いんです。肺病の流行るさびれた街をゆく、悠然とした猫を、梶井基次郎が描写しています。もうストーリーなんてどうだっていいと思うくらい、その文体が美しいんです……。梶井基次郎は、街をゆく猫がじつに優雅であることを、こう記します。
彼らはブールヴァールを歩く貴婦人のように悠々と歩く。
それから、「巨大な工場地帯の裏地のような」とでも形容したくなるような「露路」に現れる小鳥たちの奇怪さをこう記します。
隣の物干しの暗い隅でガサガサという音が聞こえる。セキセイだ。小鳥が流行った時分にはこの町では怪我人まで出した。「一体誰がはじめにそんなものを欲しいと云い出したんだ」と人びとが思う時分には、尾羽打ち枯らしたいろいろな鳥が雀に混って餌を漁りに来た。もうそれも来なくなった。そして隣りの物干しの隅には煤で黒くなった数匹のセキセイが生き残っているのである。
セキセイというのはとうぜんセキセイインコのことなんですが、あと河鹿というのはカジカガエルのことです。ルリは小鳥のことで、wikipediaに瑠璃色のオオルリの写真が載っています。(あるいはコルリかもしれません)
ところで地球上でもっともはじめに、原始的な歌を歌った生物は、田んぼによくいる、あのカエルかもしれない。世界最古の歌うたいは、じつはカエルだった! ……かもしれない。たしかに考えてみればそれで正解のような気がします。梶井基次郎はそのことをとても詩的に記しています。
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ハイネ詩集(28)
今日は「ハインリヒ・ハイネ詩集」その28を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
《月のひかりの物すごさ》ということばが印象的な詩に、月夜の奇妙な舞踏会というのが描かれていて、なんともユーモラスなんです。Michael JacksonのThrillerというビデオクリップを思いだしました。骸骨と踊ろうとする少女……。
ところで《みじめなアトラス》とはいったいなんなのか、ちょっと調べてみたんですが、wikiにはこう書いていました。「アトラースは、ギリシア神話に登場する神」で「巨躯を以て知られ、両腕と頭で天の蒼穹を支えるとされる」んだそうです。なんだかヴェーユの哲学を連想させるような詩なのかもしれません。
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痴人の愛(9〜10) 谷崎潤一郎
今日は谷崎潤一郎の「痴人の愛」その(9〜10)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
肌が白く、西洋人のようなナオミへの愛情を滔々と語る主人公なんですけど、タイトルの『痴人の愛』という感じがだんだん出てきて、読んでいておもしろいんです。嘆美で蠱惑的な愛が描きだされるんです。ただ譲治はどうも、妻よりも美しい人が現れてしまうと、倫理観や道徳心や世間や状況を忘れて、その人に魅惑されてしまう。
譲治とナオミは、浮き足だった新婚生活というのか、清い愛なのか、濁りきった愛なのか、さっぱりわからないなと思いながら読みました。譲治は意外とこう、中身が子どもっぽいんです。
若いナオミが主人公に「よう!」と大声で呼びかけてワガママな頼み事をしてくるんですけど、そのたびに、読んでるほうまでビクッとするんですよ。
作中でちょっと出てくる「チークダンス」という和製英語の原形はどういうもんなのか調べてみたんですけど、このCheek to Cheekという音楽映像の前半で出てくる、頬を寄せあった静かなダンスのことなんだろうと思います。作中でこのチークダンスは否定的に扱われているんですけど、おそらくナオミたちはこの『Fred Astaire / Cheek to Cheek』という映像に現れる、古き良きハリウッドの世界観に憧れているんだろう……と思います。たぶん。
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クリスマス 萩原朔太郎
今日は萩原朔太郎の「クリスマス」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
クリスマスにかんする、近代文学のすごいのといえば、ドストエフスキーの「キリストのヨルカに召された少年」だと思うんです。これと共通した内容の詩を、じつは萩原朔太郎が書いています。ドストエフスキーの作品とあわせて読むと、なんだかこの、萩原の素朴な独白のような詩がとても印象にのこりました。
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ハイネ詩集(27)
今日は「ハインリヒ・ハイネ詩集」その27を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
まったく知らないことだったんですけど、ドイツでは「門」という文字は「愚者」という意味があるらしいんです。調べてみると、たしかにドイツ語の辞書には、《Tor》というのは《門》あるいは《愚者》という意味があるんです。
えっ、じゃあカフカの《門》っていう小説はつまり《愚者》っていう意味を含んでいたのか……と思いました。
日本語には「ネコがネコむ」とか同音異義語がいっぱいあるんですけど、同綴異義語はほとんどない。でも調べてみると「一分」とか「十分」とか「五分」はだいぶ意味の違う2つの意味がある。「五分」だと「ほんの5分間」と「実力が拮抗している」という意味でかなりちがう。
それでもなんとなくこう、日本語の同綴異義語は、イメージとして「それわかる」という共存関係に思えますよ。「心中」と「心中」も、事情があってのれん分けしたんだなという感じがする。
「門」と「愚者」がTorという同じ文字で一体化しているのはなんとも不可思議な言語世界だと思いました。いま自分が読んでいるのは、やっぱりハイネが原作の生田春月の詩世界なんだろうな、とか思いました。
ハイネはこう記します。
だが門のやつはわたしの恋人を
こつそり逃がしてしまつたのだ
門はいつでも承知する
女のたのむことならば
ほかにも《夜は静かに街路には人の影もない》という詩がとてもすてきでした。ほんと良いんです、こんかいの詩篇。
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痴人の愛(7〜8) 谷崎潤一郎
今日は谷崎潤一郎の「痴人の愛」その(7〜8)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
なんだか、奇妙な恋愛が描かれるんです。年齢差があるからなのか、夫婦の恋愛と言うよりも、親子の愛情みたいな内容になっている。親が子と相撲をとって、わざと負けてやるみたいなことが起きている……。ボードゲーム上での遊びなんですが、どうしてそういうことになるかというと、妻であり年下の恋人であるナオミがあまりにも可愛いからなんです。
ところがどうも、ほんとうに女のほうがゲームに強くなる。本文こうです。
が、恐ろしいのはこれから来る結果なのです。始めのうちは私がナオミの機嫌を取ってやっている、少くとも私自身はそのつもりでいる。ところがだんだんそれが習慣になるに従って、ナオミは真に強い自信を持つようになり、今度はいくら私が本気で蹈ん張っても、事実彼女に勝てないようになるのです。
この小説の風俗を読んでいると、1950年から70年代の日本みたいに思えてきます。1924年(大正13年)に発表された小説なんですけど、30年後も日本はこういう感じだったんではなかろうかと思いました。
谷崎は時代から遊離していて、海外文学との繋がりを作った作家のように思いました。あと、谷崎潤一郎はやはり意図的に、10代の読者を意識してこの読みやすい文体の小説を書いたんじゃないかと思いました。
ナオミは友人から誘われて、ロシア人がはじめたソシアル・ダンスのレッスンに通うことになり、夫の譲治もこれに付きあうことになった……。次回に続きます。
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