痴人の愛(1〜2) 谷崎潤一郎

今日は谷崎潤一郎の「痴人の愛」その(1〜2) を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
今日から10数回かけて、谷崎潤一郎の代表作『痴人の愛』を読んでゆこうと思います。今回の主人公はナオミなんですけど、その顔はカナダ人のメアリー・ピックフォードに、ちょっと似ている。作中にそう書いています。でもナオミは日本人なんです。なんというか、東北美人でロシア人とのハーフのように見える女性が居ますけれども、そういう雰囲気を漂わせる人なんだろうと思います。
 
 
語り手の「私」は、西洋的なナオミとの奇妙な結婚生活について語りはじめる。彼女は10歳以上年下で、もともとはカフェでウェートレスをやっていたところで知り合いになって、結婚にまで及んだ。私(河合譲治)は実家が裕福で、現代的な技術者の仕事をしている、かなり余裕のあるサラリーマンで、大正時代のはじめごろにしてはずいぶん自由な恋愛結婚をした。因襲から離れた、簡単に済ませられる結婚というのを望んで、若い相手を見つけた。本文にこう書いています。
 
 
  一人の少女を友達にして、朝夕彼女の発育のさまを眺めながら、明るく晴れやかに、云わば遊びのような気分で、一軒の家に住むと云うことは、正式の家庭を作るのとは違った、又格別な興味があるように思えました。つまり私とナオミでたわいのないままごとをする。
 
 
じつはナオミの母は彼女を芸者にするつもりだったのだが、本人がそれを望んでいないようなので、カフェの給仕をすることになった。「私」はそれで、英語と音楽を学んでみたいナオミに、教育を受けるための資金を提供する。家族にも了承してもらって、二人は一緒に暮らすことになった。「私」とナオミは、ほうぼうの貸家を探しまわって、むかしは絵描きとモデルが使っていたという、ごくごく小さな洋館を借り受け、新婚生活のような二人暮らしを始めたのでした。次回に続きます。
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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樹を愛する心 豊島与志雄

今日は豊島与志雄の「樹を愛する心」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
翻訳家の豊島与志雄が、庭の木について記しています。はじめはごく普通の随筆かと思ったんですけど、桃の木ってこんなに幻想的な存在なんだろうかと、読んでいてだんだん不思議に思えてきました。
 
 
そういえば、桃って古い文学の中ではいちばん神秘的な存在です。古事記では、地獄から生還をするときに、黄泉の追っ手(黄泉醜女)たちに、この桃を投げ与えて逃げおおせた。地獄から脱出するには、桃が必要なんです。桃が。日本の昔話では、桃から赤ん坊が産まれたりする。
 
 
豊島与志雄の、庭になった桃の味についての描写がみごとでした。本文こうです。
 
 
  街で売ってる水蜜桃ほど甘味はないが、それよりも遙にすぐれた新鮮さと甘酸味とがあった。
 
 
この前後の描写がみごとなんです。自分でごはんをつくったときの楽しさ以上に、自分で植えた木のくだものは、特別な味がするんだろうなと思いました。はい。絵画でいうと、青木繁みたいに美しい随筆です。関係無いですけど、青木繁と水木しげるってなんか似てますね、名前。
 
 
豊島与志雄は翻訳家で、オリジナルの文章を書くときは、とても写実的なんだなと、ちょっとした自然界をことこまかに描きだすのがすてきなんです。最後の数行を読んでいて、ああっ、と叫んでしまいました。さすがユーゴーの『レ・ミゼラブル』を全文翻訳した人だと思いました。
 
 

 
 
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ハイネ詩集(23)

今日は「ハインリヒ・ハイネ詩集」その23を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
今回ハイネの詩の中で、というか19世紀の詩の中で、もっとも有名だと言われているロオレライを読んでみました。「こんなに心が悲しいのは」ではじまって「おまへがしたのだ、ロオレライ」で終わる詩です。ずいぶん繊細な詩です。正しくは祈りの詩なんだろうと思うんですが、天国の幻視を見ているような、触れられない美について描いているような気がしました。
 
 
ローレライについてちょっとだけ調べてみたんですけど、wikipediaにおもしろい情報がいっぱい載っていました。ドイツのライン川ぞいにある峻険な山に、セイレーンの伝説があるそうです。
 
 
賢治も『銀河鉄道の夜』で、川と水難のことを描いている。それはおもにイギリス海岸や北上川をイメージしてのことのはずですが、ローレライの詩のことも、纔かに脳裏にあったのかもしんないです。
 
 

 
 
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卍(まんじ) 谷崎潤一郎(6)

今日は谷崎潤一郎の「卍 まんじ」その6を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
いよいよこれでまんじ、完結なんです。ここから先は、もはや100%のネタバレになるので、まだ読み終えていない方はこちらからどうぞ。
 
 
ついに園子さんのだんなさんまで、綿貫の正体を知ることになってゆく。探偵まで雇って、事情を調べた。園子さんとだんなさんは、お互いにちゃんと話し合った。そのときに、だんなはこう言ってます。本文こうです。
 
 
  僕はお前がどうしても家出するいうのんなら、そら仕方ない思てる。けど、ほんまの僕の気持いうたら、憎いのんあの男だけで、お前も光子さんも可哀そうな目エにうたんや思てるねん。
 
 
ところがどうも、語り手で主人公の園子さんは、普通に見えて、かなり図太い性格みたいで、なんともややこしい修羅場が訪れようとしているのに、まだ光子さんとデートしたい駆け落ちして脱出したい、ということばっかり考えている。本文こうです。
 
 
  テーブルに俯伏うつぶしたなり、やんちゃなオみたいに泣いてましてん。もうこの場合「死ぬ」いうてやるのん一番ええ。それより外に方法ない。……私の頭の中にあるのんは、どないしたらこいから先も今までのように会うて行くこと出来るやろかと、そればっかりですのんで……
 
 
だんなさんは危険を察知していて、妻を軟禁する。園子さんはとにかく光子と駆け落ちがしたいので、水着で海にだけ出かけさせてくれと願い出る。そこから女二人で脱出をするんですが、ここからドラッグで仮想的に仮死状態にいたって、心中未遂を起こしてやろうと考えて、すさまじい展開があるんですが、(本文ではまた違う内容なんですが)恋人同士で二人で睡眠薬つかって心中の真似事をしてみるというのは、現実にありえない話では無い、充分ありえる話だなと思って、なんというかリアリティーとスピード感のある展開なんです。そして園子の夫がやって来て、ついに光子と夫が不倫におちいってしまう。本文こうですよ。
 
  
  私がいつも愛の相手外に求めてたように、夫にしたかて無意識のうちにそれ求めてたのんに違いあれしません。おまけに外の男みたいに芸者遊びするやとかお酒飲むやとかして、物足らなさたすちゅうこと知らん人だけに、なおのこと誘惑に陥りやすい状態にあったのんで、一旦そないなってしもたら、堰せき切った水みたいに、盲目的な情熱が意志や理性の力踏みにじくって燃え上って来て、光子さんより夫の方が十倍も二十倍も夢中になってしもたのんです。

 
恋愛感情とか、不正とかがこう、なぜかみごとにズレて流動してゆくんですよ。園子さんの感性とか企みとか方針とか関係性が、別の人に吸い取られてゆくんです。そこがほんとにこう、文学の魔法とでもいうのか、すごいんです。
 
 
悪いことせずに生きてきたつもりだった夫は、完全に不倫をやってしまった。その言い訳がなんともこう、ムチャなんです。そういうことしてきたことが無いから、こういうことを言うんだろうなと思いました。本文こうです。
 
 
  僕かてあれ夢と思いたい。……悪夢や思て忘れてしまいたい。……けど、僕、忘れること出来んようになってしもた。僕は始めて恋するもんの心を知った。
 
 
不倫は無かったというどころか、情熱のこもった本格の不倫だったとか言い出すんですよ。で、裏切った妻に対して、これ以上悲しませたくないとか言っちゃうんです。真面目な男が暴走すると、これはこれで恐ろしい。夫は園子と綿貫の間で交わされた不平等条約も破棄させたと、安心しきっている。しかし綿貫は綿貫で陰湿なスクープ記事を新聞社に売り払って園子と夫を追いつめたりする。
 
 
光子さんがブドウ酒と睡眠薬(あやしいドラッグ)を持ってきて、園子と夫に飲ませたときは、しびれました。片方を眠らせて、そこでどうも性的な遊びをしている可能性さえある。光子さんの悪女ぶりが凄まじいんですよ。これは漱石にもドストエフスキーにもない特徴で、とても惹きつけられる文学でした。
 
 
心中もののオチなんですけど、そこからぽーんと放り出されて生きのこってしまった、というのが、これはすごいもんを読んでしまったと思いました。
 
 

 
 
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僕の友だち二三人 芥川龍之介

今日は芥川龍之介の「僕の友だち二三人」を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
ぼくはあの、小説を読むためのサイトをここで作ってるんですけど、随筆がなんだか好きなんです。ああいう名作を書いた人が、率直な文章を書くとこうなるのか、というのがいつも新鮮で面白いんですけど、これごく短いものなんですが、すてきな随筆なんです。
 
 
作家なので多少の演出はあると思うんですけど、芥川龍之介ってこういう人なのかというのが、ちょっとだけ垣間見える気がしました。オチが良いんです。キリのいい数字をあえて空位にしているのが、かっこ良いなとか思いました。はい。最後に選ぼうと思っていた人はいったい誰なんだろうかと。前後の随筆をよめば判るかもしれないです。
 
 

 
 
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ハイネ詩集(22)

今日は「ハインリヒ・ハイネ詩集」その22を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
「光りかゞやく星ひとつ/たかい空から落ちてくる」という言葉が印象的なハイネの詩なんですけど、今回のは小学生が書いたんじゃないかというくらい純心でストレートな詩ですよ。現代から遠い作品には、こういう魅力があるんだなと思いました。
 
 
ただハイネはいつもこう、豊かな時間の終わりを描くのが特徴的で、夜が明けることにさえ独特なかなしさを漂わせるんです。
 
 
「そこには青い花が咲く」という詩はダンテの神曲『地獄篇』にも描かれていた、植物と人の物語で、印象深かったです。
 
 
作中に記されている「歌反故うたほご」とはいったい何なのか、むつかしい言葉なのでいつものようにネットの辞書で調べてみたんですけど、これがどの辞書にも載っていない。よくよく調べてみると、どうも反故という意味と関連しているみたいです。
 
 
ほ‐ご【反故・反古】
(1)書画などを書き損じた不用の紙。ほぐ。ほうご。
(2)転じて、役に立たない物事。
(広辞苑より)
 
 
描き損じて役に立たない詩、という意味でハイネは「歌反故」と書いたようです(というか生田春月がそう翻訳しちゃったようです)。そのあとすぐに「ハイデルベルヒの樽のやうに」って書いている。あーっ、このハイネ詩集を、もしかしたら太宰治も読んだのかもしんないなと思いました。太宰治は「ハイデルベルヒ」というイメージを、ことさら美しく小説に書いているんです。で、ちょっと調べてみると、やっぱり太宰治はハイネ詩集を読んだ痕跡があるんです。こちらに太宰治がハイネのことを書いています。太宰治は、今回の詩を読んでいたんだなあと、もうそれは明らかだろうと思いました。
 
 

 
 
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 幼かった頃の夢想のことを、ゲーテは「黄金の空想よ」と記します。ゲーテの詩には、神話的なものと理知的なものが混在していて、これが魅力のように思います。ゲーテはゲルマン神話と、とくにギリシャ神話の影響が色濃いようです。
 この詩集は生田春月が翻訳をした作品です。ゲーテは政治家としても活躍し、かのナポレオンからも尊敬されていた作家で、その言葉を詩で楽しめるというのは、なんだか嬉しいように思います。

  

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卍(まんじ) 谷崎潤一郎(5)

今日は谷崎潤一郎の「卍 まんじ」その5を公開します。縦書き表示で全文読めますよ。
 
 
卍は次回で完結です。光子さんは、恋人の園子さんが、綿貫と結託し始めたことにすぐ気づいた。光子さんは綿貫の子を妊娠をしていなかったらしいんですが、こんどは綿貫に玩具にされたんだと言いはじめるんです。綿貫は子が出来ない男で、それを黙っていろんな女を引っかけているとか、ちょっとこう、妊娠したというハナシとはぜんぜんちがうことを言いはじめている。
 
 
このまえ光子さんは『妊娠したのんかも』と言っていたのに、こんどは妊娠するような恋愛をしていないと、言いはじめた。光子さんはどうも言動があやしいんです。
 
 
この小説は3人の主要登場人物がいるわけで光子・園子・美男子綿貫と、この3人を描いた小説なんですけど、奇妙なことに今いない人の話でものすごく盛りあがるんです。なんとも不思議というか面白い構成ですよ。今登場していない人の話しがどんどん脹らむんです。過去の回想なのか、噂話なのか判らないまま、今回は綿貫の話で持ちきりになる。綿貫は恋人が同時にたくさんいたのに、じつは誰ともセックスをしていない。プラトニック・ラブだという。結婚したとしても、どうも性的な問題があるらしい。両性具有かもしれない、という噂まであった。
 
 
なんだか近松の心中物みたいな心情になりつつ、結婚することを目指している綿貫と光子さん……。これ、地の文章からして、関西弁の口語で、すべてが噂話と噂話で構成されている。なんともみごとな展開だなとか思いました。もはや完全にネタバレになってしまうので、読み終えてない方は読まないほうが良いかと思うんですが、同性愛もじつははじめの頃はまるでウソで、光子さんはいざこざから離れるために、園子を利用しただけだった可能性が高い。作中こう記されています。
 
 
  私との間に同性愛やいう噂立ったのんは実は誰の仕業しわざでもない、光子さん自身がそないいい触らしなさって、匿名とくめいのハガキ投書しなさったのんですねんて。
 
 
  ほんまのこと知れんように、わざと同性愛の噂立てた。まあいうてみたら、私ちゅうもん利用して世間の眼エくらましなさった。
 
 
  私の方があんまり真剣で熱烈でしたさかい、だんだん利用する心持からほんまの愛情に変って行きなさった。
 
 
おそろしいことに、ばくち打ちが逮捕されていった事件さえも、じつはまるっきりの狂言で、警察もやって来なかった、刑事なんか周りに居なかった、そんな事実はなかったのだという。事実だったはずの口伝されたものごとが、じつはただのウソだったという……この展開は凄いです。あの推理小説の四大奇書みたいな、めくるめく展開になってるんですよ。すごい小説だと思いました。愛憎の果てに生じた、だましあいに次ぐだましあいが展開するんです。
 
 
それで、真相はどうもこうだった。本文こうです。
 
 
  自分の一生は綿貫のお蔭で滅茶々々にしられた。もう行末に何の望みも光明もない、生涯うもで暮らすばっかりやいいなさって、自分は死んでもあんな男と結婚せエへん、どうぞ助ける思てあの男と手エ切れるようにしてくれへんか、何ぞええ工夫あったらせて頂戴いいなさる……
 
 
綿貫はひたすらに暗躍をしていて、ついに園子さんの夫にまで不気味な契約書を見せて、状況が混乱しつづけている。ただ、綿貫は子に恵まれないながらも光子さんと結婚をしたいだけのようにも思える。それとももっとより悪質な何かがあるのかは、まだ不明なんです。事件の気配がいよいよ色濃くなってきた。次回で完結です。
 
 

 
 
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