歩くこと 三好十郎

今日は三好十郎の「歩くこと」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
三好十郎は、終戦後すぐの、ちょっとした旅のことを随筆に記しています。自由を掴んだというか、なにかそういう気配を感じたようです。
 
 
これを読んでいて小学生のころの遊びを思いだしました。「遠のり」と言って、見知らぬ町を自転車で走るというだけのものなんですが、しらないところを動き回るだけでけっこう特別な気分になって、おもしろかったという記憶があります。
 
 
青春きっぷとかで旅行すると、普通の町を通りすぎているだけではおもしろくないんですが、なにかのタイミングで急に「旅のモード」みたいなものに突入することがあるんですよ。うまく言葉で説明できないんですが、グールドという音楽家がカナダの美しいみずうみをよく散歩していてそこで音楽のインスピレーションを得ていたそうなんですが……。芸術家とまったく無関係な自分たちでもなんだかそういう気持ちの良い感覚になることがあるように思います。
 
 
人によってはハワイやカナダやヨーロッパに行かないとそういうモードにならないということもあると思うんですが、ごく普通の散歩でも、あ、これは気持ちの良い感覚に入ったなということがたまにあります。
 
 
ぼくの場合は、本来なら壁や柵があって当然の駅が、野原の中で板チョコみたいなプラットホームだけになってしまって、鉄道が自然界に溶けだしてしまったという風景を見たときに、どうもこういう感覚に入るようです。
 
 
あ、あとゲーテ詩集を読んでいるときにも、こういうのがありました。
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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ファウスト(5) ゲーテ

今日はゲーテの「ファウスト」その(5)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
ゲーテのかく物語は、犬が登場するだけでもうかっこ良いんですが、これはいったいなんなんでしょうか。森鴎外の翻訳文もかっこ良くて「犬」でも「イヌ」でもなくて「ファウスト狗(いぬ)を伴ひて入る」って書くんですよ。犬って書かずに「尨犬」(むくいぬ)です。かっこ良いなあーと思って読み進めていたら、その犬がじつは悪魔のメフィストフェレスだったというのが前回判明しました。
 
 
前回、ファウストは、惑いとともに聖書をひもといて語っていました。ファウストというのはゲーテがこの物語を書く以前から存在していた伝説上の錬金術師で、悪魔の力を借りる人間だという噂があった人だそうです。実在のファウストはwikipediaにも載っている人物なんですよ。


いっぽうでメフィストフェレスが登場し、四大精霊というのを召喚しておそろしい会議を行います。このあたりの魔術的な描写は、中高生向きのアニメやゲームなどで馴染みのものだと思うんですが、このゲーテのファウストが原典となっているのかもなあ、と思いました。ゲーテは「怪力乱神を語らず」ではなくて「怪力乱神をも語る」という感じで悪魔の世界を描いてゆきます。
 
 
メフィストフェレスは、老学者ファウストに自己紹介するんですが、ここがなんともすごい描写です。メフィストフェレスは自身のことを「常に悪を欲」するものでありながら「却て常に善を為す」存在の一部であり

「わたしは常に物を否定する霊(れい)です」

と言うんです。暗黒の一部分であると。そのメフィストフェレスが、この世の最上の体験をさせてあげましょう、と提案するんです。老学者ファウストはそこで「まあ、待て、お前は実に美しい」と告げたのなら、すべての終わりとして地獄へ連れ去られて良いので、それまでは私の要望をすべて聞くように、というルールを作ろうと言うのです。
 
 
聡明な学者のファウストがなぜこういう契約をしたかというとですね、本人は欲望を貪りたいのでは無いのだと言ってから、こう述べています。

  どんな苦痛をも迎えて、
  人間全体の受くるべきはずのものを
  この内の我で受けて味わって見よう。
  この己の霊で人間の最上のもの深甚のものを捉えて、
  歓喜をも苦痛をも————

体験してみたいのだと言うんですよ。なにかおもしろいなと思ったのは、じっさいに素晴らしい体験をさせるのにですね、悪魔メフィストフェレスはべつに瞬間にその幸福が実現するようなあり得ない魔法は使わないんですよ。「幸福を手に入れたいのなら、まずは出かけてみましょう」というひじょうに現実的なことを悪魔が言っていて、ここがなんとも軽妙で良いなあと思いました。ゲーテの自由な想像力と、限定された演劇空間という2つの世界が上手く共鳴して傑作が生まれているんだなあと思いました。
 
 

 
 
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魔の退屈 坂口安吾

今日は坂口安吾の「魔の退屈」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
ちょっと戦争に関連した作品ばかりで偏っていて申し訳ありません。次回からは明るくておもしろい本も紹介してゆこうとおもいます。これは戦時中に召集令状が来るか来ないかという状況での心理状況を書いた随筆です。現実にあったことが記されているので読み応えがあります。
 
 
昔読んだ物語論に、重大な問題について描くときには、それについての前後が想像できるかどうかこそが大切なんだという話があって、つまり戦争で言えば戦闘中の激しい場面だけを切り取るのがダメで、その大問題に関わった人の、それ以前とそれ以後が見えてくるのが名作なんだ、という話だったんですが、ぼくはそれを読んだ時になるほどそういうことだったのかと思いました。
 
 
坂口安吾は戦時中の、戦争に行く手前の状況で、もう死ぬかもしれないなと言うときに、猛烈に本を読んだそうです。それから戦争が負けるのがほぼ確実になってきたときに、黄河の映画を撮るための脚本を書いてくれと頼まれた話を書いています。どう考えてももう、これから長い期間、中国の映画は撮れそうに無いという状況下で、それでも黄河の歴史のことを調べ続けてゆくというのがすごいなと思います。どうしてそれをしたかというと、黄河のことを知るのが楽しいことだったから、好奇心というものがすごくあった、と坂口安吾は記しています。
 
 
坂口安吾は東京が空襲でやられることを判っていながら、あえてそこに留まっていて、身軽に避難できるように書きかけの原稿はぜんぶあらかじめ燃やしておいて、そうしてまで空襲を見とどけようとしたそうです。すごい作家魂ですね。
 
 
空襲下の東京ではほとんど泥棒が無く、個性や遊びが無く、荒廃していてまるで人間らしさが失われていて、ほとんどの人が暴漢というかギャングのように生きるしか無く、その魂を潤すのが坂口安吾の場合は読書だったそうです。坂口安吾は実際に見た空襲や戦争のことを「こつちの意志だけではどうすることも出来ない現実である」と記しています。
 
 
反戦主義で他人の幸福のために生きようとする共産党員がですね、そういう美しい青年がこの随筆に出てくるんですが、なんかすごくその描写がよかったです。坂口安吾はとにかく趣味と好奇心に生きた人なんですが、自分が他人を好きだと思ってする行動が、ほんとうは悪魔的なもので、魔の退屈というものから生じているんだと告白しています。
 
 
窮状においては、むしろ長い歴史の意味合いがはっきり現実として現れてくる、と坂口安吾は指摘しています。

 

 
 
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ファウスト(4) ゲーテ

今日はゲーテの「ファウスト」その(4)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
前回、老学者ファウストは、みなが日向ぼっこをしながら主の復活の日を祝っていると述べます。どうして復活したことを祝っているのかというと、ファウストはこう言うんですよ。
 
 
皆主(しゅ)の復活の日を祝っている。
自分達も復活して、
低い家の鬱陶しい間から出たり、
手職や商売の平生の群を離れたり、
頭の上を押さえている屋根や搏風(はふ)の下を遁れたり、
肩の摩れ合うような狭い巷(こうじ)
礼拝堂の尊い闇から出たりして、
(そと)の明(あかり)を浴びているのだから、無理は無い。
 
 
信仰の拠り所となる聖書の物語と、日曜日のなんと言うことも無い気分とが共鳴しあっていて、キリストの復活をイメージしながら自分たちの日常が生き生きとしてくることを実感しているんだと、ファウストは告げます。そこには天国のような自然と町並みとがあって、みなが踊っている。
 
 
ファウストは弟子のワグネルと共に歩きながら、ペストが流行した怖ろしい時代のことを思いだしています。その頃にファウストと父は、なんとかこの死の蔓延を食い止めようと難解な薬剤を調合して、わずかな数の人々を救ったそうです。しかしその薬剤を用いても亡くなっていったものは多く、ファウストは自分らは人殺しだったというように考えるのでした。
 
 
ファウストは美しい自然と農民たちの暮らしを見つめながら神秘的な女神の姿を空想します。ワグネルはファウストに、鬼や悪魔や誤謬を心のうちに招きいれないように、と進言します。
 
 

 
 
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半分だけの物語(後編) ヘンリー・ヴァン・ダイク 山田由香里 訳

今日は山田由香里さんが新しく翻訳したヘンリー・ヴァン・ダイクの「半分だけの物語」後編を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。前編はこちらです
 
 
この本は、翻訳家の山田由香里さんが今回新しく日本語に翻訳したものです。原題は「Half told tales」といって、第二次大戦より昔の、20世紀初頭に記された短編集なんですが、当時の人々の考え方を知れるのでおもしろいと思いました。
 
 
ヴァンダイクの本を読むと、当時のアメリカ人は批判しあうことによって、お互いの考え方を理解して親睦を深めることが多いんだなと思えます。ちがう考え方同士で共存しあう、というのが移民を受け入れ続けるアメリカのやりかたのようです。
 
 
いちばん最後の作品に「英雄とブリキの兵隊」という短編小説があって、大きな傷を負って戦争から帰ってきた男のことが描かれているのですが、興味深く読めました。小説は架空のものを書くことが主なんですが、これはとてもリアルです。おそらくヴァンダイクが牧師として生きてきて、こういう現実にほんとうにぶつかってきたんだろうなということが感じられます。
 
 
小説に記された傷だらけになった男に対して、作家が熱心に見つめているというのが判るんですが、作者の平和への熱望というのを感じました。ぜひ一度、読んでみて下さい。
 
 
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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ファウスト(3) ゲーテ

今日はゲーテの「ファウスト」その(3)を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
前回、はじめてこの物語の主人公ファウストが登場しました。この主人公がじつに不可思議な存在なんですよ。すべての学問を底の底まで学んできた老翁であるのに、しかし若々しい。どうしてこうなっているのかなと思ったんですが、作者のゲーテがですね、この物語を書いた期間のことを調べたらなるほどと思いました。
 
 
初稿である原ファウストが完成したのが1797年で、それから20年も経ってからこれを書き直していったそうなんです。ゲーテのみずみずしい才能と、熟練した才能とが混然一体となった作品のようなんです。だから主人公は老翁であるのに若々しいのかもしれないなあと、空想しました。自分の未来のことを空想して書いたのと、自分の過去を振り返って書き足していったのとが、合わさってファウストという人物像に結実しているようです。
 
 
ファウストは地位や財産を求めずにただひたすら学問を究めてゆくうちに、魔法の世界に魅了されてゆくんですよ。いったいそれを得て何になりたいのかというと、ゲーテはこう記しています。
 
 
一体この世界を奥の奥で統(す)べているのは何か。
それが知りたい。そこで働いている一切の力、一切の種子(しゅし)は何か。
それが見たい。





 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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思い出す事など 夏目漱石

 
今日は夏目漱石の「思い出す事など」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
これは病と日常についての文学なのですが、一人称の日記を書いているのにまるで三人称で書いた小説のように客観的な印象を受けます。おそらくこれほど病について詳細で深く考察された文学作品は他にないと思います。いま暗いものは読みたくないという方はちょっと避けてもらったほうがいいと思います。
 
 
病に関する文学は、どうも読み手の自分たちにとって架空のものではなく、リアルなもののように思えます。程度の差や時期の違いはあっても、何年後か何十年後か百年後か、生きている間に誰もが体験することなので、他人ごとに思えないような近さがあるんだと思います。
 
 
漱石のこの本を読むと、ぼくの場合はこんなに冷静に困難に立ち向かえないなと思いました。痛いのにも弱いですし。漱石は、体が弱っても頭脳や心情は弱らなかったようなんですよ。そこがすごいなと思います。偶然なのか、漱石自身の意志の強さによるのか謎なんですが。


漱石の本を読み込んで、多くの脚本を書いた監督がですね、ある随筆で、漱石文学の全体像について「漱石は裏切りについて熱心に探求した」と、どんなに親しくした相手であっても、裏切りが生じることはあり得るんだ、ということを漱石が示したんだと言うんですよ。ぼくはびっくりして今まで読んだことのある漱石作品を振り返ってみたんですが、たしかにその通りなんですよ。言われてみるまでまったく気づかなかったんですが、漱石作品が怖いと感じていたのは、そういうあってほしくない現実を深く書き込んでいるからなんだなと思いました。その漱石が、自分の大病のことについて分析して描き出している作品です。
 
 
漱石は、余裕のある文学作品や思想についてを高く評価しているという随筆を残しているんですが、この作品ではこんなことを書いています。
 

    余は病に因ってこの陳腐な幸福と爛熟な寛裕を得て、初めて洋行から帰って平凡な米の飯に向った時のような心持がした。

漱石がはじめてのイギリス大旅行をしたあとにですね、処女作の「吾輩は猫である」が書かれたんですよ。大患をしたあとにそういうころの心持ちになったと記してます。漱石は続けてこう書きます。

    「思い出す事など」は忘れるから思い出すのである。ようやく生き残って東京に帰った余は、病に因って纔かに享けえたこの長閑な心持を早くも失わんとしつつある。

読みすすめてゆくと、ちょっと引きこもりの人とか、調子が良くない人に嬉しいことが書いてあったりします。こんなのです。

    病気をするとだいぶ趣が違って来る。病気の時には自分が一歩現実の世を離れた気になる。他も自分を一歩社会から遠ざかったように大目に見てくれる。こちらには一人前働かなくてもすむという安心ができ、向うにも一人前として取り扱うのが気の毒だという遠慮がある。そうして健康の時にはとても望めない長閑かな春がその間から湧いて出る。この安らかな心がすなわちわが句、わが詩である。

漱石はこの作品を、近しいものへの近況報告の手紙として、書いていますよと記しています。健康的に生きていられることが、かなりありがたいことなんだなあと思いました。
 
 


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