今日は岡本綺堂の「兜」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
震災のあとに聞いた、不思議な噂話のことが描きだされています。
邦原家の住み家が、地震の被害にあってしまったんですが、古い兜だけが傷一つなく残った……。それをわざわざ避難先に届けに来てくれた、謎の女が居た。美しい怪談みたいな始まり方です。
作中に出てくる、大正12年の震災というのは、これは関東大震災のことです。(ちなみにwikipediaには寺田寅彦の当時の随筆が引用されていました)
どうやって災害の最中で、この兜だけが無事で、持ち主に戻ったのか謎なんです。謎を追っているうちに、盗んだ者と、届けてくれた者の2人が関わっているはずだと推理する。
そのうちに、話しが、江戸末期の物騒な世の中で、その兜がどのように世を流浪していったのかが、描きだされる。江戸末期と言えばすでに兜など身につけないわけなんですが、その男はなぜか、鉄の兜だけをかぶっている奇妙な姿であった。その兜の男に夕暮れの辻斬りが切りつけた。兜はこの渾身の一太刀を、なぜか跳ね返していた。ふつうなら割れていておかしくない。
さらには辻斬りの男も不明で、脇役の出し方や、話しの変転が妖しくてすてきな怪談なんです。兜はくりかえし、謎の女に運ばれて、顔の見えない賊に盗まれてゆく。
時間が少しずつさかのぼってゆくのが秀逸なんです。因果の因が起こった時代へとするするとさかのぼってゆく。
ふつう、怖いものは、汚さとか不快さを伴うはずなんですが、この岡本綺堂の「兜」はなんだかきれいに怖いんです。自分にとっては新体験の、不思議な物語でした。
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ここからは新サイトの「ゲーテ詩集」を紹介します。縦書き表示で読めますよ。
幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約10秒)
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