ゲーテ詩集(36) 生田春月訳

今日は生田春月訳のゲーテ詩集(36)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
今回のゲーテの詩を読んでいて、なんだかいろいろ考えていました。このまえ図書館でルソーに関する本を数十ページだけ拾い読みして、あとで全部読んでおけば良かったと思ったんですが、時間がないので読めなかったんですが、ルソーがすごいことを言っていて「コミュニケーションを拒否した環境のほうがよりよい意志が生じる」という部分を読んで、びっくりしました。
 
 
普通はコミュニティーとかコミュニケーションは良いことだと解釈されてるのに、ルソーははっきりと、良い環境を作るには《人々のコミュニケーションを拒否している》集合的無意識を可視化して機能させることが大切だ、と書いています。
 
 
しかし考えてみるとたしかにそうだ、と思いました。ひきこもっている人を、よかれと思ってなにかの団体に所属させたり、無理やりに引っぱり出す、というのがひどくよくないことで、一人の時間を作ることが大切なんだ、ということを告げていた思想家を思い出しました。
 
 
あんまりしっかり読まなかったので正しいことが書けないんですが、組織の内部で説得しあって合意形成するのではなくて、自分の意志を尊ぶことが重要、みたいなことを書いていて、これって夏目漱石の「私の個人主義」と共通する部分があるように思えて、漱石もルソーを学んだのかなあ、とか思いました。
 
 
ゲーテは記します。
 
 
たつたひとりの女のものとなり
たつたひとりの男を崇(うやま)ふことは
どんなに心をしつかりさせるだらう!
リダよ!一番手近な幸福よ
ヰリヤム!一番美しい空の星よ
君たちのお蔭だ、わたしの今日の身は
その日その歳はみな消えてしまつたけれど
あの時間にこそ
わたしの価値(ねうち)の総量(すべて)はかかつてゐるのだ
 
 

 
 
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 ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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雪中富士登山記 小島烏水

今日は小島烏水の「雪中富士登山記」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
富士山が世界遺産に登録されたので、明かりの本でも山岳の本をこれから何回か紹介していこうと思っています。富士山を描いた小説もけっこうあるんですよ。太宰治の作品とか。今度紹介してみます。
 
 
今回は、葛飾北斎の富嶽三十六景がパブリックドメインで無料配布されていたので、これを全て紹介してみようと思います。壁紙としても使えますよ。赤富士がじつに迫力があって良いですよ。同じ富士山を見るのでも、ここまで多様に描けるんだとショックを受けました。
 
 
[nggallery id=4]
 
 
ところで、真冬の富士山で険しいルートを登るのは、エベレストに登るくらい危険なのだそうです。何年か前、探検家たちが真冬の富士登頂に挑んで亡くなられたという事件がありました。天候の良い季節ならお年寄りや子どもでも登れるそうなんですが。

 

 
 
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ゲーテ詩集(35) 生田春月訳

今日は生田春月訳のゲーテ詩集(35)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
今日の詩は、なんだかゲーテという幸福な文学者の体験したものをかいま見るような、そんな詩です。詩というよりも掌編小説のような雰囲気があります。文学者ゲーテのそのまなざしを、一瞬だけですが、体感できるような詩です。
 
 
今日もゲーテ詩集を翻訳した生田春月の詩の一部を紹介しておきます。


影の弾く曲 (生田春月全集3 P107)   生田春月

人なき部屋に
ふたりゐて
もの云はぬ時の
きみが眼は、
などかく熱く
身にぞ沁む。

あまりに燃えて
なまめけば
恋のおもひの
なき人は
燃ゆるおもひに
くるしまん。

抑へてすぎし
人ならば、
われをおろかと
おもはずて、
さし向ふべき
人ならじ。

ものも云はずに
ふたりゐて、
なすべきことの
外になき
人とし今は、
われも知る。
 
 
 
 
ゲーテの「訪問」という詩が好きになったのですが、詩を通して隠された秘密へと、少しずつ入ってゆく過程がすごく良いんだろうなあと思いました。

 

 
 
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一九二八年三月十五日 小林多喜二

今日は小林多喜二の「一九二八年三月十五日」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
このまえ1928年7月7日に記された詩を読んで、この年に起きた労働者迫害の記録を調べていました。「一九二八年三月十五日」は伏せ字や失われた原稿があって完全なものではないのですが、小林多喜二のデビュー作と言える作品です。1928年にははじめての選挙があって、その数ヶ月後に警察が数多くの左翼活動家を不当逮捕した、そのことが描かれています。
 
 
これが書かれた翌年に、蟹工船という名作が書かれます。小林多喜二が亡くなった年齢が自分より若いと言うことに衝撃を受けました。
 
 
小林多喜二文学の魅力は、多くの人が寄り集まっているときのその熱気の描写だと思います。迫力のある文体で、まさに群像劇です。リフレインする文体とでも言うんでしょうか、リズムのある描写なんですよ。小林多喜二はこういう書き方をします。


     彼は寒さからではなしに、身體がふるえ、ふるえ――齒のカタカタするのを、どうしても止められなかつた。

     皆は灰色の一かたまりにかたまつて、街の通りを、通りから通りへ歩いて行つた。寒さを防ぐために、お互に身體をすり合せ、もみ合せ、足にワザと力を入れて踏んだ。ひつそりしてゐる通りに、二十人の歩く靴音がザツク、ザツク……と、響いて行つた。
     
 
 
電気代がとどこおって、60日以上暗闇の中で暮らす家族とか、まじめに働いていた若者がいつのまにか、当時の日本型ファシズムと相容れない共産主義に染まってゆき憲法無視の横暴な警察に付け狙われるようになってゆくさまを母親が震えながら心配する場面など、とても印象的なシーンがたくさんあります。
 
 
多喜二はこの物語を

「インテリゲンチヤ」の過去を持つたものが、この運動に真実に、頭からではなしに、「身体をもつて」入り込もうとする時、それはしかし当然の過程として課せられなければならない

危機への直面であると記しています。この危機的な場面と、家族を思うという場面とが美しい対比になっています。監獄の壁に爪で刻み込まれた労働者たちの声、というのがすごい迫力で描かれています。
 
 

 
 
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ゲーテ詩集(34) 生田春月訳

今日は生田春月訳のゲーテ詩集(34)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
ゲーテの詩を読んでいると生や恋愛について力強い肯定の感覚があらわされているんだなと感じられます。
 
 
今回もちょっと、ゲーテの詩を翻訳した生田春月の詩を紹介します。「生の行進曲」という詩です。これは1928年(昭和3)の7月7日に記された詩です。1928年と言えば、文学者の小林多喜二を殺害したかの悪名たかき特別高等警察が作られた年で、共産党員1568人が一斉検挙された不気味な時代です。生田春月はニーチェの哲学書を愛読しドイツの詩人を日本に紹介することを中心に創作を展開していたので、この問題とは直接の関わりがないんですが、やはり国家の動向を明視しながら詩作をして居たように思えます。
 
 
生の行進曲   生田春月

進め、
何処でもいいんだ、
心の向くがままに、
(うしほ)の流れに乗って
かまはず進め!

なすべき事は山のやうにある。
ちっぽけな非力な奴も
まだ見棄てたものぢゃない。
それも土臺石の一つだ、
石垣の間をふさぐたしにはなる。

なりそこねたとは何のこと、
これからなるんだ。
まだ何にもなっちゃゐない、
白紙だ、赤児だ、一年生だ、
進め、オイチニ!
 
 
 

 
 
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詩集 芥川龍之介

今日は芥川龍之介の「詩集」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
この前、生田春月という詩人が芥川龍之介のことを少し書いていたので、再び芥川の作品を読んでみました。明かりの本でも「杜子春」や「トロッコ」などを公開していますよ。これは芥川龍之介の詩集ではなくて、芥川龍之介が、貧しい詩人と詩について描いた掌編小説なんですが、すごく良いですよ。雰囲気が。芥川龍之介もまた、あまたの詩を愛読したんだろうなあということを感じました。
 
 


 
 
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ゲーテ詩集(33) 生田春月訳

今日は生田春月訳のゲーテ詩集(33)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
今回の詩は、神々と善について描かれています。うわっと思うくらいこうごうしいことが書いてあるんですが、この詩を翻訳した生田春月が、ゲーテとはすごい距離感を感じた、と記していてですね、ではその生田春月がどういう詩を書いていたかというと、こういう詩を残しているんですよ。一部を紹介します。

阿呆の反逆
 —反逆者ピエロオのとんぼがえり— (生田春月詩集3 P.408)  生田春月
 
 
おれは苦痛を味はひに生れて来た男だ、
おれが受ければ、快楽も苦痛に変る、
どんな善いものもおれの手に入れば悪くなる。
ゲエテの西東詩集を見て、生活的宦官に
生れた自分を哀んだといふその人も、
おれにくらべれば遥かに善く生きた人だ。
おれは生きる力ある時に生きるを忘れ、
恋してはならない時に恋をしたのだ。

おれはドン・ファンでなかった、
カサノヴァでもなかった。
彼等の生涯を嫉み讃へる
みぢめな失恋の詩人にすぎないのだ。
むなしく無花果の葉につつまれて
おれの生涯は葬られるだらう。
エデンの園の初熟(はつなり)の無花果、
時おくれに摘み味ははうとして、
忽ち追放の鞭を受ける、
ジャズの世界に於ける末世のアダムであらう。
 
 
ほかにも、まるでドンキホーテが書いたような詩も残しています。こんなのです。
 
 
世界一周
して来たら、
お嫁になって
あげますと
女に云はれて、
ぐるぐると
地球の上を
ひとめぐり。

てくてくてくてく
てッくッて
アメリカボオイの
膝栗毛
  
それで、主人公が世界を旅しながら奇妙な恋をしてですね、最後こう書いています。
 
てくてくてッくり
てくる路、
通ふ恋路も
なんのその、
長いわ、長いわ、
世界一
地獄と天堂のあひだほど。

やァイ、やァイ、
アメリカボオイ、
長いな、長いな
鼻の下、
さすがアメリカ、
世界一、
日本はダメだよ、
おれもダメ。
 
 
生田春月って、ニーチェやゲーテの作品を原文で読んで翻訳して、かなり賢い人だったんですが、愚について非常に大きな興味を持っていたんだなあということが詩集を読んでいると判るんですよ。自分の書いた詩集のことを、禁断の書だと名付けたりしているんです。また、芥川龍之介について黙考しているようで、そのこともいくつか詩に記しています。生田春月は、詩集のはじめにこう書いているんです。一部を紹介します。
 
 
禁断の書に

禁断の書、不許他見(たけんをゆるさず)と表紙に書きて、さびしく笑ふ。
つひに人には見せぬ詩を
われも書きしが、生きのびて。

ひとり書きつけ、ひとり歌ひ、
涙ぐみつつ、くりかえす。
禁断の詩人となりて、
われもかへりぬ、いにしへに________




ゲーテは記します。

見よ、自然は
無感覚だ
太陽は悪をも
善をも照らす
また月も星も
善人とおなじく
悪人にも照る
 

 
 
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