今日は中原中也の「一つの境涯 世の母びと達に捧ぐ」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
詩人の書いた随筆が好きなんです。文章が美しいし、意味も分かりやすい。今回の、中原中也の随筆を読んでいて、詩人と小説家の感覚の違いが見えたように思いました。たまに思うんですけど小説家よりも詩人のほうが、なぜか小説の謎を解き明かしてくれるように思うんです。
小説はほとんど書かなかった中原中也が絵画の問題について……「人の心の奥底を動かすものは、却て人が毎日いやといふ程見てゐるもの、恐らくは人々称んで退屈となす所のものの中にあるのだ。」という文章を引用して指摘しています。なぜ小説のある描写に感動したか判らない、と思ってたところをみごとに指摘しているようにも思えます。
中原中也が小説を書いたらすごいのかというと、この随筆の中盤の描写を見ていても、やっぱり中原中也は文章を短くすることでその力を発揮する、詩の専門家だと思いました。文章を重ねるほどその魅力が増すドストエフスキーと、短く凝縮するほど文学性が現れてくる中原中也とで、考え方や地の文から、ちがうんだなと思いました。「一つの境涯」のさいご二行が印象に残りました。
むつかしい言葉を調べてみました。
扨
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ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。
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