物理学と感覚 寺田寅彦

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今日は寺田寅彦の「物理学と感覚」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
ぼくの趣味は、ウィトゲンシュタインの人生と哲学の、謎を追う、というので、これをここ10年間くらいやってるんですけど……。ただの趣味なのでなにも学術的じゃ無いんですけど、ウィトゲンシュタインってなんでまた独我論なんだろうかとか、哲学史においてウィトゲンシュタイン哲学の意味はなんだろうかとか、あとウィトゲンシュタインが結婚できなかった主因はどのあたりにあるんだろうか、とかを調べるのが楽しいんです。
 
 
ウィトゲンシュタインを調べていて、その関連で、ここのところずっとこの哲学書を読んでいて、ついきのう読み終えたんです。それで今までわかってなかったウィトゲンシュタインの謎がひとつ解き明かされたなあ、と思いました。
 
 
ウィトゲンシュタインはいっけん懐疑主義者みたいな態度で、哲学の全体を一挙に否定したことがある。それにウィトゲンシュタインは、古典哲学の諸問題は、言語の誤謬や、誤解された論理から生じていると指摘しているし「およそ語られうることは明晰に語られうる。そして、論じえないことについては、ひとは沈黙せねばならない」と宣言している。
 
 
懐疑主義者とウィトゲンシュタインはどうちがうのか、そこをあきらかにしたいと思っていたわけなんですけど、こんかいこの本を読み終えて、なんとなく理解できました。
 
 
懐疑主義者は二元論におちいりやすく、自分の錯覚を認められない状況に入りこみやすい。
 
 
それに対して、マッピングや論理を重要視する哲学者は「今まで錯覚してきた」という事実を認めて、状況を「捉え直す」という修正作業を繰り返し行ってきた。中国の論語でいうなら「過ちて改めざる、是を過ちという」という感じで、自分たちの状況を地図化し、失敗を繰り返しながら、錯覚や幻覚や知覚の位置関係を明瞭にしてきた。……現代の哲学書を読み終えてから、この寺田寅彦の随筆を読んでいて、ちょっと書いてみました。
 
 
えーと、それで、これらとはまた完全に別個の問題なんですが、寺田寅彦はプランクの物理学理論に疑問を呈し、物理学を推進するにも人間への配慮が必要だと考えてから、こう述べています。
 

プランクは物理学を人間の感覚から解放するという勇ましい喊声かんせいの主唱者であるが、一方から考えると人間の感覚を無視すると称しながら、畢竟ひっきょうは感覚から出発して設立した科学の方則にあまり信用を置きすぎるのではあるまいか。
 
物理学の範囲内だけでも近ごろ勢力を得て来た量子説が古典的な物理学と矛盾していて、まだどうしてもその間の融和がとれないところを見てもプランクの望むような統一はまだ急に達せられそうもない。
 今のところでは生物界の現象に関しては物理学はたいてい無能である。
 
寺田寅彦は物理学者で随筆家で文学者であるのに、哲学にも造詣が深い。寺田はさいご、このようにこの随筆を締めくくります。
 
物理学を感覚に無関係にするという事はおそらく単に一つの見方を現わす見かけの意味であろう。この簡単な言葉に迷わされて感覚というものの基礎的の意義効用を忘れるのはむしろ極端な人間中心主義でかえって自然を蔑視べっししたものとも言われるのである。
 


 
 
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 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  
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