きのう井上ひさしさんの戯曲『組曲虐殺』を読みました。 プロレタリア文学者の小林多喜二が主人公の戯曲です。 文学に疎い僕は、井上ひさしさんの作品と言えば『父と暮らせば』しか知らず、はじめてそれを見た時は衝撃を受けました。
あの廃墟のようでいて温かい空間についてが忘れがたく、父が子を想い、子が父を想う物語は、まのあたりにした者の心にいつまでもずっと残り続けるものだと感じました。
タイトルこそ鮮烈な印象ですが、『組曲虐殺』は特高の古橋と山本へのまなざしが温かく、プロレタリア文学者である小林多喜二との終盤の会話に魅了されました。井上ひさしさんの徹底したヒューマニストとしての思想に打ちのめされた思いです。
以下は井上ひさしさんが戯曲に記した言葉です。
絶望するには、いい人が多すぎる。希望を持つには、悪いやつが多すぎる。なにか網のようなものを担いで、絶望から希望へ橋渡しをする人がいないものだろうか
世の中にモノを書くひとはたくさんいますね。でも、そのたいていが、手の先か、体のどこか一部分で書いている。体だけはちゃんと大事にしまっておいて、頭だけちょっと突っ込んで書く。それではいけない。体ぜんたいでぶつかっていかなきゃねえ。
体ごとぶつかって行くと、このあたりにある映写機のようなものが、カタカタと動き出して、そのひとにとって、かけがえのない光景を、原稿用紙の上に、銀のように燃えあがらせるんです。ぼくはそのようにしてしか書けない。モノを考えることさえできません。
そのときそのときに体全体で吸い取った光景のことかな。ぼくはその光景を裏切ることはできない。その光景に導かれて前へ前へと進むだけです。
あとにつづくものを 信じて走れ
(初出「すばる」二〇一〇年一月号)
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幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。
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