陰翳礼讃(13) 谷崎潤一郎

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今日は谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」その13を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
重要なことに関して黙して語らず……というのは日本の特徴で、西洋式ではこれをとかく明るみに出してしまう。
 
 
谷崎潤一郎は、霊でさえガラスのように輝く存在として描きだす西洋のまなざしというのを日本文化と比較してみせるんです。なんでも明るく描写してしまうのが西洋なんだ、と言うんです。この記述が極めて印象的でした。
 
 
  われわれの空想には常に漆黒の闇があるが、彼等は幽霊をさえガラスのように明るくする。
 
 
この一文が衝撃でした。ドイツの戦後社会には旧ファシズムへの絶えざる批判というのがあったのに対して、日本の場合はこれはさして世間で語りつがれなかった。けれども、世界でもっとも顕著に非戦の憲法が残り続けているのは日本で、そこには語られぬまま在り続ける、黙す文化というのがあるんではないかと思いました。谷崎は、日本と西洋の工芸品を比較して、こう書きます。
 
 
  われわれの好む色が闇の堆積したものなら、彼等の好むのは太陽光線の重なり合った色である。
 
 
谷崎の幽霊とゴースト論は、すこぶる刺激的で、正確には本文を読んでもらったほうが早いんですけど、古き日本なるものの正体が開示されているように思いました。これは現代日本と伝統との対立のようにも読めるんですよ。
 
 
古き日本に於いては「人は己れの置かれた境遇の中に満足を求め、現状に甘んじようとする風があるので、暗いと云うことに不平を感ぜず、それは仕方のないものとあきらめてしまい、光線が乏しいなら乏しいなりに、却ってその闇に沈潜し、その中におのずからなる美を発見する。然るに」西洋人は「常により良き状態を願ってまない」……。
 
 

 
 
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さうして老境もまた青春も

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